第321話 人体総変異 &  双魔変異 

⚪︎人体総変異


『people's redemption 〜罪を狩る者達〜』という渉の元の世界にあった狩りゲーでゲーム中盤にて解放されるプレイヤーを一時的に爆発的な力を付与するシステム。

元はゲーム内に出てくる人類の敵であるミュータントの細胞を装置を媒介にして体を傷つける事で傷の再生と同時に一時的に人体を変異、半ミュータント化させて飛躍的な身体能力とベースとなったミュータントの特殊能力を付与する。このシステムを渉が試行錯誤の結果、再現に成功。モンスターの身体能力と特殊能力を使用者に付与できるようにしたのだが、このシステムにはルールと副作用がある。

まず、原則として人体総変異は一回の変異につき1体のモンスターとの変異しかできない。守らないと細胞が変異しすぎて元に戻らずにそのまま崩壊する。

次に人体総変異装置は他人と使いわましができない。人体総変異装置は材料に使用者の血が必要になるので装置自体が完成した時点でその人専用になる、もし他人が使ってしまったら…タダでは済まない。

次に制限時間と再使用できる時間。

まず人体総変異には5分しか変異できない、更に再使用するまでに15分かかる。この点は元となったゲームでも同じな為に渉でも変えられなかった。しかし変異の時間を伸ばす方法はある、但し代わりに再使用できる時間が1日に伸びてしまうデメリットもある。

最後に副作用について。

人体総変異から5分が経過して元の体に戻った場合、まず体が変異元になったモンスターの遺伝子を吐き出す為に間違いなく吐血してしまう。その後、人体総変異時にかかった負担が痛みとして全身に駆け巡ることになる。これは事前に回復薬などで対処は可能、放置した場合は気絶、最悪そのままショック死する。因みにコレは元となったゲームには無い仕様、元のゲームの場合はクエストが終わるまで1回使うたびに体力の最大値が3分の1ほど減らされる使用だった。

この人体総変異のシステムは元のゲームではかなりの沼ガチャシステムである。何故なら装置を作るにあたり必要な素材がクエスト終了時の報酬品で低確率でしか手に入らない仕様だったからである。

その必要な素材とは完璧な状態の細胞で、渉は主にモンスターの死体や素材、化石などから細胞を手に入れて装置を作っている。

なお、一応全ての人がお試しで一回だけ人体総変異できるが制限時間が3分とナーフされている試作品もあるにはあるがそれは必ず1回しか使えない。2回目を使った場合は間違いなく心臓が変異に耐えられずに停止する。

余談だが、実は渉が作った人体総変異装置は原作であるゲームにもない独自の特徴がある。

それは人体総変異をした場合、変異のベースとなったモンスターの魂が使用者の魂に混入してしまうという事。ただしただ混入するだけだからその使用者を乗っ取るなどはできない…のだが、稀に使用者とモンスターの魂の相性が良かった場合のみ使用者の感情をモンスターの意思で昂らせたり、魂に直接語りかけたり、自分の魂と使用者の魂をより深く結合させて強化したりできる。




⚪︎双魔変異



『people's redemption 〜罪を狩る者達〜』の大型DLCの一つであり戦犯級のやらかしをしたDLCでもある『実験体番号:142番』にて追加される新しい人体総変異のシステム。渉が東京タワーのダンジョンのボス、『食べた獲物の特徴を得て強化できる』という力を持った巨大な金色の蠍の細胞を手に入れた事で再現可能になった。

その変異はまず人体総変異装置を双魔変異装置が内蔵された武器にセットし、その武器を使って自分を傷つける事で使用する。

双魔変異の段階は2段階ある。

1段階目『人体総変異〈改〉』。

双魔変異の前段階であり人体総変異の改良型、人体総変異装置を双魔変異装置を内蔵した武器にセットして使用する事で人体総変異の更なる強化と副作用の緩和に成功した形状。

回復能力や身体能力、ベースとなったモンスターの特殊などには変化はないが、変異できる時間は5分から1時間。副作用は吐血、全身に巡る痛みから右目の血涙、強烈な空腹を感じるなどかなり抑えられている。

しかし、この変異は過剰に人体総変異装置の能力を引き出す為に人体総変異装置の再使用できる時間が15分から1日に伸びてしまっている。

なお、人体総変異〈改〉を使用した変異後の姿には区別のため必ず〈真〉の文字を入れなくてはならない。

二段階目、『双魔変異』。

一段階目で使った人体総変異装置とはまた別の装置を双魔変異装置な内蔵された武器にセットして使う新たな変異。

元の人体総変異の上に更に重ねがけする方で2つのモンスターの力を自分に宿す事により、それぞれの身体能力や特殊能力を扱えて、更に双魔変異時も肉体は再生する。

ただし、この双魔変異は扱う際に注意する点が2つある。


1、双魔変異をする場合は必ず双魔変異〈改〉の状態でなければならない。

双魔変異をした場合、元の人体総変異の残り時間の半分を消費して変異する為に普通の人体総変異だと5分の半分、つまり最大で2分30秒しか変異できない。因みに実際は人体総変異してから双魔変異をするので変異できる時間はもっと短い。


2、双魔変異の回復は一時的である。

双魔変異の回復はあくまで一時的。例えば人体総変異をした状態で四肢のどれかを欠損した場合、双魔変異をすれば一時的にまた四肢は映えるが変異後はその四肢は欠損した状態で元に戻る。致命的な傷や体に穴が空いた状態で双魔変異をした場合も同じ、変異後に適切な治療をしないと必ず痛い目を見てしまう。


以上のルールは必ず理解してから使わないと大変な事になる。

余談だが、なぜこんなシステムが追加されるDLCが戦犯扱いされているのかというと理由は2つ。

1つはただでさえ報酬品の沼ガチャだった人体総変異のシステムを更に選択肢を増やして多くのプレイヤーを更なる沼に引き摺り込んだ事。

2つ目はこのDLC以降の追加される敵ミュータントが双魔変異で戦う前提でステータスが調整された為に多くの縛りプレイしている人などが被害にあった為である。

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