ツーヴィルサード戦争
特別兵器ヴァレンティーナ・ディア・ルークスタチア
「やはりヴァレンティーナは特別兵器として扱うべきだと思わないか?」
研究員長ルザルベルクは腕を組みながらこの件の話し相手戦闘員長ヴェラルにそう提案する。
「そうですね。あの子をどう使うかも重要になるので」
「やはりそうしたほうがいいよな。戦闘司令長官にそう伝えといてくれ」
研究員長のほうが戦闘員長より立場が上。
そんな組織に所属するヴァレンティーナは今は任務の遂行を終え、自分の部屋で休憩中だった。
「‥‥‥‥」
ヴァレンティーナは花を眺めながら部屋の空気を吸う。彼女にとって何も感じない花と、何も感じないこの部屋はどうでもよかった。
ただ殺風景の部屋で一人、上からの連絡を待つだけ‥‥。
【ツーヴィルサード戦争開戦】
ピピっとなるヴァレンティーナの連絡通信用携帯。
その音は上からの連絡の着信音で、この時にはもうヴァレンティーナは戦闘態勢に入る心構えをする。そもそもの心があるのかわからないが。
そして連絡指示の内容は。
『ツーヴィルサード戦争が開戦する。ヴァレンティーナは特別兵器として上の指示に従い戦争に参加するように』
とのこと。
「‥‥‥‥」
ヴァレンティーナは目を落としていた携帯から視線を変え武器を持ち本部へ向かう。
「‥‥‥‥」
本部へ行くとそこには上級戦闘員が待機していた。
「来たな。特別兵器」
「‥‥‥‥」
ヴァレンティーナは上級戦闘員の言葉に返事はしない。
「ヴァレンティーナ、お前は必要な時に使うから連絡がくるまで待機していろ」
「‥‥‥‥」
返事をしないヴァレンティーナはそのことを了解し、髪の毛や羽織っているものが舞うように身を美しく翻しその場から離れていった。
「‥‥‥‥‥」
「いったな。ヴァレンティーナは謎すぎないか?」
「なぜかは知らない」
「まあ関わろうったって無理なことだろう」
「そうだな」
上級戦闘員は悩ましい顔で会話をする。
「まあ、必要な時に連絡を入れるようにしてもらっているからお前らも下手な動きはするなよ」
「わかってる」
そして上級戦闘員はその場から全員解散し指示を待つことにする。
部屋に戻ったヴァレンティーナはすぐ椅子に座りため息をつく。ただ吐きたかったから。
「‥‥‥‥」
ヴァレンティーナは意外と無口ではあるが活舌は少し悪いくらいで異常はなかった。
母親の誤解の死が起きたせいでヴァレンティーナとの関係は隔絶だった。隔たった関係はこの場合戻すことはできない。でもほとんどの場合死んでも絆は続く。
『花は枯れても、美は枯れることない』
全くこの意味と一緒だった。
母が死んでも、絆は枯れることはない。
でも、ヴァレンティーナの頭にはもう母親の姿は残っていない。
だから、この場合は例外で『関係、絆は枯れてしまった』のかもしれない。
ピピっ
ヴァレンティーナの携帯から着信音がする。
「‥‥‥‥」
内容を確認するため、着信履歴フォルダの新着をタップする。
『ツーヴィルサード戦争開戦を宣言しました。戦闘準備を整えてください』
「‥‥‥‥」
開戦宣告だったようで携帯を閉じまた花を眺めて戦闘指示連絡を待った。
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