第7話 譲治 また変わった料理が

肉まんの娘のところに来ると、不思議な匂いがしていた。あまりいい匂いではないが、食べるのか?


「あ、お兄さん、蓮根の素揚げだよ。」

「素揚げ?あまりいい匂いじゃないけど食べられるの?」


蓮根は領地の特産品だ。王家への献上品の一つでもある。田舎臭いけど何もないよりはマシらしい。

「いくら?」

「一袋50銭。」

「高くない?」

「こんなに油使っているんだよ!!!」

「陽介、よろしく。」


苦くなく、サクサクして美味しいけど匂いが邪魔するね。惜しいな。


「あ、お嬢さん、夏の初めには匂いの少ない油になるからもっと美味しくできるよ。」

「お嬢さん?」

「そーそー、護衛つけて出歩いているし、着ている服も良さそう。」

「私、男···」

「自分のこと私って言う男初めて見た。まーどっちでもいいよ。子供は差がないから。」


相変わらず失礼な女だった。




注:荏胡麻油は日本では平安から鎌倉までよく作られていたが、匂いが好まれなかったため一部の地域を除いて食用としてはあまり扱われなかったという情報を元にしています。出典見失ってしまった。。。


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