空の上でもラブコメはできますか?

さわい おくる

プロローグ 空の上での出会い。

「あっ、私のお気に入りの雲が。お前、その雲は一番気に入ってたんだからな。」

と、翼が生えている小さな少女(現実的にありえない)が言うと、

俺は、自分の顎に、強烈な痛みを感じた瞬間、俺の意識は飛んだ。

俺は、冒険家だ。おそらく、多くの人が想像する某映画の「○○・ジョーンズ」の主人公と同じような感じだ。

しかし、現実は、あの映画のように、遺跡を探検し、お宝を見つけ出すというものではなく、色んな国に行きその文化で作られたものを収集するというのが現実だ。

こんな冒険家をやっている俺だが、前は普通に働いていた。

学生時代に、会社を立ち上げそこで収益を出し、その会社が軌道に乗ったため、会社を売りかなりのお金を得た。

ちなみにちゃんと、俺のプロフィールを書くとこうなる。

 界世 翔 (かいせ かける)26歳 未婚 職業 冒険家

こうみると、かなりやばい奴だなと改めて思った。職業冒険家なんて、異世界系ラノベでもないのにかなり痛い。

職質なんて、された日には、警察官の人に、不審がられるだろう。

職業に関してはどうしようもないので、こればかりは、あきらめている。

 そんな俺が今なにをしているというと、日本の上空を飛んでいる。

飛んでいるといっても、もちろん宙に浮かんでいるというわけではなく、飛行機に乗っている。

この飛行機は、プライベートジェットなどではなく、プロペラがついているタイプのものだ。そしてこれは、あの会社を売ったことで得たお金で買った。

ではなぜ、そんなもので空にいるかというと、俺は冒険家だ。世界各地を飛び回るがもちろん、国内も活動場所だ。

そして、今回北海道に、ある部族が、残した遺物があると聞いて、北海道に向け、飛行機で向かっている。

詳しく現在地をいうと、おそらく福島かそこらだろう。それにしてもよく冷える。

「はぁー。」

さすがに息が白いな。それにしても、雲が厚いな。

俺はこういう雲を見ていると、思うことがある。

「この厚い雲の上に行ってみたい。」

俺は別に飛行機が初めて操縦するというわけではない。

しかし、こう厚い雲を見てしまうと、その上を見たいという冒険者心がくすぐられてしまうのだ。

さらに、べつにこの飛行機がたくさんの乗客が乗っているわけでもないので、雲に突っ込もうが、途中で墜落しようが問題ないのだ。ただ、墜落に関しては、乗客どうこうよりも、なってほしくないのだが。

という、どうでもいい言い訳を勝手にしながら、雲の上に行ってみることを決めた。

いざ、行くと決めるとドキドキしてきた。

俺は、操縦器を引き、それに伴い機体も上昇し始めた。

もうすぐ、どんよりとした空模様から、雲ひとつない快晴の空へと変わる。

あ、すこし光が見えてきた。

目の前が、パァッと明るくなり、雲を抜けたと確信した瞬間。

機体が動かなくなった。

するといきなり、痛烈な痛みを感じ意識が飛んだ。


ジェル目線

私は、天使だ。

でも、私は多くの人が想像する天使ではない。

おそらく、想像するのは、天国で死者を導いてあげたりしている姿だろう。

しかし、私はというと万年雲の上で、過ごしている。人間でいうところニートみたいな感じだろう。

そんな私が、なぜそんなに世情に詳しいかというと、私は時々人間の住む地上に降りたりして、色んなもの手に入れる。

そして、私は2年前に拾ったテレビというものを、愛用している。

私は、とてつもない年月を生きてきたので、とにかくやることがなく暇なのだ。

そんな私にとってテレビは、天から舞い降りた天使のようだ。

って私が天使じゃないかよ。

こんな、しょうもない突っ込みを考えるほど暇なのだ。

あと、ちなみに亡くなる人を天使が連れていくみたいなものはデマだ。

私の場合、適当に地上に降りたら、そういう悲しい現場で、間違ったからすぐ帰ったら、そのことが噂になってなんかそんな感じに誤解されるようなった。

だから、私が地上に降りるときは、翼を隠すようにした。

人間は、やはり翼がないから私が目立ってしまうのだ。

しかし、この前降りたときに、夜中、中年男性が「俺は、飛ぶ。」とかいって、公園の遊具から飛び降りて、頭から落ちていたが、あの人間は翼などを持っていたのだろうか。

さらに、私の日常だが、まず起床し、ぼーっとした頭で、朝の情報番組を見て、次にお気に入りの雲を探す。

私は雲の上に住んでいるため、雲は本当に大切なものだ。形は、大きさ、質など、多くの目利きのポイントがある。私は、雲の目利きに関して名人級なのだ。

次に、昼頃にはワイドショーをみる。

この番組では、芸能人のゴシップなどがよく放送されている。人間たちは、興味をそそられるらしいが、私は全く興味がない。他の者の、プライベートになぜ首を突っ込むのが、なにが楽しいのか。

まー愛がどうこうというのは、恋愛経験豊富私からすれば、大したものではない。いや、本当に豊富だからね。相手はどんな人かって、うーん。そう、ご想像にお任せします。

夕方は、アニメなるものを見る。これは、なかなかおもしろい。深夜にやっているものを録画し、この時間に見ている。ちなみに、ビデオデッキも拾ってきたものだ。アニメというのは、恋愛だったり、アクションであったり多くの種類がある。とくに、恋愛ものなんかは、すごくドキドキする。こ、恋多き私にドキドキさせるなんて、大したものだな、うん。

そして、夜はバラエティを見て就寝する。ちなみに、お気に入りの番組は、ガキの使いあらしまへんでだ。

こんな感じで普段は、過ごしている。まー例外があるとしたら、地上に降りるときだったり、他の天使と会うときぐらいだ。

あと、ごはんは基本的食べない。食べることはできるが、雲の上には食べ物なんてないから食べる機会なんてそうそうない。

こんな、私だが1つ理想がある。それは、一生愛する男を見つけることだ。

も、もちろん恋愛経験豊富な私だが、本当に好きな人が出来たことがない。理想な出会い方は、私が困っているところを颯爽と助けてくれるような人がいい。

しかし、天使である私と出会う男は天使ばかりだ。

その理由は、基本的に私の住んでいる雲などを含め、全体を大きな結界を覆っている。

その結界のおかげで、人間からは私の姿は見えない。

そして、そんな私が見えるあいつらはだめだ、どこか鼻につく。理想な男が、いつか現れてくれるのだろうか。

そして今日は、ある楽しみなことがある。ここ十年で一番の雲を最近見つけたのだ。

雲には、寿命があり次々を新しくなっている。なので、いい雲を見つけられたらすごくテンションがあがる。

今日はそんな貴重な雲の加工が終わり、初めて足を踏み入れる日なのだ。

ちなみに、雲は加工しないと足場などにできないため、加工が必須。

私は、いろんなことを想像する。

寝転んでみたり、この雲の上で昼寝もいいな。

そんな想像し、私は足を踏み込もうと決める。

では、行こう。

と私が思った瞬間。

ドーンという音がし、飛行機が私のお気に入りの雲に突っ込んできた。

「私のお気に入りの雲だったのに!」

私は、そういうとその操縦者の男を殴った。

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