家系魔法
僕が学園で受けた最初の授業。
それは校庭に出ての魔法の授業であった。
「まず、魔法は理論上であれば誰でも使うことの出来る汎用魔法。個人が生まれもった固有魔法。そして、一族代々伝わる家系魔法の三つの区分が存在する」
魔法とは簡単に言うと異世界の生命であればすべての者がもつ魔力でもって
その区分は自分の前で語っている先生の言う通り三つの区分で分けられる。
「それではこの三つの区分の中で最も平均的に強力である家系魔法の見本として恐らくは世界で最も著名なエスカルチャ家のそれをここで見せてくれるだろうか?」
「了解です」
先生の言葉へと素直に頷いた僕は立ちあがって生徒たちの前に立つ先生の隣へと立つ。
「家系魔法───影法師」
そして、魔法を発動させた僕の手の平の上にちょこんと小さな人型の黒い影が姿を見せる。
「世界を震撼させるエスカルチャ家の家系魔法だ。これの恐ろしさは誰であっても知っていることだろう。
影法師。
それは己の影から生み出される小さな存在を生み出す。
ただこれだけがエスカルチャ家の家系魔法であり、この魔法が強力なのである。
基本的に魔法は手の平の上からしか発動出来ないのだが、この影法師は手の平の代わりを果たしくれる。
端的に言うと影法師からも魔法が打てるようになるのだ。
しかも、一切魔法の発動を周りに悟らせない形で。
ついでに言うと影法師の行動距離も出現させられる数も理論上は無限であり、どれだけの数にどれだけの自由度を与えられるかどうかは個人の力量に大きく依存する。
代々エスカルチャ家の人間は何千万という単位の影法師を世界中に展開し、その影法師から監視魔法を発動して世界の目となっているのだ。
ちなみに暗殺も可能だが、それはエスカルチャ家の切り札であるために一族以外には伏せられている。
「自分の場合はこれに食われて固有魔法である『過去視』と『未来視』もあるので更に隙はないです。未来視は数秒先しか見えませんが、過去視は結構さかのぼれるので諜報に対する隙は一切ないです。このように影法師は姿を完全に消すことも出来ますので」
僕は生徒たちの前で意気揚々と自分の手札を明かしていく。
手の平の上で小躍りしていた影法師を不可視の状態へと切り替える。
不可視の状態となった影法師はどんな存在であっても感知は不可能である。
「そして、これだけの数を同時に展開できるのです」
「「「……ッ!?」」」
そして、僕は姿を完全に消した影法師を見て感嘆する生徒たちを更に驚かせるためにこれまでずっと隠していたクラスメートたち全員の手の平の上に乗せていた影法師を可視化状態へと切りかえる。
「これが家系魔法だ。圧倒的だろう。だが、それに臆する必要もない。汎用魔法とて決して負けたものではない。君たちは才能の世界である家系魔法に対抗するためにも全力で学ばなきゃいけないのだ」
脅威として常に語り継がれるエスカルチャ家の家系魔法を実際に目の当たりにして、唖然とした感情を見せる生徒たちへと先生は彼らを奮い立たせるような言葉をなげかける。
「自分の家系魔法は見るだけですからね。弱点も同様にありますしね。家系魔法が全てじゃないですよ」
そして、僕の先生の言葉に続いてその言葉を更に援護して、生徒たちを焚きつけていく。
「……助かる。そういうことだ!よし!それでは本格的に授業を始めていこう!」
援護射撃に対して小さな声で感謝の意を示した先生はその後に声を張り上げて授業を進めていくのだった。
あとがき
新作です!
『チート無しの転生者はヤンデレ幼馴染たちの冒険者パーティーから追放されたい~チートもない無能な僕は追放されたのに愛の重い可愛い幼馴染たちが離してくれません!~』
『https://kakuyomu.jp/works/16817330668890774155』
読んでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!!!
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