第三王女と
最初は新入生である僕とミュートス王女殿下の二人に、先輩である生徒会メンバーの三人が絆を築くために始まったペアで行う依頼。
それは何時しか、何故かそのルールが変わって総当たりとなり、僕とミュートス王女殿下が一つのペアとなっていた。
「ようやく私の番が来たわね!」
「本当は君の番なんてなかったんだけどね?」
自分の前で自信満々な態度を見せるミュートス王女殿下に対して僕は若干呆れながら言葉を返す。
「別に良いでしょう?私たちであれば別に何の問題もなく依頼をこなせるじゃない。何も困ることはないわ」
「それはそうであるが、だからと言ってわざわざ僕とミュートス王女殿下でペアを組む必要などほとんどないであろう。既に付き合いは長いだろう?」
「……う、うるさいわねぇ」
辟易とした態度で告げる僕に対してミュートス王女殿下は歯切れの悪い態度で言葉を告げる。
「何だ?どうかしたか?」
「べ、別に良いじゃない……私たちは一応、最も互いに婚約者になる可能性が高いのだし……す、少し関係がギスギスしているところもあるから、仲直りとか、そういうのをするのも、良いかなぁって、思うくらい良いじゃない」
「……えっ?」
僕は突然、自分の前にいるミュートス王女殿下が見せ始めたデレを前にして思わず素の声を返す。
「な、何よ!その表情!この私が仲良くしてあげようって言っているのに気に食わないわけ!?」
「え、えぇ……?」
ミュートス王女殿下は誰よりも自信家で、実際にその自信に見合うだけの実力と努力をしている少女だ。
また、負けず嫌いでツンデレ。
出会いで情けなく助けられた主人公のことを最初はゴミだと思っていたが、一度授業の模擬戦で負けて以来、負けず嫌いが暴走してよく絡みに来るようになり、最終的にはツンツンしていた最初の頃は何だったのかと思うかの如くデレデレになっていく……っていう感じのキャラなのだが、ミュートス王女殿下はなんせ鉄壁。
圧倒的なチョロインであるレイナと違って、ミュートス王女殿下は中々靡かない。全然デレることはない。
ミュートス王女殿下を口説いているつもりが、何故か勝手にレイナを攻略してしまってそのまま彼女単独エンドに行ってしまう人が続出するような形なのだ。
なのに……ミュートス王女殿下が早速デレた?早くないっすか。
「~~ッ!い、良いから依頼を選ぶわよ!」
「えっ、あ……うん、ごめんね?」
「あ、謝るなぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」
僕は未だ困惑しながらも、表情を真っ赤に染め上げるミュートス王女殿下と依頼を選んでいくのだった。
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