第323話 皆でキャンプ×皆でワイワイ=楽しい日々 1
〜〜 12月某日 拠点内 side 佐藤 渉 〜〜
「フン!」
掛け声と同時に持ち上げられるダンベル、それを持ち上げるタンクトップ姿の父さん。
「はっはっはっ…」
汗をかきながらも一定のリズムで走り続けるトレーニングウェアを着た叶。
「後…5回!」
上半身裸でチェストマシンを使う桜の父さん。
「30…31…32…」
「ふぅ…ふぅ…」
「うーん、渉少年はそのまま50回が終わったらもう1セット追加で、誠さん後2分休憩後にもう15回の後に私と一緒にスクワットをしましょう。普段動かされない筋肉は当然泣きますが無理な筋トレをした筋肉も泣きます。だから焦らず、正しいフォームで筋トレをしましょう!」ビシッ
そしてTシャツ姿の俺と叶の父さんである誠さんが一緒に背中を鍛えるべくシーテッド・ローリングで筋トレをしている。その横でブーメランパンツ一枚で全身の筋肉を見せつけている田中さんがダブルバイセップスを構えつつそう大声を出していた。
ここは俺の拠点の(トレーニング)の部屋の中、現在俺達4人は田中さんにインストラクターをしてもらいつつ筋トレに励んでいた…非常に暑苦しい光景である。
〜〜 しばらくして 〜〜
「いやー、銭湯が近くにあるのは助かるぜ。シャワーよりも気持ちいいからな」
「はい、そうですね会長…どうぞ」
「おう、サンキュー」
筋トレの後に俺達は銭湯にに入り、軽く体を洗うと脱衣所で田中さん特製配合のプロテインを片手に全員で涼んでいる。
「アイタタタ…やっぱりデスクワーク中心だから久しぶりの筋トレで身体中が痛いよ…」
「まあ、弁護士ってそんなイメージだよな…コレを機にジム通いでもする、父ちゃん?」
「…考えとく」
そして叶達親子もプロテインを片手に楽しそうに会話をしている中、俺は田中さんと話していた。
「田中さん、こちらからお誘いしたのに筋トレのコーチなんて頼んですみません」
「いやいや、丁度お店の改装工事をしていて暇だったからね。それにこんな素敵な行事に誘っていただいたんだ、筋トレのインストラクターくらい笑顔でやるさ…はい、特製プロテインヨーグルト味だ。しっかり飲むんだぞ少年?」
田中さんとそう会話をしつつ俺は差し出されたプロテインを受け取り、その場で飲み始める。
何でこんな状況になっているのかと言うと、前に風香さんがミリアさんの件の報酬で友達とキャンプをしたいと言っていたのは覚えているだろうか?
実はその後に優香さん達の保護者として大吾さんが一緒にくる事になったのだが、その際に我ら〈狩友〉の両親や友人達にも話をして大がかりなキャンプイベントにしようと話になったのだ。
その為本来くるはずの優香さん達に追加で俺の父さん、桜の両親、叶の両親、喫茶店が改築工事中で暇をしていた田中さん一家が参加することになり、優香さんが実際に会ってErrorスキルを使っても大丈夫な事を確認してからキャンプが始まった…のだが、田中さんが暴走した。
「む、そこの叶少年の父親よ止まってくれ!…やはり背中を中心に筋肉が弱り切っていて泣いている。
渉少年、今すぐに君のトレーニング施設を貸してくれ。今日では改善できないが筋トレのやり方なら伝授できる、私が一緒にやって教えて彼の筋肉を笑顔にしたいのだ!」
拠点に入って早々に田中さんが食材の入ったクーラーボックスを持っていた誠さんの背中を凝視した後に騒ぎだし、叶の奥さんも
「いい機会だし教えてもらいな。アンタが最近お腹が出てきて気にしている事を知ってんだよ?」
と言って笑いながら田中さんの味方をする始末。
更に父さんと桜の父さんが俺のトレーニングマシーンとかの設備環境が気になると言い出した結果、俺と叶も巻き込んで五人でトレーニングをしていたという訳だ。
「しっかし羨ましいぜ渉さんよ。あんなに充実したトレーニング施設とこの銭湯を自前で持っている、毎日トレーニングして健康を維持している俺にとって理想の環境だぜ?」
「はは…でも、トレーニングメニューは田中さんのアドバイスがないと上手く決められませんのでまだまだ宝の持ち腐れだと思ってます」
「いいね、自分に足らない所を理解したうえでの返事だ。やっぱりお前さんは最高だ、だから気に入った」
プロテインを飲んでいると父さんと話していた桜の父さんが話しかけてくれたので、俺なりの考えを話したら満足そうにそう言って手に持っていたプロテインを一気飲みする桜の父さん。
「んじゃ、そろそろ外にいる女子組に合流するかね…あ、田中さん。後で俺の今後のトレーニングメニューの相談と今飲んだプロテインの配合を教えてくれないかい?味が気に入った」
「うむ、喜びの声を上げる筋肉が増える為なら喜んで!」ビシッ
そしてプロテインが入っていた容器の中身を空にするとそのまま服を着始める桜の父さん、その途中で思い出した様に田中さんに話しかけると、田中さんはダブルバイセップスをしながら答えつつ自分の服を着始める。
「確かに、男って確か幽鬼くんとその友達と田中さんの子供だけだったっけか?…なら料理はともかくテントを張るのは男手が足らなくないか?」
「…確かに、なら素早く着替えるぞ叶」
「了解、リーダー」
それを見た叶がふと今回のキャンプに参加した男性の大半がこの場所にいるのを思い出し、女子だけではいろいろな準備ができないと言い出したので俺もそれに賛同、急いで替えの服に着替え始める。今回のイベントはもち丸達友狐も参加するキャンプだ、今から色々準備をしないと楽しめないとも考えたからだ。
「アダダダ…普段動かさない筋肉だったから本当に痛い…」
「大丈夫ですか、誠さん?」
ただ、どうやら誠さんだけは戦力にならないかもしれない。父さんもメチャクチャ心配そうに見ているし…
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