第5話 譲治 笏

お祖父様公認になり、笏を人前で使えるので色々試すことにした。

大きく分けるとナカマロとタムラマロ、タムラマロの方が大きな術力が必要とされているが、飛空版のようにナカマロでも大きな術力が必要なものもある。


どちらにしても、正しい言葉を知らないといけない。


「タムラマロ 神農本草経」


笏が本に変わった。読むこともできるが、大事なのは見ている植物の毒性がわかるという能力だ。これにより毒がある植物でも、幾つかは一部を切り取ったり熱を加えたり、水に晒すことで食用にできるようになったらしい。

初代領主が国司に任命された功績の一つといわれている。


「タムラマロ 笏」


笏に戻した。先祖の残したメモ帳を見ると、あまり使わない言葉もたくさん書いてある。普通は親から習うので知らない人も多いだろう。


夏にはお父様の葬儀が行われる。お祖父様が取り仕切るため、私は挨拶を受ける程度だが、重要な人を覚えるように言われている。


領内で重要というと、飛ぶことができるのが条件となる。飛空板でも天馬でも構わないが、天馬を使えるほうが上位と認識される。


飛べるのは18人、お祖父様と第一騎士団長が天馬を使える。

後は領都の長官と領都以外の3つの街の長、第ニから第四騎士団長、商業長官、農業長官、司法長官、外交長官、あとは適当な肩書はあるらしいが決まった役割がない人が5人。


彼らは領主を決める投票権を持つ。また、領内の法を変えたり布告を行うには彼らの同意が必要とされている。避けることはできない。


息が詰まってきたので下町に行こう。ついでに笏を増やすことにする。

「健人、下町に行きます。」

家令に声をかけた。護衛にいつもの陽介が来た。下町出身は便利だ。


「肉まんですか?」

なぜそれになる。と思ったが、言われると食べたくなった。


「そうですね、行ってみましょうか。」


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