第312話
姉さんが記者会見で言った事は俺達の常識を遥かに超えた内容だった。
まずスキルの進化の件、コレはまず具体例として姉さんがあげたのは一二三の『龍人化』だった。
「スキルによる一時的な変身とはいえ龍人、つまり龍と人との融合体みたいなもの。でも、一二三を見てわかったのは人間はスキルの龍の身体能力しか使わない、龍の本質…私でいう所の赤い雷みたいな龍が持つ独自の能力を使わずに放置している。だからその能力をも引き出し、自由に使えるようになったその時…『龍人化』は進化して『真・龍人化』になる。その際に龍の名前もスキルに刻まれる、私の『真・龍人化【緋雷神龍】』みたいにね」
そう言って姉さんは話を続ける、姉さん曰く一二三の『龍人化』の様に進化するスキルは一部ではあるが他にもあるらしく、桜やミリアさんが持つ『分身』、俺と姉さんと夏美が持つ『地図』、叶が持つ『置楯』がそれにあたるらしい。だが、他に進化するスキルについては姉さんは知らないし、一二三の『龍人化』以外の進化方法ももちろん知らない。
そんな情報を投下して騒めく記者会見の中、姉さんは続けて宝箱から出てくる謎の塊…姉さん曰く力の塊について説明を始めた。
あの謎の塊はダンジョンを制覇した人のみが開けられる宝箱の最初の報酬にして最大の報酬。
その塊は四種類ありその内容は以下の通りだ。
⚪︎虹色の光の球体
最も出てくる確率の高い塊、ガチャで例えるならC枠。大体95%の確率で出てくるのがこの塊。
この塊は最初に手にした物はジョブとスキルがランダムで一つづつ追加され、次回以降はスキルかジョブが1〜2つ追加される。
⚪︎赤く光る三角錐
ガチャで言う所のR枠、大体3%の確率で出てくるのがこの塊。
この塊は手に入れた段階でその人のスキルやジョブの一部を塊を手に入れた人に最適化するために変更される。その際にErrorスキルになる事は無いが上位互換やより使いやすい方に変更される。
⚪︎黒く鈍く光る四角い箱
ガチャで例えるならSR枠、全体の1.5%の確率で出てくるのがこの塊。
この塊は先にSRと例えたが…かなり当たり外れがある塊だ。何せ塊を手にした人は全てのスキルの中から一つをランダムに手に入れる。つまりErrorスキルでさえ手に入れられる…のだが、同時に『暴食』や『命の砂時計』などのデメリットが大きすぎるスキルも手に入れてしまう可能性がある。
つまり完全に運、因みにErrorスキルを手に入れられる可能性は宝くじの全ての賞金を1人の人間が当選してしまった確率より低いそうだ。
代わりにデメリットが大きすぎるスキルは大体3分の2の確率で選ばれるらしい。
要はハズレSR、出した人は泣いていい。
⚪︎銀色に光るの鍵
ガチャで例えるならUR枠、全体の0.5%の確率で出てくるのがこの塊。
この塊を手にした人は自分が持っているスキルの中からランダムで一つが消える。
だがその後、手に入れた人の望むスキルが一つ追加される。その際にErrorスキルが手に入る確率は大体20%、それ以外は殆どErrorスキル以外の望んでいたスキルが手に入る。マジもんのUR、ハズレSRは見習って欲しい。
以上の4つである。
つまりコレからはSR枠を引かないようにしつつもし引いた場合は超低確率のギャンブルを強いられるという宝箱ガチャをする羽目になる。
この事実に更に会場は騒ぎ出す、何せ映像で残っている力の塊は殆どが虹色の球体、次に赤い三角錐と銀色の鍵が1回ずつだ。そしてその塊を手に入れた人達がどうなったのかも寸分違わず合っている。しかし、その場にいたある記者がこう姉さんに質問した。
「失礼ですが、今までの話を貴方はなぜ知っているのですか?もしよろしければ知った経緯を教えて下さい」
と。
それに対して姉さんは困った顔をしつつ姉さんはこう返答した。
「実は、私がダンジョンで人に生まれた際に頭の中に力の塊の情報とスキルの進化に関する情報の一部が刻み込まれたように情報が頭から離れないの、まるでダンジョンそのものが
「生まれ変わらせてやるから人類にこの情報を渡せ」
って言っているみたいに…ね…」
姉さんはそう言って顔が暗くなる。確かにこんなとんでも情報の出所は何処だと言われたら姉さんもこんな顔にもなる、姐さんの返答はとどのつまり生まれ変わった時点で情報を植え付けられていたと言う事だ。誰に聞いた訳でもない、只々何故かその事を知っている。だから返答に困る。
「…ま、その困り顔のお陰で他の記者は質問しなかったから記者会見は何とか終了したんだよな。俺もお陰で新しいErrorスキルを手に入れた理由も知れたしね」
《なるほど、ならそのスキルはしっかりと鍛えないとな。何せ俺の知っていたお前さんになれるスキルなんだからな》
もち丸に乗り、ようやく森を抜け俺の拠点が見えてきた段階で俺と焔はそう会話する。
今回俺は0.5%の銀色の鍵、つまり1つのスキルの消去と別のスキルの追加を引いて更に20%の確率も引いた。
故に『モテ体質(動物)』が消えて代わりにErrorスキルである『(自分の理想の狩人)』を手に入れた。
このスキルは単純明快、俺の憧れである狩ゲーの主人公の肉体になるスキル。
だから今の俺はどれだけ高い場所から落ちても着地でき、どれだけ強烈な一撃を喰らっても耐えどれだけ走ってもすぐにスタミナが回復、気絶や毒やウイルスを数分で克服し、更には寝るだけで自動的に回復したり攻撃が当たったように見えて実は1フレームギリギリで回避していたなどの様々な恩恵を受けた存在がチートみたいな肉体に…なれればよかった。
現実は少し違う、恐らく今言った事は実際には俺の体に反映されるであろうが今は只々頑丈でスタミナお化けな体ってだけだ。恐らくスキルが成長していけば徐々にそうなっていくのだろう、だから日々の鍛錬はこれまで以上に頑張らないといけないし姉さんとの組み手も欠かさずやった方がいいだろう。だが、今日はもうその鍛錬はお終い。
今から父さん達ととある場所に行かなければならないからだ。
その場所とは…
「久々だな…東京に行く前に会いに行ったきりか…
母さん」
このビジネスホテルがある街、実は俺が生まれた病院がある街であり母さんの墓がある街だ。そして今回の目的とは母さんの墓に全てが終わった事と新しい家族である千花姉さんの報告をする為に来たのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます