第17話 初陣(1)
サンダーズだけではなく僕が住んでいる町には草野球チームが沢山ある。今回、僕達が出場するのは出場チームは8チーム、地区のチームのみが対象という規模の小さい大会だった。9人ギリギリというチームがどこまで戦えるのか意外に注目されており海野意外僕達は緊張でガタガタだった。登録メンバーの打順は以下の通り。
(登録メンバー)
監督 海野晴太
投手 海野晴太
一番 海野晴太(投)
二番 田村零央(捕)
三番 設楽幸太郎(右)
四番 生駒一生(左)
五番 賀喜真人(一)
六番 星野実(三)
七番 齋藤剛(中)
八番 有村達也(二)
九番 内野達也(三)
試合が始まった先発は海野晴太。見とれてしまうような投球内容だった。バットに掠られることなく三者連続三振。攻守切り替わりチーム初打席バッターは海野、初球のアウトコースストレートを迷うことなく快音を鳴らしホームラン。二番バッター田村、詰まったがインコースをヒットになり上手く打線が続くと思ったのだが..。初めて打席にたった僕らは手も足も出ず、設楽、生駒、賀喜は連続三振で初打席は終わった。二回表、相変わらず海野は三振でピシャリと討ち取りスリーアウトで交代した。見物人は「なぜ、大和学院のエースがここにいるんだ?」とか「モノが違うよ」などの声が聞こえた。二回裏、僕らは相変わらず何も出来ず三者三振でシャットアウト。三回表、海野のボールが遂に打たれた。レフトフライだが捕ることが出来ずスーリーベースヒットになってしまった僕に海野は「全然ヘーキ気にすんな」と笑いながら言って次のバッターへ挑んだ時だった。海野が一球目を投げた時、肩を抑え崩れた。メンバー全員がグランドに集まろうとしたが海野は手でメンバーが集まるのを止めた。海野は左手に球を持ち変えた。左肩で続けるつもりか?、僕らは全員目を疑った。その時、見物人からある会話が聞こえた。
「海野、怪我大丈夫なのか?ピッチャー交代した方がいいんじゃね」
「いや見てろよ、彼の凄さがわかるのはここからだ」
海野は田村を呼び「この回だけだ、変化球解禁するぞ」と言った。
田村はニヤッと笑って「任せろよ」といい戻って言った。海野は、フォーク、縦スライダー、横スライダーを使いツーアウト、ランナー3塁の危機を防いだ。そしてベンチに戻るとポジションの交代を伝えた。
「生駒、俺とピッチャー交代だ。俺はライトに行く」
「わかった」僕は力強く頷いた。
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