第348話
〜〜 しばらくして 拠点内 中庭〜〜
「えっと、取り敢えず話をまとめると…人体総変異には渉にも想定外の副作用があって、それが『人体総変異を一回でも使用すればその変異のベースとなったモンスターの魂が自分の中に入ってしまう』事であり、普通ならそれだけで何もないが稀にその魂との相性が良かったら魂同士がモンスターの意思で結合できて、ある程度結合した場合、体内にあるモンスターの魂と軽い意思疎通やモンスター側が体内から宿主の感情を軽く操作できるくらいに一心同体になる…で良いんだよな渉?」
「ああ、姉さんの協力もえて独自に調べ、現段階で相性が良いのが分かっている人物は2人。
1人は一二三、姉さん曰く『あの高速で飛ぶ事しか考えてない流星バカが人に懐くなんて考えもしなかった。意外とよろしくやっているみたいだけれど…何かやらかしたら次も殺す』らしい。何か以前一二三の感情を操作して敵対心を向けて来たのを今でも怒っているみたいだな。
2人目は俺、体の中の不知火に質問したら返事を返してくれるレベルには結合しているらしい。本人の話だが俺と魂で直結しているらしく、だから俺の心の中であるこの拠点内の自分の死体を媒介に復活したらしい、後何故か喋れるようになったり体の大きさを自由に変更したりと謎のパワーアップをした。ただ基本的には考え方がシベリアンハスキーだ、躾けるのにはかなり苦労したぜ」
あの後皆で拠点の中庭まで移動した後にこれまでの調査で判明した人体総変異の知らなかった副作用と現在モンスターの魂が結合していると判明している人物の名前を上げた後に視界の端に写っているある場所を見る。
「このアホが!また愛おしい弟に迷惑をかけただけじゃなくその仲間にも迷惑をかけたな?…お仕置きだこの駄犬!」
『姐さん、ワレは犬じゃなくて龍…ってイダダダダダダ!?!?』
「ワン・ツー・スリー…」
そこには先に拠点内で待機していた姉さんが事の全てを全部見ていたので真・龍人化して不知火にパワーボムをかましていた。その周りには友狐達もいて一匹の友狐なんて何故かレフェリーの真似をしてカウントしている状況だ。因みにシロエとクロエもお互い目を輝かせてその光景を見ている。その横ではベンチに座って手で頭を押さえているレイちゃんをアンリエッタさんが介護していた。
「まさかシモン兄さんの仇が復活して従えてにいるとは…どう反応したらいいか分かりません」
「姫様、お気を確かに」
そんな事を2人は言っている。俺はため息を吐いてから友狐達の中からクエンさんを呼び、叶達に目線を戻し今回の目的の目的について話し始める。
「取り敢えず人体の計測をした後にそれぞれ武器や防具のこだわりを改めて言ってくれ。防具は後日渡すが武器に関しては難しくない奴は直ぐに作る…クエンさん、女子組の計測をお願いします。特に一二三は動きますから足と腰はかなり細かくお願いします」
「はいはい、お任せあれ」
俺がそういいながらクエンさんにメジャーとボールペンを渡すとクエンさんが返事をして他の
友狐達を呼ぼうと振り向くが…何故か振り向いたまま絶句している。俺はそれを見て不思議に思い、同じ方向を見ると、そこには…
「「ダブルラリアット!」」
『ブォラ!?』
「「「うぉー!!」」」
「うん、将来有望だ。大きくなったら一緒に戦うか聞いてみよう」
二足歩行の状態の不知火にシロエとクロエが2人で前後同時にラリアットを食らわし、それを見た友狐達が歓声を上げていた。いや、何やってんねん。
なお、この姉さんの呟きは現実となりその後の2人はダンジョンを制覇できる千花姉さんがリーダーの8人パーティー『緋の猟団』のメンバーとして大活躍する事になるのだが、それはまた別のお話。
『ご主人、助けてお願いヘルプ!痛いのに何故かだんだん変な気持ちになってきた!これ以上は後戻りできないと本能が警告しているんだ!!…あ、でもそれはそれで…』
「…取り敢えず助けるか。流石に可哀想だ」
〜〜 数時間後 〜〜
『…危なかった、もう少しご主人が止めに入るのが遅れていたら後戻りできないくらいの所まで来ていた。慰めてくれよ兄貴』
「なるほど、僕が目を離していた隙に大変だったんですよね兄弟?…はい、人参ピラミッドですよ」
『わーい、人参だー♪…いや、今は体が痛いから食えない…後でもらいます』
あの後、何とかプロレスに乱入して全員を落ち着かせた後に採寸を始める。その際は視聴者が暇にならないよう全員分のドローンは他の友狐達が大喜利したり、フラダンスをしたり、ボクシングをしたり、質問を募集してそれに返答したり、18匹の友狐による競馬ならぬ競友狐を開催したりと色々して場を繋いでくれている。
そんな中、俺は叶の採寸が済んだ後に叶とじゃんけんをして勝ったので、そのまま叶は友狐達と混ざり馬鹿騒ぎをしてもらっている最中に、もち丸と一緒に手土産(人参ピラミッド、4段バージョン)を持って中庭のベンチの上にへそ天状態でグッタリしている不知火の様子を見ている。
「不知火、頼むからまだ皆にはシモン…師匠の事は言うなよ?」
『了解、アイツからもレイピアを突きつけらながら忠告された。約束は守るよ、〆さば欲しいし』
「よし、〆さば2枚から4枚に増やしてやる。そのまましばらく頼む」
『マジっすか!?なら気合い入れて黙ります!!』
そんな不知火の腹を撫でながらも不知火に前々からお願いしていた俺の中にいる師匠の事を口外しないように念押ししているが、どうやら先に師匠が釘を打っておいてくれたらしい。
だから報酬の〆さばを倍に増やしてやるだけで気合いを入れてくれるのは扱いやすくて助かる。
「…単純すぎですよ、兄弟」
そんな俺と不知火の姿を見て人参ピラミッドが乗っている皿を両手で持ち上げているもち丸がジト目で見ていたのだった。
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