第324話 皆でキャンプ×皆でワイワイ=楽しい日々 2

〜〜 中庭 〜〜


「んで、結局あまりにも背中が痛くて友狐ちゃん達のお手製の塗り薬を塗ってもらったうえにマッサージを受けていると…全く、今からでも遅くないから近所にできた24時間のジムに通いな。会費は月のお小遣いとは別に出す、それに田中さんに電話番号を聞いていつでもトレーニングメニューの相談をできるようにしなよ。あの人は渉くんがこの手の相談をする際の相談相手みたいだから信用できるしね」


「はい…」


「「うんしょ、うんしょ」」


中庭のベンチに毛布を引き、その上にうつ伏せになり友狐達に筋肉痛に効く塗り薬を名無し達によるマッサージ付きで処方されている様子を見下ろしていた叶の母さんがため息をつきつつも優しい口調でそう話している。その近くで俺と叶はもち丸と姉さんと一緒にテントを組み立てていた。


「…っし。渉、こっちは終わった。そっちはどうだ?」


「こっちも終わった…もち丸、中は大丈夫か?」


「こっちも傾きとかは大丈夫でよ、ただ千花の姐さんが…」


俺は叶と一緒にテントを設置し終わると中にいるもち丸と姐さんに中に入ってもらい、傾きとかを確認してもらっていたのだが…


「…渉、この巣穴狭い」


「いや、これ巣穴じゃない。人間が野外に泊まる為の道具だ、竜の常識を持ち込まない。あと狭いのは姉さんの体がでかいからだよ」


真顔でテントの天井を見ていた赤いTシャツにダメージジーンズを履いた姉さんの呟きに俺は思わずツッコミをいれた。


「というか姉さんは今回参加しても良かったの?姉さんの拠点に俺の危険な物とか移動させて接続を切って分離させたからこっちは大丈夫だけれど…アレは監視とかいるんじゃない?」


「…大丈夫、焔が一緒にいて酒盛りするって言ってた。私はお酒は余り好きじゃないからむしろ拠点を閉じて参加する方が徳だよ?」

 

そんな姉さんを見て俺は今気になった事を聞くと、姉さんはゆっくりテントから這い出ながら答えてくれる。現在俺と姉さんの拠点は地続きになっていない、理由は俺がお願いして俺の拠点にある大切な物や危険な物を一旦姉さんの拠点に預かってもらう為だ。下手に研究中の自作の火薬や自作の武器とかを触られた時に俺は責任がとれない。だからわざわざ姉さんの拠点に運んでから接続を切って姉さんのスキルの中に隔離したって訳だ。


「…ん?その会話だと今回は友狐みたいに生き物が出てきた感じなのか渉?」


そう姉さんと話していると不意にこちらに来た叶がそう聞いてくる。


「…まあ、強いて言うなら性格がシベリアンハスキーで体格が最大で18mくらい、最小でチワワサイズまで自由自在に変化できる奴だな。因みに好物は人参、焼きネギ、軟骨、カブの千枚漬け、〆さばだな。なお、もち丸は一度俺の膝の上でブラッシングをしていたら嫉妬したアイツと揉めて大喧嘩をしてこの教会を半壊させて地面が抉れまくった。他の部屋に繋がる扉は絶対に壊れないし、建物とかは自動で治るとはいえ抉れた地面とかを合わせて一週間はかかったな」


「ああ、あの時は一進一退の攻防中に焔様が乱入してきて拳で鎮圧されたからお互いドローで話しが着いたですよ。その後からは僕の事を兄さん呼びしてくれて懐いてくれたから結果オーライですよ♪」


「何そのとんでも生命体、本当に一緒にいて大丈夫な奴かそれ?」


俺が叶に説明していると丁度テントの中にいたもち丸が出てきたので補足も兼ねて説明するともち丸ものってくれた。しかし叶は何か言いたそうだが、そんな叶に千花姉さんが向き合いと一緒に他にテントを設置していたコク糖がテントを固定する釘を打ち込んでいたであろうハンマーを片手に持ちながらこちらに来た。


「大丈夫、多分今の状態で会ったら攻撃されるけれど私と渉と焔が全力で躾けているから…来年の5月辺りなら合わせられると思う」


「それに拠点への被害ってならダンナの方がひでぇぞ?この前なんていきなり教会の中庭を中心に爆発と共に火柱が上がったと思ったら教会の9割が吹き飛んだ、その上かなり深くてデカいクレーターまでできたんだぜ?アレ治るのに二週間はかかったからな」


「やっぱり渉は悪い意味でも異常なんだな。最近色々あって忘れてたわ」


姉さんとコク糖に説明を聞いてから叶に生暖かい目線を受けている…コレはきちんと説明しないとダメだな。


「あのなコク糖、アレはいつも乗り物とかの燃料として使っている低濃度血混バイオエタノール4ℓに特性黒色火薬と特性ニトログリセリンを混ぜてから乾かせば期待通りの火薬になるのかの実験をしていただけだ。一応大体TNTの2.4倍の威力があったしおまけに火柱も出るくらいの燃焼性も確認できた。身をもって体験したし威力的には申し分ないよ。ただ現在だと安全に持ち運べないし調合した瞬間に爆発するけれどね」


「普通に失敗じゃん…いや、火柱が上がるレベルの爆発を身をもって体験したんなら何で5体満足で生きてんだよお前?」


「舐めるなよ叶、俺は2つ目のErrorスキルを鍛えて成長できた今の俺なら爆発くらいではこね体はバラバラにはならんさ…まあ、アフロになって全身軽いやけどと大量の破片が体に刺さったが回復薬があるから実質ノーダメだ!」


「いや爆発に耐えるとか普通に人間やめてんのよお前。どれだけやばいんだよあのErrorスキル…後、ダメージ食らっていて回復薬が必要な時点でノーダメではないからな。普通に大事件だわ」


俺がコク糖にキチンと事件の詳細を教えたら叶がその言葉にツッコミを入れたので追加で俺の新しいスキルを説明したら何か人として見てくれなくなった。酷い。

そんな事をしていると不意に俺達に近づく人影が4人いる事に気づき、そちらを向くと…


「あ、お兄ちゃんにお姉ちゃん。丁度よかった。改めて私のお友達を紹介したいんですけれどいいですか?」


「いいけど俺は優香さんのお兄ちゃんではありません」


「同じく姉じゃない」


そこには幽鬼君と見知らぬ男女と一緒に来た優香さんがいた。後、俺はお兄ちゃんじゃ有りません。


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