第6章 乗馬訓練・ささやかな嫉心と焦り
第27話 練習場のシエロ
今日の午前中の空き時間。僕がシエロの
「シエロいない……」
「今日はちょっとやることがあったんですよ。見に行ってみます?」
空さんは強くうなずいた。
空さんをまだ連れて行ったことのない馬術競技場に連れて行く。そこでは
「あ、シエロ」
空さんがかすかな声をあげると、それに気付いたのか集中した様子のシエロが一気におかしくなる。空さんの方に顔が向きそこに行きたがる。騎手が指示をしても言うことを聞かず、いなないて抵抗する。この突然の変化に騎手も周りの人々も困惑した。するとシエロはうなって一目散に空さんに向かって速歩で歩みを進めようとする。
「ごめんね、今日はなんにもないの」
「やれやれ、彼女が今度来た謎の新人ちゃん?」
詰所からやってきた40歳前半のスタッフがこの様子を見て笑いながら言う。この人が
「いや、謎ってほどでもないですが……」
「いやいや、充分謎だよ。あんなにひ弱そうに見えるど素人なのにふらっと現れるとあのシエロを一瞬で
「そんなふうに思われてるんですか」
「事実だろう?」
「う」
「しかし話には聞いていたけれど彼女とシエロの結びつきがこれほどのものとはね。嫉妬しちゃうなあ」
そう言うと
【次回】
第28話 人馬一体
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