映る景色
「はぁ……」
歩きながら溜め息をつく。これで何度目になるだろうか。
不意に足下で音が鳴った。ひんやりとした嫌な感覚。恐る恐る見ると案の定水溜まりがあった。
広くて浅い水溜まり。まるで交友関係みたい。
そんなことを思いつつ、反射する景色を眺めてみる。
灰色に近い空を薄灰色の雲がゆっくり流れていく。そして、その光景を無表情で見ている私の顔。
ふと顔を上げてみると、青い空が広がっていた。流れる雲は真っ白だ。
「え?」
思わず声が出る。実際の空と水溜まりに映る空で色が違いすぎた。
驚きつつもすぐさま冷静に分析する。
「あっ、コンクリートか」
雨に濡れて濃くなったコンクリート。それがくすんだ色の原因だった。
不意に脳内にある曲の歌詞がよぎる。
今私は泣いている訳ではない。だけど。
「上を向いて、歩こうじゃないか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます