生徒会

 打てば響く生徒会長を揶揄いながら生徒会室の方へとやってきた僕。

 そこにいたのは生徒会入りするであろうミュートス王女殿下と仮面で顔を隠している一人の少女であった。


「やぁ、君が来るのを僕は待っていたとも。ここで幾年もね」


「ご機嫌麗しゅう、生徒会副会長、セーラ。貴方に会うのは数年ぶりであるな」


 物々しい仮面で顔を常に隠している少女、生徒会副会長であるセーラ・ポールスターと僕は挨拶を交わす。

 彼女はポールスター辺境伯の長女であり、僕とも交流のある子だ。

 ちなみに素顔は普通に美人である。


「ここには多くのメンバーがいるが、君とかねてより既知なのは僕だけだろう?何か困ったことがあればぜひとも頼ってくれ」


 生徒会のメンバーは目の前にいる会長と副会長を除けば三人。

 何故か魔法がある世界で中二病に侵されている魔法使い。

 とある事情で男のふりをしている剣士の少女。

 そもそも人ではないロボット、性別は女であるが自覚無しな子。

 非常にユニークなメンバーが揃っているが、現実世界における面識は残念ながら今のところない。


 ちなみに生徒会は全員女であるが、風紀委員会の方は全員男である。

 いやぁー、ご都合主義。ルートが露骨。


「私も一応……というか、ノアと知り合った年数であれば私の方が長いんだけど」


 セーラの言葉に対して彼女の隣にいたミュートス王女殿下が噛みつきに行く。


「君が持っているのはどちらかというと因縁だろう?常に同情しているとも、エスカルチャ家と正面切って戦い、常に負け続けている貴方には」


「むむぅ!わ、私は……負けているけどぉ!」


 僕とミュートス王女殿下の小競り合いはしょっちゅうであり、その度に彼女は敗北しているので、何も言い返せないだろう。

 ちなみにミュートス王女殿下とセーラも僕経由で交流は持っている。


「そんなにミュートス王女殿下を煽らないでいただきたい。自分が入る生徒会でゴタゴタとか面倒なので。既に自分が欲していたピースはすべて回収したので、もう何の心配をする必要はないとも。君の未来には幸しかない」


「……私って、ノアと敵対しないだけで幸になれるの?何それ」


「僕の存在はそれだけ大きいということだとも。ふふっ、エスカルチャ家との全面衝突は避けた方が良い」


「私が王家なんだけどなぁ」


「辺境伯だからこそわかる……エスカルチャ家って別に武勇に優れるわけじゃないから戦おうと思えばいけるが、ひたすらに面倒なのよな」


「ま、まぁ!みんな待ちましょうよ」


 僕たち三人が会話を交わしていた中、アンバーが慌てて口を開く。


「まずは全員で自己紹介から行きましょう。大事よ?自己紹介」


 この中で唯一、昔からの関係がないアンバーはそう話すのだった。

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