第347話
〜〜 4月24日 放課後 秋葉原 渉の家 〜〜
「おう、渉。皆お前の言う通り配信を開始したけれど…今日は装備の更新があるから配信はなしだと聞いていたが、何があったのか?」
「ありがとう、今回は普通だから大丈夫だ叶。唯の報告と全員の装備を更新したいから配信ネタにするべきだと判断したんだよ。漸くみんなに見せれる位には調教ができたからな…」
俺達〈狩友〉が赤城さんと清水寺の舞台ダンジョンに挑む事を決めて数日が経過した。東京に戻った俺達は赤城さんを深層のモンスターと戦闘を積ませて強くする他、新しい装備の素材集めの為に東京中のダンジョンを駆け巡る日々を送っていた。そんな日々を送っていたからこそ想定よりも早く素材が集まり、今日は皆の新しい武器の配布と防具の調整の為に身体の採寸をする為に俺の家に来てもらったという訳だ。因みに配信者組が全員この様子を配信する様に俺が頼んだのには2つの理由があり、1つはただ単にこういった配信風景を見たいという視聴者のコメントがあると叶や一二三から聞いていたのでそれにお答えする為。もう一つが…
「…ああ、キャンプの際にお前が言っていたなんかやばそうな生き物の件?」
「ああ、基本的には拠点内にいるから今のうちに紹介しようと思ってね。それが赤城さんの為にもなるし…それにレイちゃん達にも見せたいからさ」
前々から言っていた今回拠点に出てきたアイツの調教が終わったのでお披露目をする為だ。
俺は叶とそう会話しつつ斜め左方向を見る。
「どうも、渉さんのお誘いならいつでも来ますよ♪」
「渉兄、また友狐達に会えるの?なら全力で遊ぶぜ!!」
「…正直、私はこの世界の本をもっと読みたい。でも渉兄にも会いたかったのも事実、だから膝の上でこの本を一緒に読みたい」
「今回はお声をかけていただきありがとうございます、渉様。そしてお久しぶりです皆様方」
スポーティーな服装を着て笑顔で俺の目線に応えるレイちゃんを皮切りに半袖半ジーパン姿のシロエと灰色でシンプルなデザインのクロエ、そしてメイド服姿のアンリエッタさんがいた。
彼女達獣人が何故この場にいるのかというと…無事にお隣の3部屋が改装工事が終了して引っ越しできたから。何なら俺の家の中にも隣のレイちゃんの家に行ける扉を作って自由に行き来できるようにもしている。何か非常時の防犯用だとかで言いくるめられて設定したが普通にレイちゃんやシロエとクロエが俺の家どころか寝室のベットの中に潜り込んで一緒に寝ているし、なんならアンリエッタさんが俺の分まで家事をしてくれたりしているから正直反応に困っている。
だが、今回は俺自身が彼女達に声をかけた。何故なら彼女達の為にも一回は合わせないと後々面倒なことになるから一気にやる方が俺的にも簡単に済む、更にレイちゃん達の目的である『獣人の繁栄』の為にはダンジョンでレイちゃん達が言っていた残り10個の棺桶型の睡眠装置を探す事になる。だから今の内から武器と防具を見たり慣れたりして実際にダンジョンに行く際の装備選びの参考になればという意味もある。
「渉、そろそろ拠点に入ろう。今日の配信は終わり際に重大告知があるでしょ?」
「…すまん、時間を忘れていた。ありがとう一二三」
そんな事を考えていると配信用ドローンを指差して一二三が拠点を展開するように催促してくる。俺もその最速は納得しかなかったのでその場で俺は足踏みをして拠点の入り口である鳥居を出現させた。
『…ご主人、逃げろ。コレは罠だ!』
「『罠だ!』っじゃねぇよ。お前が展開した鳥居の出入り口に顔を突っ込んで抜けなくなっただけだろうが。俺は『出入り口付近でお座りして待っていろ』としか言ってないぞ?何でデカくなって顔を突っ込んだんだよ?」
『そっちの方が楽しそうだったから』キリッ
「何ちょっとかっこいい顔でアホな事を言ってるんだ脳内シベリアンハスキーが。さっさと頭を抜きなさい、皆入れなくて困ってるだろうが」
『…だめだ、抜けない。やっぱりワレはこのまま頭が抜けなくて一生を終えるんだ!』
「いやお前自力で体の大きさを変えられるだろうが、だったら小さくなれば解決するぞ?」
『…あ』
展開した瞬間に皆に入ってから自己紹介をする為に出入り口付近で待機しておくようにお願い(報酬前払い 人参三本)をした不知火だったが、何故か思いつきで大きくなり鳥居の出入り口に頭を突っ込んで抜けなくなってしまった。取り敢えずキメ顔混じりにアホな事を言ったので早く出るように言ったが本人が自分が小さくなる事をんて忘れたらしく、かなり踠きながら抜けない事に焦っていたので取り敢えず小さくなれと指摘したら真顔になり、マジでシベリアンハスキーと同じサイズまで縮んで鳥居から出てきて俺の前にお座りする。
『ご主人、上手く抜けたぞ。撫でながらほめろ』
「身勝手にはまって抜けなくなったアホに褒める言葉はない。反省しろ」
『おっふ、正論すぎて痛い』
俺が目の前にお座りをした不知火とそう会話をしていると全員の視線を感じたのでそちらを見る。そこには叶達は目を見開き今俺の前にお座りしている存在を見ていた。ドローンのコメントも爆速で流れている。
『お、何だ何だ?あの女達全員ご主人の番か?プレイボーイだな!』
「アホぬかせ不知火、お前俺の魂と直結してんだから普通に人間関係は分かるだろうが」
『匂いは今日嗅いだから実質初対面だ、ワレは見るより匂いで覚えるタイプだからね』
『龍の頭蓋骨』を被り、全力で『背骨』がついた尻尾を振る見た目が白い狐だが所々に鱗と甲殻のある生き物と俺がそう会話をすると、叶が口を開いた。
「渉、もしかしてソイツって…」
叶の言葉に俺はため息を吐いてから応える。
「うん。禁層のモンスターであり俺が最初に狩った記念すべき龍…『魂骨炎狐龍』の不知火だ」
『よっす、不知火だ。腹減ったから誰か食うもん持ってない?人参か〆さばならなお良し!』
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