第1話

なんだか頭がボーっとする。

俺は、何をしていたんだ。

そういえば、よくわからん少女に殴られた気がする。

俺は、頭を上げるとそこには俺をゴミを見るかのような様子で見てくるあの少女がいた。

なんだかわからないが俺への好感度はゴミレベルらしい。

どうしようもない、とりあえずあの少女に事情を聴こう。

「えっと、そこの未確認生物、聞きたいことがあるのだが。」

「とりあえず、ものを尋ねる相手に未確認生物というのは、失礼じゃないのか。」

くっ、よくわからん奴のくせに、的を射ている。

「確かに、失礼した。そこのUMA。」

「意味変わってないだろ。」

「いや、金髪碧眼だから、和製の者ではなく、外国の名前に強いこだわりを持っているのかと。」

いや、明らかに日本人じゃないからこその配慮だったのだが。

「お前は、本当にどうしようもない奴だな。」

そういうと、ジェルはため息をつく。

「じゃあ、どういえばいい。」

「お前、この私を見て連想することはないのか。」

連想するもの、うーん、何も思いつかない。

「何も、思いつかないと考えている顔だな。」

バレてしまっている。

「仕方ない、ヒントをやろう。まず、私にはこの立派な翼が生えている。次に、神々しい風格これで分かっただろう。」

ハッと、俺は頭に思いつく。

「お、やっと理解したようだな。」

「ここまで、ヒントをもらったらわからん奴はいないだろうよ。」

さすがに、俺を見くびってもらってはこまる。

「ほほう、その意気やよし。では答えてみよ。」

ジェルは、なぜか満足気に微笑んでいる。

「すまない、答えの前になんでお前笑ってるんだ。もしかして、さっきのセリフいつか言ってみたいとか、思ってて言えて満足したとか。」

「違うわい、そんなんいいからはよ答えろ。あーあ、せっかく、セリフが言えて気持ち良かったのに。」

「なんか、言ったか。」

「いいから!」

俺は、改めて考える。整理すると、人にはない大きな翼があり、その風格は神々しい。

やはり、答えはアレだな。

「じゃあ、答えを。」

ジェルは投げやりにそう言う。

「答えは・・・」

「ゴクリ。」

「鳩だ。お前の正体は鳩だ。」

「お前は、バカなのか。信じられん。どういったら、そう自信満々に鳩といえるのだ。」

「いや、鳩は翼があるし、白いハトは平和の象徴だし、ピッタリだなと。」

「ということは、お前なんだ。私は、鳩の上位互換かなんかと思ったのか。」

俺は完全にそうだと思っていた。

「お前、図星って顔だな。それに、今もなんか、ジョークはいいから、はよ本当のこと言えみたいな顔をしているぞ。」

「マジで、違うの。」

「やっぱり!マジで違う!」

俺の予想が外れるか。だが、もうすこしだけ、鳩じゃないかと思っている自分がいる。

「じゃ、答えは何なんだ。」

「あーもう、答えは天使よ。」

こいつが、天使だと。ふざけているのか。

「で?」

「で?、ってなんだ。」

こいつは、察しがわるいな。

「ネタはいいからホントのこと言え。」

「いや、ホントだから。」

「マジ?」

「マジ。」

もういい、埒が明かない。

俺は、自称天使の目の前まで来て、翼に手を伸ばす。

「なー、お前はなにをしてるんだ。」

「いや、なにとってつけたであろう翼をちぎろうかなって。」

俺は、そういうと両手に力を入れる。

「いててて、痛いだろ。離せ。」

「そこまで、設定にこだわるのか。めんどくさい奴だな。」

「めんどくさくないし。痛いから離せ。」

本当にめんどくさい。

「痛いって言ってるだろ!」

俺はまた前気を失ったときの痛みを感じ意識が途切れた。


5分後俺は目覚めた。

「おい、自称天使。俺を気絶させるのはやめろ。マジで痛いから。」

「お前も私の翼を引っ張っただろ。お互い様だ。」

「おいおい、お前のは作り物だろう。」

「だから本物だって、言っているだろう。」

これでは、埒があかん。一旦ここで、俺が折れておこう。

「分かった。とりあず自称天使が本物の天使だったとしよう。では、その証拠はあるのか。」

「証拠か、証拠ならお前の足元にある。」

俺の足元だと、なにかあるというのか。

俺は、言われた通り顔を下に向ける。

なにか、変わったものはないが、しいて言うならここの地面の感覚は何かおかしい。

「そうだな、証拠が何かは分からなかったが。この地面は気になるな。」

「いい着眼点だな。その地面が私が天使だという証拠になる。」

「この地面がだと、どういうことだ。」

こいつが何を言ってるのか分からない。

「そろそろ雲が晴れてきたな。お前、腰ぬかすなよ。」

「誰が腰を抜かすって。」

そう自称天使がいうと、視界が明るくなっていく。

「お前目を開けろ。ほらその地面の正体が分かるぞ。」

俺は、突然明るくなったので目を閉じていたが、そう言われ少しずつ目を開ける。

そこは視界のほとんどが真っ青。下を見ると日本らしき形の島が海に浮かんでいた。

「お前どういうことだ。なんで俺が空にいるんだ。なぜ空にとどまり続けれるんだ。」

「それは、お前は雲に乗っているからだ。」

「雲に人が乗れるわけがないだろう。ただの粒の集まりだろ。」

こいつはそんなことも知らないのか。

「実際乗れているだろ。」

「確かに、じゃなんでなんだ。」

「私が天使だからだ。」

「うそだろ。」

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空の上でもラブコメはできますか? さわい おくる @pitcher16033

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