王都観光
互いにドレスコードバッチリの状態でやってきた王都。
王都は一般人が住んでいる場所と壁で区切られる形で貴族街が存在している。
「ここの耳飾り良いな……便利そうだ」
その貴族街を歩く人たちはみながドレスコード完璧であり、完全におめかし状態の僕とアンヘルが街を歩いて買い物をしても一切違和感がなかった。
「……まだ、ピアスを増やすんですか?」
「……だが、本当に便利なのだ?これは」
魔法の発動を手伝ってくれるピアスを手に取る僕は少しだけ呆れた様子の
「既にご自身の耳にはもうピアスをつけられるような位置はほとんどないですよ?」
「そんなことは別にないとも。まだまだ付けられる。耳の内側にもつけようと思えばつけられるしな」
「……えぇ?」
僕の言葉にアンヘルが本気で困惑したかのような声をあげる。
「僕は家系魔法ばかりのスキルツリーを伸ばしており、しかも常にその魔法をフル稼働している状態であるため、戦闘をする場合は補助道具が一杯必要になってきてしまうのだ。父上や祖父もそうであった」
我が家の人間はじゃらじゃらと装飾品ばっかつけているが、それもちゃんと意味があるのだ。
「だとしてもピアスはつけすぎだと思いますけど……何か、別のところのアクセサリーを考えたらどうでしょう?」
「うむ……へそピアスであるか?あそこは少し、暴発したときにそのまま死に直結しかねないから難しいと言わざるを得ないが……舌ピアスとかならば問題ないか。口が飛んでも死ぬわけではあるまい。回復魔法でどうとでもなるだろう」
「お待ちください。何故ピアスオンリーなんでしょう。ネックレスとか指輪とかがあるでしょう?」
ここまで全部ピアスで賄っているのだから、出来るだけピアスで賄いたいという実にくだらない些細な縛りプレーをしているから……まぁ、良いか。
特にピアスにこだわる理由もないし。
「何か別のアクセサリーも見繕ってみるべきか……」
「えぇ、それが良いでしょう」
「せっかくだ。アンヘルのも買っておくとしよう、元々持っていたのは逃げるときに持って来れなかったのだろう?もっておくべきだろうて」
「いえいえ、そこまでしていただくわけには……!」
僕の言葉をアンヘルが首を振って否定する。
「別に良い。これとてお前への正当な評価であり、褒美だ。ここまでよく僕のために働いてくれているゆえにな」
だが、その言葉を否定して買うように促す。
「……そ、それでは指輪の方を頂けるでしょうか?」
「構わぬぞ」
僕は躊躇った末に要求を口にしたアンヘルの言葉に頷く。
「であれば、僕の指輪にしようか……どんな効果があるものが良いか。アンヘルは何が良い?毒の魔法を強くするものか?それとも、何か別のものが良いか?」
「……」
「……アンヘル?」
「も、も、申し訳ありません。そ、そうですね……やはり、自分としては毒の魔法を支えてくれるような指輪が良いですね」
「うむ。あいわかった。それではその類のものにするとしようか……僕は何にしようか。見た目も効果も良いようなものはないかな」
「こちらは如何でしょう?ついている宝石もかなり美しいですが」
アンヘルが見せてきた指輪はルビーがあしらわれた指輪であった。
「確かにこれはいいものであるな」
僕はアンヘルと共にしばらくの間、王都散策を続けるのだった。
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