第3話 隈原牧場「シェアト(Scheat)」
ムネさんが
歩きながら彼女は
「ねえ、ここどこ……ですか?」
「えっ」
僕は絶句した。
「なにっ」
「は?」
ムネさんと原沢は呆れた。
「何も知らないで来たんですか? ここは『
「引退? 競走馬?」
ゆっくりとオウム返ししてきた彼女の眼からは光が失われたままだ。だがその
「競馬場で走るのをやめた競馬馬のことっす。競馬した事もないんすか」
原沢がむすっとした声で言う。
「ここは競馬で走っていた馬が引退後も安心して暮らせるようにって作られた牧場です。それだけじゃなくて馬術用の馬に調教し直して再就職することもあるんですよ」
この辺りは慎重な物言いが必要だと思った。ムネさんと原沢がこれ以上何か余計なことを言わないように、と僕が話に割り込んで説明する。
「競馬なんて全然知らないもの」
彼女の反応の薄さに僕もムネさんもがっかりした。ただ原沢だけが不安と
「『
僕が苦笑いをすると彼女は何かに気付いた顔をする。
「入り口の……看板」
「そうだな。
水色やピンク、赤に青などで派手に彩色された「シェアト(Scheat)」の看板の方が遥かに人目を引くインパクトがある。
「シェアトって言うのはペガスス座を構成する
「なんだ
僕の説明にやけに感心するムネさん。
「まあ、全部
「なんだ……」
「そういやその
「はは、
「う、ううむ…… まあな」
苦笑する僕と難しい顔になるムネさん。僕たちは色々な話をしながら僕はシエロの視界内にはっきりと彼女が映るように歩かせた。案の定シエロは全く暴れず、大人しくむしろ少し浮かれた様子で
【次回】
第4話
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます