選択
僕の目的は簡単である。
自分の好きだったゲームの世界を堪能することである。
具体的に言えば世界を見て回りながら、ヒロインたちとラブコメしたい。現実世界では決して叶えることの出来ない望みを叶えたいのだ!
生憎とこの世界の僕は圧倒的な高スペック男子なのだし。
だが、その上でやはり障害になるのはヒロインと結ばれるはずの主人公の存在である。こいつに勝つのは中々に厳しいので……戦わなければ良い。
腐女子用に作られているBLルートにうまいこと進んでくれたら強力なライバルはさようなら、完璧な作戦である。
まぁ、この世界は現実世界であり、そう簡単に主人公がBLに目覚めるかどうかはわからないんだけどね!
それでも何もしないよりは遥かに良いよね。
「じゅあ、俺は風紀委員会に入らせてもらおうかと思います……これからよろしくお願いします!」
「あぁ、これから俺たちとよろしく頼む」
そんな思惑を内側に抱えている僕の言葉に従ってルスが風紀委員会入りを決める。
これは、別にルスに意地悪をしたいわけじゃない……新しい扉を、ルスに本当の自分を教えてあげようとしているだけなどのセーフである。
「それじゃあ、俺も風紀委員会で」
「私もそれでお願いしようかな」
そして、それに続いてアルベルトとダスクも風紀委員会入りを決める。
「では、僕は生徒会の方に入るとしよう」
そんな中で僕は一人、生徒会へと入会すると告げる。
ちなみにではあるが、ゲームにおけるノアも生徒会に入っている……アンヘルを奴隷として侍らせていたノアに主人公が激昂するところから二人の物語が交錯するのである。
「助かるわ……流石に四人全員が風紀委員会に入る選択をするのであればちょっろと泣いて懇願するところだったわ」
僕の言葉を聞いた生徒会長はほっと一息をつく。
「「「……え?」」」
「なら、僕はレディーの涙を止めることが出来たというわけですね」
「えぇ、そうね。ファインプレーよ。素晴らしい働き……お礼にハグしてあげるわよ?」
生徒会長が冗談交じりに両手を広げながら告げる。
「なるほど。それでは遠慮なく」
「……えっ?」
それに対して僕は一切迷うことなく生徒会長へと抱き着きに行く……ほほぉ!ゲームにも出てくる生徒会長と僕は今、ハグしている!
ぐへへ、良い匂いするよぉ。
「んんっ!こ、ここまでよ!」
僕が心の内で堪能していた中、やんわりと生徒会長が僕を押しのける。
「じょ、冗談のつもりだったんだけど……んん、まぁ良いでしょう」
「ふふっ、たとえ冗談だとしても自分が美しい女性と触れあえるタイミングを見逃すことはないとも。それではこれから同じ生徒会の人間としてよろしく頼む」
僕は生徒会長へと笑顔で言葉を告げると共に、自分の手を握手の為に差し出す。
「え、えぇ……なんか、ちょっと思っていたのと違うかもぉ?」
僕は少しだけ困惑している生徒会長とガッチリ握手を交わすのだった。
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