第3話 サバイバルゲーム

 今日は年に一度のKYC(カクヤルコンバット)が開催される。


 集まったのは純文学、ライトノベル、ライト文芸、ラブコメ、恋愛、ミステリー、エッセイ、ホラー、そして俺、異世界ファンタジーだ。


 フィールドは森林がメインで池もあり空き地にはバリケードや建造物も混在している。形式はKYC独自ルールだ。参加者は二人一組でバディを組み敵を殲滅していく。


 生き残ったものが★を貰えるという仕組みである。


 そう、これは★をめぐっての戦いだ。


 俺たち参加者とバディを組むのは大抵がサポーターで二人で協力し合って敵を倒していくのだ。


 

 合図が鳴り、ゲームが始まる。


 すると説明を聞いていたはずの純文学は参加もせずに怒って帰り、ライト文芸は休憩所で囲碁を打ち始めた。


 先陣をきったライトノベルは恋愛に素早く近づくが彼女のサポーターによって阻止される。

 

 ミステリーは池から突き出た二本の足を見て殺人事件だと言って見分をはじめ戦線から離脱した。


 ホラーは俺を狙ったラブコメの流れ弾に当たって死んだはずなのにゾンビになってウロウロしていたので違反行為で失格になった。


 ラブコメと俺は一騎打ちになるが元より弾切れなどないチートなエアガンを使っている俺は難なく仕留めてやる。ふふん、世界観で端から勝っているのだ、俺に負けなどあり得ない。


 するとサバゲ―を舐めているのか派手なドレスで目立ちまくっていた恋愛がバリケードからドレスの裾をはみ出して誘ってくる。罠か。


 ここに残った恋愛は異世界ファンタジーの住人だ、どんな仕掛けをしてくるかわかったものではない。気をつけねば。


 俺はバリケードから見えないように注意深く回り込む。そして身体強化した足で跳躍すると恋愛の上を取る。


 勝った。


 と、思ったのもつかの間、恋愛は俺のサポーターと抱き合っていた。


「あっ、異世界さん、悪いっす。もう飽きたんでこっちに鞍替えしました」


 バギュン


 俺は俺のサポーターだった男に撃たれて敗れた。


「くそっ、この裏切り者っ。だがな、お前ら勝ったと思うなよ」


「何言ってんすか、負け惜しみっすか」


 あざ笑うサポーターの男を睨みながら、俺は忠告してやる。「お前らは一つ見逃していることがある、エッセイはどこだ」


 はっとした恋愛とサポーターが辺りを見まわし探し始め、そして同時にその姿を見つける。


 エッセイは一人、実況席で鼻をほじくっていた。





※ このお話はフィクションです。




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次回 

「K・ファンタジー・オブ・ザ・イヤー」

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