ヴァレンティーナ・ディア・ルークスタチア 始まり【2】

 地球の星を見た後、二人は帰宅した。時刻は12時ぴったりだった。

 「どこ行ってたんだい?」

 リビングの椅子に座る男性。父ワームルだ。

 声はやさしくとても落ち着くようだった。

 「お花畑へ行ってました」

 「そうかそうか、それはきれいだったろう?ヴァレン」

 優しい目のワームルはこちらを笑顔で見ていた。

 目を合わせるのが苦手なヴァレンは、ワームルの目と合った瞬間床の木のタイルに視線を落とす。

 「はい。とてもきれいで落ち着く空間でした」

 「それはよかった。でも私は明日早いから、もう寝るよ。お母さん後は頼んだよ」

 「はいよ」

 そしてワームルは椅子から立ちゆっくりと自分の部屋に向かう。

 「さあ、明日学校休みといってもこの時間だから、ヴァレン。もう寝なさい。今日は楽しかったわ」

 「はい。おやすみなさい。お母さん」

 ヴァレンは部屋へ促されそのまま別途に用意されている寝間着に着替え寝る。

 「‥‥‥」


 【ヴァレン、人を助けるのよ】

――翌朝

 「おはようございます、お母さん。‥‥‥!?お母さん! 何があったのですか!」

 「あぁ‥‥ヴァレン‥‥‥。ごめんね。もう、私は‥‥」

 母の意識が消える。

 母のみぞおち付近に大きな刺し跡。


 「‥‥‥‥」


 母は、何もしゃべらない。

 ヴァレンが気づいたときにはもう家を飛び出して医者の所へは向かっていた。

 「‥‥はぁ‥はぁ‥はぁ‥お母さん!」

 なぜこんなことが起きたのかわからないが、母のため、命尽きるまで走っていた。

 

 「た!助けて!お母さんが!」

 「‥‥‥?どうしまし‥‥!。お母さんが襲われたことですか?」 

 「なぜ、‥‥っ、はい!そうです、助け‥‥‥」

 「助けません。というか、助けたくないです。」

 「‥‥‥っ!?それはどういうことです?か‥‥」

 「あなたのお母さんは昨日の午後患者としてきた人全員を殺したのですから、私の夫もそうです」

  

 「‥‥‥?。昨日はお母さんは仕事を休んでいました!お母さんはやっていません!」

 「‥‥‥?」

 「はやく!‥‥‥‥」


 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。


 ヴァレンが気付くともう夜。

 家から離れている外灯の下で膝から崩れ落ちていた。


 「‥‥‥」


 ヴァレンは家に帰るため駆け足にする。


 「‥‥‥‥‥」


 家に着くと明かりはついたまま。


 「‥‥‥‥‥」


――ガチャッ


 ドアが開く音と同時にヴァレンの足音が重なる。


 「‥‥‥お、母さん」


 母の手には一枚の紙が握られていた。


 「‥‥‥?」


 その紙をとり、広げる。


 『さようなら。ヴァレン、ワームル』


――ヴァレン、人を助けるのよ。


 そう、母から聞こえた気がした。

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