第三話 超展開にも程がない???


 2023年4月5日。


 電話口で作品の方向性と今後のスケジュールの打ち合わせを終え、私は早速プロット第一稿の作成に入った。


 締め切りは4月29日。そこから編集会議で修正点などを話し合った後、遅くとも5月下旬を目途にコメントをつけて返信すると言われる。


 プロットについて『迷っている箇所は迷っていると書いてくれて構いません』と言っていただいたおかげで、かなり気楽に望めた。


 4月21日。少し早いがプロットを送信。完成したと言うより、これ以上いくら頭を捻っても良い案が思いつかないので送ってしまおう、という感じだ。


 そして、プロット提出から3週間後――


 メインフォルダ、新着なし。迷惑メール、空。ゴミ箱、空。全てのメール欄、新着なし……。


 ――んん~~~ぅ???


『3週間過ぎても来ないんですけど?』と疑問符を浮かべつつ『まあ早めに送っちゃったし、GWも挟んだからな。遅くとも5月下旬目途に返信って聞いたし、月末までには来るだろ』と、一旦待つことに。


 だが、更に3週間後――


 メインフォルダ、新着なし! 迷惑メール、空! ゴミ箱、空! 全てのメール欄、新着……なし!


 ――んんんん~~~ぅ??????


 6月に突入したにも関わらず、一向に返信が来る気配がない。流石にこれはおかしいだろと、6月7日に意を決して確認のためのメールを出した。


 1週間後――


『誠に申し訳ございません……編集長と確認させていただいた後、お戻し前の段階で私の手元で止めてしまっておりました……』

「担当さーーーーーん!!!!!」


 まさかの展開にも程がある。鳩が豆鉄砲どころではなく豆爆弾食らったレベルの衝撃に私は震えた。

 担当さん、恐ろしい子!!!!!


 とは言え。

 前回お話した通り。私は既に担当さんが大好きだったのと、きちんとした謝罪を受け取ったので『ええいやらかしたモンはしょうがねえ! 次だ!』と気持ちを切り替えることにした。


 6月20日。コメントの入ったプロットが届いたので、早速確認。

 修正コメントはまさに簡潔かつ的確。大変わかりやすくて勉強になるものばかりだったのと、書籍化に伴って追加した私の性癖詰め合わせパックみたいな新キャラクターの設定を『いいですね!』と全肯定してもらえたおかげで、モチベーションは爆上がりした。


 ただ私が書籍化初心者ゆえに、レイティングや文量など、かなり多岐に渡ったご指摘をいただいたので、『ちょっと修正に時間が欲しいです』とのお願いメールを送信。


 その返信にて、またしても担当さんはブッ込んでくれた。


『了解いたしました! また、お返事とあわせてで恐縮ですが、現在今作のイラストレーターさんを検討しております!』


(おお! 展開が早いなあ)


『普段BL漫画を描かれてる方をメインに何人か候補を出させていただきました』


(おお! 仕事も早いなあ)


『この中から鳩藍様の中でイメージに合う方を絞り込んでいただいて交渉して行く形になる予定でございますので……』


(ふんふんふん)


『お時間短くて恐縮ですが、明後日を目途にご教示いただけると助かります!』

「いや早ぁーーーーー!?!?!?」

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