夕暮れの出会い

 見上げると、濃いピンク色の空があった。

 もうすぐ夜が来る。

 家を出ることになってから早三日。今夜もここで野宿か。

 そう思っていると誰かが声をかけてきた。

「君は迷子?」

 若そうな男だった。歳はわからない。少なくとも私には少年か、もしくは青年に見えた。

『迷子じゃないわ。見ればわかるでしょう』

 彼は僅かに首をかしげ、何を思ったか手を差し伸べてきた。

 私はその手を容赦なく叩く。それでも彼は繰り返し私に向かって手を伸ばした。

 小さな攻防戦が続いた後、先に諦めたのは私の方だった。

 大人しくしていると、やがて頭に彼の手が乗っかった。そのまま撫でられる。

 その状態のまま彼が言った。

「僕の家に来る?」

『悪くない提案ね』

 今度は伝わったと思われる。その証拠に私は次の瞬間彼に抱きかかえられていた。

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