第326話 皆でキャンプ×皆でワイワイ=楽しい日々 4
〜〜 数十分後 〜〜
「も、申し訳ありません。勘違いをしていました!」
「マジで勘弁してくれよ…特にそこの三人、断定する前にお仕置きをするとか焦りすぎだ。もう少し様子を見てから行動してくれ、かなり鍛えている俺じゃなかったら死人が出たぞ?」
「「「すみません、反省します」」」
俺は早苗ちゃん、桜、レイちゃん、夏美をテントの中で正座させながら1番ダメージがでかい首を触りつつ俺はそう言う。
「後、早苗さんはネットの情報とかあまり鵜呑みにしない。確かに俺の技術がトンデモなのは理解している、だけど流石にそこまで被人道的な事はやりません。寧ろそんな事を平気で考えて実行しかねない頭がぶっ飛んだバカ弟子を押さえつけているくらいだからね?」
俺がそう言うと早苗さんは顔を赤くして俯く。
俺に早苗さんが言ったセリフ、あれには少し面倒くさい事情があった。それは早苗さんが俺に会う前にお礼を用意しようとネットなどで事前に調査をしたからだ。
ダンジョンで動く機械仕掛けの武器や乗り物、見た目を含めた配信映えする個性的な防具に量産できる人口の回復ポーションに人体総変異、有人の人型二足歩行ロボットなどの俺の狩りゲーの知識によるトンデモ技術は正直言って世界の常識を何度も正面からぶっ壊した。
それ故に一部ネットでは『俺が他の人を騙して非人道的な実験を繰り返している』など様々な根も葉もない噂が蔓延している。だからそれを幾つか見た早苗さんは「…なら、私の体を差し出してでもお礼を…」と考えついてしまったらしい。つまりはただの暴走だ。
後、桜達は普通にそのセリフを聞いた瞬間に出た嫉妬からの暴走だから言い訳の仕様がない。
「取り敢えず早苗さん、俺は18歳になったら俺の持つ技術の一部を特許技術として公開する予定で、その為に書類にまとめて書いて発表するつもりだ。だからその時に研究者である君のお父さんを紹介してもらってお手伝いをしてもらえればうれしいからそれでお願いね?後下手にそのセリフを他人には言わない事、わかった?」
「はい、すみません。ありがとうございます」
俺がまず早苗さんを条件付きで許してあげると早苗さんは直ぐに謝りながらお礼を言ってくれたので手を差し出してテントから出してあげる。
「な、なら私達も…
「レイちゃん達三人は別件。話をキチンと理解する前に嫉妬で行動するとか…桜は〈狩友〉のもう1人のリーダーとして、夏美は〈狩友〉の最高のサポーターとして、レイちゃんは獣人の王族件獣人のまとめ役として正直どうかと思う。いい機会だし、後30分はテントの中で反省してなさい」
うぅ…すみません」
早苗さんが出たので俺に許してもらえると思って狐耳と尻尾をピンっと上に上げたレイちゃんだが、俺がまだ許していないと分かると狐耳はイカの耳の様に水平になり、尻尾が真下に垂れる様に地面に着いた。そして三人がお通夜みたいにどんよりした空気を作るテントができてしまったのだが、俺は気にせず周りを見る。
「コンコン!」
「「「キャッキャ!!」」」
まず目に入ったのは友狐の子供達と遊ぶ田中さんの子供。
「あらやだ、一児の母なのにすごい肌のハリ…正直嫉妬しちゃうわ⭐︎」
「うふふ、ありがとう!」
「あらあら、確かに髪の毛も手入れが行き届いているわね」
その奥では正雄くんとキナコというオカマコンビがアンジーさんと女子トークをしていたり、
「ふん、ふん、ふん!」
「ブギギギギ…」
「流石は桜の行きつけの喫茶店のマスターだ。BBQ用の串に食材を刺すのがとても早い。
それに比べて雄二、あんたは力を入れすぎた。そんなんじゃ刺すところから食材が潰れちまうよ?」
「はは、雄二はまだまだだ…
「あんたは喋ってないで早く炭に火をつけな?」
おっと、すまねぇ母ちゃん」
更に中庭の中心では田中さん、父さん、桜の両親がお昼のBBQの準備をしてくれている。
他にもシロエとクロエが焔ときゅうりを食べていたり、ミリアさんと一二三と一部の友狐達は何故か腰蓑を付けてフラダンスを踊っているし、叶の両親は未だベンチら辺で何かを話していた。
そんな光景を見た後に今度は真上を見上げ、空を見る。雲が少しあるが暖かい太陽と優しく撫でるような風を感じ俺は思わずこう言う。
「偶には騒がしい拠点も悪くはないかな?」
しかし、そんな呟きもいきなりミリアさん達の方から大音量で流れ出したハワイアンな曲にかき消されてしまったのだった。
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