第18話 ぎるど けっせい
ギルド結成クエストの最後の【消えた悪魔を追え】のボスであるバフォメットを倒したユキト達には時間が残されていなかった。
18歳未満のログイン時間は一日十時間までとされている、今日は朝9時に待ち合わせをしていたが、ユキトは五分前にタッツーとラナとレナは三十分も前に来ているため、休憩時間を計算して夜8時00分までインしていられる。
お昼の時間は合わせる事は出来たが、夕飯以降の時間までは合わせる事はできなかった。
タッツーが宰相に報告すると報酬として鍵を渡された。
その鍵こそギルドホームへの鍵で、貴族街、平民街、スラム街の三ヶ所の中から決められている特定の建物に鍵を使えばホームの構築と一緒にギルドの結成の手続きとなっている。
貴族街、平民街、スラム街の違いは場所だけでなく、ホームのグレードと維持費に関係している。スラム街のホームは1000~5000
ギルドホームのグレードは市民街で一番安い1万fの値段の奴には直ぐに決まったが、ギルドネームに関しては決められずに悩まされている。
ギルドネームは他のギルドネームと被る事は出来ない仕様であるため、在り来たりなギルドネームは採用されないが、極稀に採用される事がある。
その理由はギルド維持費を一年間未納状態になってギルドが消滅してギルド名が重複にならなくなった時だ。
「ええ~これも駄目なの!! 誰も付けないと思ったのに!」
「いや、流石に認められても俺達が恥ずかしいからな」
「そうだよ。たっちゃんの言う通りだよ。何処のギルドですか?って聞かれて、ギルド『姫達の騎士』ですとか恥ずかしくて名乗れねぇよ」
ギルド名が採用されたら決定と言うルールになって、思い付いた者がホームの前に現れているキーボードに入力してエンターを押すがどれも不採用となり、あれこれ試しているうちに拘りが出て来たのかタッツーとレナでキーボードの取り合いに発展していた。
「ナイト!」
「ローズ!!」
「おいおい、もう……採用されれば何でも良いだろ?」
「ユキ君、何でも良いの? じゃあ、【お嬢様とその下僕】で良いよね」
「「あ! おい!!」」
今まで参加していなかったラナが不穏な言葉を呟いてキーボードに触れてしまい【お嬢様とその下僕】と打ち込むのを阻止する事ができず、エンターが押された瞬間「ああああああああ゛」と言う叫ぶ二人の気持ちをシステムが反応したのか検索中の時間が異様に長く延びれば延びるほど二人の緊張度が増し、耐えきれずに唾を飲み込んだ。
異様に長く感じた検索だったが、【既に存在しています】と現れ不採用となったことに安心のあまり深く長い溜息がでてしまった。
「ユキ君、何でも良いんじゃないの?」
「何でも良いにも限度くらいあるだろ」
「私はさっきのでも良かったんだけど」
「それってギルド名にかけて俺とユキトを使い走りにする気満々だろ」
「当り前じゃない」
「こ、この姉妹こわいよたっちゃん!?」
「何でもよくないなら、ユキ君もちゃんと考えようね?」
「は、はい」
一騒動あってもまたしても何も決まらずに時間だけが過ぎて行くだけで今日中に決めるのを諦めようとしたところで、ユキトが「あ……」と呟き、ラナは微笑んだ。
「悪くないんじゃん」
「俺もそう思う」
「じゃあ、ユキ君のこれで決まりだね」
ギルド名が決まり、ギルドホームの中に入ると一番安いので二十畳あるかないかくらいの四角い空間で、その奥の壁の前に宝箱の形をしたギルド共有のアイテムボックスがあって、入口の近くに管理用オーブが置いてあった。
そのオーブを使ってホームの内装などを自由に決められる様になっていて、レナとラナが楽しそうに操作してあれこれと確認する度に家具が現れたり消えたりし、下手な所へ行くと下からにょきっと現れる家具に驚かされたりと危なかったためユキトとタッツーは隅っこで殺風景だったホームが着飾れるのを見守っていた。
内装に時間が掛かると思っていたが家具はデフォルトのバリエーションしかないため、シンプルに玄関開けたら直ぐにダイニングキッチンと四人掛けのテーブルと椅子、奥をリビングとしてソファーとテーブルを置いて、壁に大型のモニターを掛けてて設置した。
ひと段落して打ち上げでもやろうかと思ったが、レナとラナが夕飯時になってログアウトし、さっきはレナ達が触ってて触れなかったユキト達がオーブに触れて家具を出したり消したりして確認して遊んでいると、タッツーもご飯落ちして一人でオーブに触れて遊んでいると、オーブの形を変更するメニューを開くと犬や猫などの置物だったり観葉植物になったりと様々な物があるが、リアルマネーやギルドポイントで購入できる物の中には置物ではなく動く物があってイヌとネコは人気らしく、大人気と言うリボンの帯が付いた。
少し悩んだけど、リアルマネーを使って白猫を購入して設定すると「にゃー」っと言う鳴き声と共に現れて、ホーム内をネコらしく移動しては適当な所で丸くなった。動いていたら使いにくいかなと思ったが、出入りする度にネコが入り口で『見送り&出迎え』をしてくれるらしく、余りの可愛さに何度も出入りしてしまった。
後日、ラナがギルドホームの前で何度も出入りするのを遠くから見てしまい、遠くから見守っているとレナが来て今度は二人で出入りしだして、タッツーが二人の言動に爆笑したら、ダブルビンタが左右からタッツーを襲い力が逃げる事が出来ない究極のビンタを目撃してしまった。
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