第14話 ぼくらのふぁんたじーⅢ
一時間半ほどの休憩を終えて順次FLFにログインしてギルド結成のクエストを再開する。
最後にログインしたのはタッツーでこの先のクエストの進行が不安になって攻略サイトで確認していたらしい。
ギルド結成クエストは貴族からの緊急依頼で人手が足りなくてやむを得ずに冒険者組合で信頼できる人にと言うことで選ばれ、そして呪いを解呪するため高名な魔女の所へ訪ねて、その指示で素材を集めて薬を夫人と令嬢に飲ませて解呪に成功してクエストを終えると、次にその貴族を通してフラグを立てたプレイヤーの所属する国の重鎮から一つの依頼を受ける事になり、それがギルドを結成するのに必須のクエストになる。
解呪クエストが終わって噴水エリアに戻されパーティ―のリーダーであるタッツーがギルド結成クエストとのフラグを立てに行き、ユキトは青い丸みのある宝石を掌の上でぽんぽんと投げて遊んで暇をつぶしていた。
「解呪クエストの報酬ってこれかぁ……」
「私は綺麗で良いと思うけどなぁ」
「ラナ、ユキトに宝石の良さが分かる訳がないじゃない」
「三人ともクエストを受けて来たよ」
【王都近郊の教会の調査】それがギルド結成クエストのタイトルで、国の重鎮ユキト達の場合がアルタ王国の宰相からの直々の依頼で、従来ならパーティーで行動して依頼を受けるが、このクエストは個人クエストになるためギルドマスターになる者が受け、そして仲間を集めて再び宰相の所へ行く事でクエストが始まる。
『王都近郊にある教会の調査それがタッツー殿にだした依頼だ。詳細はタッツー殿から聞いてくれ』
これでパーティーメンバー全員に王都近郊の教会の調査クエストの依頼が始まった。
王都在住の貴族を中心に呪いが流行して、その原因を国で調査して教会が怪しいというまで掴めたが、国としては教会と表立って揉める事は避けたいと言う事で冒険者に依頼することになったとのことだ。
教会の扉の前で緊張しているタッツー達を横にユキトは扉の前に立って「どーーーん!」と言って扉を蹴って開いた直後にレナから強い一撃がユキトを襲った。
「ふげぇ!?」
「ちょ、なにしてんのよ! この罰当たり!!」
「ユキ君、それはゲームでもやっちゃ駄目だよ」
「ユキトが馬鹿やったのはおいといて戦闘準備! 来るよ!」
教会の扉を開けると神父に扮した悪魔が教会に訪れた住民から生気を吸い取っている現場に出くわし、それを目撃した冒険者を消すため悪魔が襲い掛かり、その攻撃を誰よりも前に先に出たタッツーが盾で受け止めその隙にユキトが弓で狙う。
「速過ぎて狙えねぇ、仕方がないか」
弓で戦う事をやめて短剣を抜いて構えるが、動きが速過ぎてついて行けない。
ラナがタッツーの体力を管理して回復し、レナが隙を見て出が速い魔法で援護していく。
「これが第一成長期より先の力なのか……」
半年以上先に始めてる三人はとっくに第一成長期を迎えているばかりか、その先の成長もしているため、簡単に悪魔の動きについていけており、ユキトは目で終えてはいるが体が付いていけてないと言うもどかしい状況下に置かれてしまった。
だが、それは最初から分かっていたこと。
この先の戦闘でユキトがタッツー達の様な戦い方は出来ない。だから遊撃として何かできないかと思考を巡らせて戦うしかなかった。
悪魔の動きが目で終えているからこそ、落ち着いて見ていられた。
距離を取り過ぎるとタゲを取ってしまうため、距離間に気を付けたりとスポーツセンターで開かれたFLF教室や動画で教わった事を思い出しつつ、今の自分にできる最良の一手を探す。
タッツーが挑発を使って悪魔の注意を惹き付け、他にタゲが向かない様に上手く攻撃をいれ、レナも自分にタゲが向かない様に強過ぎない小さな魔法を細かく当て続け、ラナは支援魔法をかけながらパーティー全体のHPとMPを管理しつつ離れ過ぎてタゲ来ない様に適度な距離を保っている。
そしてFLF教室では、何度も聞かされた言葉がある。
それは『これはあくまでゲームです』その言葉には全てが詰まっている。
ゲームの感覚はリアルでは持ち越せないし、リアルの感覚が全てじゃないと言う事は勿論。
モンスターとの戦闘に置いてゲームだからこそ
まず位置取りに気を付ける。レナの対角線上にいるとレナの放った魔法か自分の放った矢がレナに当たる、悪魔の背中が狙い易い背後はもし悪魔が避けたら全く見えなかった状態でタッツーが矢を避ける事になるため危険であり、離れ過ぎた場合ラナの支援魔法、また支援アイテムの効果範囲外になってしまうため今のユキトにとってリスクでしかない。
そこで誤射しないで済む方法はタッツーかレナの横から攻撃する事になる。
「見つけた!」
タッツーの攻撃の後には小さな隙があり、そこをレナが攻撃速度が速い魔法で攻撃するがそれでも放たれるまでの時間は必要なためタイミングが合わずに何度か外している。そこを攻撃力はそんなに高くないが出が速い弓で射抜いて隙の時間を数秒でも延ばす事を考え、レナが詠唱を始めて魔法を放つほんの少し前に横から弓で悪魔の横っ腹を狙い、それが命中して少し怯んだタイミングでレナの魔法が命中して大きく怯んだところをタッツーが剣で溜めた重い一撃を悪魔に当てると大ダウンを取ることが出来て、そこにラナも攻撃に参加して全員でありったけの一撃を入れた。
「はぁぁあああ!!」
「ホーリーアロー!」
「サンダーボルト!」
「みんなハデだねぇ」
三人のような強い攻撃はないが矢で攻撃すると、派手な爆発音や切り裂く音に紛れてサクッと弱々しく刺さる音が混ざっていたのが少しく切なかった。
爆発によって舞う粉塵で悪魔の姿が見えなくなり治まるのを待っている中で迷わずにユキトは「やったか!!」と叫んだ。
「はぁ~あ、ユキトならそう言うと思ったわぁ」
「せっかくナイスアシストだったって褒めようって思ったんだけどな」
「ユキ君は裏切らないね」
粉塵が収まり悪魔が居たであろう場所にボロボロになった神父服と一枚の羊皮紙が落ていて、それを拾って宰相に報告に行くと【王都近郊の教会の調査の達成】と出た。。
そしてクエスト【消えた悪魔を追え】が始まった。
因みに、この【王都近郊の教会の調査】!】のクエストは調査であってあの悪魔を倒す必要はなく一定時間耐えれば良かったと後から知った。
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