分岐点
オルグイユ貴族学園において、本当の学園生活が始まるのは登校開始から一か月後だと言われている。
その理由は簡単。
上級生との接触並びに同窓会への勧誘並びに入会が出来るようになるからだ。
「今年は豊作が一ヵ所に固まってくれているようでこちらとしてもやりやすいわね」
「あぁ、そうだな」
同窓会。
それは剣技であったり、魔導であったり、学年問わず多くの生徒たちが集まって各々極めたいものを共に極めていく組織。
その中で、生徒たちを統括する生徒会と規律を正す風紀委員会の二つ。
上に立つということを極めるために存在している二つの組織があった。
「第二王子、アルベルト・アテネス。フォーエンス侯爵家の次男、ダスク・フォーエンス。平民でありながら実技の分野で次席に立ったイレギュラー、ルス。そして、現侯爵家当主であり、ありとあらゆる分野で主席に立つノア・エスカルチャ」
「君たち四人には我ら風紀委員会」
「もしくは私たち生徒会」
「そのいずれかに入会してもらいたいと考えているが、どうだろうか?」
生徒会と風紀委員会。
学園にある同窓会の中でも特別な位置に属する二つの組織の長から僕たちは勧誘を受けていた。
「え、えぇ!?自分もですか!?」
一年生において最も位が高いのは侯爵家当主たる僕。
その次に第二王子、そして侯爵家の次男。
それからは伯爵家と続いていく。
当人の格から見て僕たち三人が生徒会並びに風紀委員会から誘われるのは当然とも言える。
だが、平民であるルスとしては驚きだろう。
「あぁ、そうだ。ルス。君の実力はひどく買っている。お前であれば俺らと共に並び立つことも出来るだろう」
「あぁ、そうだ」
「ぶえぇぇぇぇぇええ!?そ、それはありがたいのですが……じ、自分が、ですか」
同窓会選びは今後の学園生活を決める大事な決断である。
そして、ルスにとって自分の目の前に差し出された生徒会と風紀委員会、その手を取るか取らないかとでは主人公の実力が大きく変わってくる。
リアルでも、ゲームでも、重要な選択であり、分岐点と言えるだろう。
「……俺が、生徒会が……風紀委員会」
ついでに言うと、この生徒会と風紀委員会。
どちらを選ぶのかは非常に重要な選択となる───
「ルス」
僕は静かにルスの名前を呼ぶ。
「は、はい!?」
「人は前に進まなければ進化することはない。ここで、一歩踏み出すか出さないかは今後にひどく影響するだろう」
「……ッ!」
「ふっ。僕のオススメとしては風紀委員会であるな。風紀委員会の職務は風紀の引き締めである。つまり、実力があればある程度なんとかなるであろう」
「……な、なるほど!」
───何が重要か。
それは、ゲームにおいてこれはBLルートとの分岐点。
ここで主人公が風紀委員会を進めば、主人公たるルスはBLに目覚めるのだ。
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