第4話 カーラ・オーティス
カーラ・オーティス(https://www.karlaortizart.com/)はハリウッド映画やゲームのコンセプト画を手掛ける、絵がうまいアーティストだ。彼女の作風は耽美かつトラディショナル。ライブで描くのを見れたらさぞかし圧巻であろう。彼女を初めて知ったのはTrojan is the Unicorn (略してTHU)というイベントから。THUは、世界各国から映画やゲーム、イラストレーション業界のアーティストを招いて講演会やワークショップを開催し、そこへアーティスト志望や現在アーティストとして働いている人たちが自分のポートフォリオを見てもらったりするイベントで、絵を描く人間なら、こんなイベントに一度は行ってみたいはず。私は参加したことはないが、パーティ的要素もあるので参加した人たちは実に楽しそうであった。そして彼女は、ライブペインティングを披露する役で、このイベントの常連かつアイドル的存在であったのだ。
カーラの職業としての絵の仕事は映画やゲームのコンセプトアートやイメージ画などだろうが、公開されている数はそれほど多くない。もちろん仕事として描いたものは守秘義務もあり、一般公開できないことが数多くあるが私の中では、職業画家というよりも、より芸術家に近いアーティストといった印象だ。
そのカーラがネットのニュースに出てきて、何事かと思った。
AI生成画像について、カーラが苦情を申し立てたのだ。
小段のAI画像は確かに酷い。彼女の絵が単に参照されただけでなく、ほんの少しだけ変えた状態でほかの人の作品になっている。これは怒って当然だろう。
いつの間にやら、カーラはAI画像生成反対派の先鋒みたいになっていた。
AI画像生成の普及によって、絵描きが多大な影響を受けることは間違いない。
このソフトウェアを作った側が、参照元の著作権に対してどう対処していくのか、絵描きは生き残れるのか。AIのない時代だって、人の絵にちょっと加筆して自分の絵だと言い張る人は結構いたが、AI普及後はきっと、このタイプの人間はもっと増えると思う。
絵で食っていくというのは並大抵のことではない。まず習得に多大な努力と時間を要するし、特に女性の時間を費やすということは、時間以外にも捨てるものが多くなる。昔の有名少女漫画家の多くが独身であることからもそれが見て取れる。いろいろなものを犠牲にして得てきたものを、軽々しく扱ってほしくないと思う。
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