第6話転生した青年の憂鬱

ここまで書くとわかっていただけた

だろうが、この世界の日本はかなり違う歴史を歩んでいる。


海軍の拡大の八八艦隊計画が日本と

アメリカの間に軋轢を生んでビンソン計画の遠因になったのではと危惧していた『宇垣昌弘』は陸軍にも海軍にもコネが

ある実家の力を生かして予算を審議し

冷静に議論する場所を作って海軍の軍備拡大派閥を撃破し扶桑型、伊勢型を廃案に追い込む事に成功。


そして海軍側に金剛を拡大発展させた

戦艦の建造を提案し(長門型)

武装も防御も速力もアメリカの新鋭戦艦群の上を行く長門級を更に拡大発展させ、赤城級巡洋戦艦と加賀級戦艦の建造に取り掛かったのだが、、、


『はぁ~、まさかアメリカが猛烈に反発してきて徹底的に抵抗してくるとはなぁ、、、』

とため息をつく昌弘。

陸軍にコネがあるとは言ったが

宇垣軍縮論が自論な宇垣家だけに

陸軍との関係は最初は最悪状態。


『海軍の軍艦の明らかな欠陥や不備を

指摘して戦艦の建造を中止させたり遅らせたりすれば軍事予算は大幅に浮くし、

浮いたお金を航空関連予算や陸軍の機械化にまわすように政府を説得するべき。

』と説いてなんとか石原さんや東條さん達を味方につけたというのになぁ。


『金剛級は防御に問題がある。

垂直防御を強化した新型戦艦を建造すべき。』と海軍を説得して、

金剛級を2隻に抑え、金剛達も垂直面の装甲強化工事をさせ、副砲を取り外し高角砲を増設して機銃も増設して理想の金剛に魔改造したんだがなぁ、、、


長門を建造した事でこれほどアメリカとの関係が悪化し始めるとは予想外だったのが本音だ。


ちなみにイギリス側との関係は良好で

なにも変化なしである。

まぁ、15インチ、38.1cm砲を搭載した

戦艦をずらりと揃えているイギリスだからな。

16インチをちょっと超えた41cm砲を

搭載した長門に目くじら立てるほどとは

思っていない。


それに比べてアメリカは14インチ、

35.6cm砲を搭載する戦艦をずっと

建造していただけに41cm砲を搭載した

長門を危険視しているようだった。


赤城は260m。加賀は250mの全長が

250m超える戦艦。

赤城級を2隻、加賀級を2隻建造する予定の日本を脅威と見做したのだろうが、、、

『予想の何倍も反発が大きいな。』

とため息が出る。


空母になりそうな赤城と加賀。

金剛、榛名、長門、陸奥の4隻しか

戦艦が無いのに横やりを入れられた!

と激怒している海軍。


戦争になりそうと思ってしまうほど

悪化している日米関係に唖然として

しまうのだった。


浮いた予算を国力増加の為の予算に注ぎ込めたというのに、、、

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