第100話 海崎氏の依頼
ここからは
警察が彼ら八人のほとんどを乗せたのを僕たちは眺めていた。川東がパトカーに乗せられるとき僕と空さんをにらんできたので、僕たちもあらん限りの眼力を込めてにらみ返してやった。
海崎さんが一息ついた顔になる。
「まあこれで一見落着だな。あのごろつきは放火や放火未遂、傷害未遂、強要と言ったものか。笠谷の方はその
「はい。今回はいろいろありがとうございました。情報だけでなく
そう答えるムネさんに海崎さんはにやっと笑った。
「
「はっ」
ここで海崎さんの表情がすっと変わる。能面のようになる。
「だがな、俺がこんなとこまではるばる来たのにゃ訳がある、ちょっと耳を貸せ」
「はいっ」
海崎さんはムネさんを僕たちから遠ざけるようにして背を向け何か耳打ちをした。途端にその身体が硬直するムネさん。そして一瞬、ほんの一瞬だけ空さんの方に視線を向ける。
「いいか、しっかり頼んだぞ」
表情を押し殺したかのような顔の海崎さんと、ショックで言葉が出ないムネさん。僕にはそんな風に見えた。
「じゃな、あばよ」
海崎さんはおぼつかない足取りで広場に停まっている高級車に乗り込むと、車はでこぼこの道を大きく揺れながらシェアトから去っていく。
僕たちはそれを無言で見送っていた。
【次回】
第101話 流星と笑い声
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます