第310話
〜〜 三週間後 某地方 ビジネスホテル一室 〜〜
俺達家族と渡辺さんがダンジョンを制覇して脱出、同時にスタンピードが治り翔太の逮捕、更に俺に血が繋がった姉が爆誕してから三週間が経過した。
あの日以降岐阜県の恵那山周辺はスタンピードによるインフラや建物の深刻なダメージにより国が地域一体の再開発案が国会で可決、同時に今回スタンピードが複数のダンジョンで起きた事実に対する対策として日本国内全てのダンジョンの管理を強化する案も国会で通った。
その際に岐阜のギルドの一部の職員…主に父さんの街のあの老人ホームに親が入っている職員が翔太の言いなりになっていた事が発覚、施設内の両親を人質にされて仕方がなく従っていたみたいだった。
そしてやはりギルドの職員意外にも翔太からの賄賂やコネで協力していた公務員数十名の存在も佐々木が隠し通したUSBと翔太の逮捕時に押収したパソコンのデータを解析して発覚、大捕物になった。
更に最悪なのはあの老人ホーム、あそこは表では普通の格安老人ホームなのだが裏がかなりヤバかった。何せ老人ホームに入った人はもれなく翔太の脅しの材料にされるだけではなく退去防止や外部にこの老人ホームの悪評を広めない為、地下で繋がっているブラックマーケットで作られた麻薬の品質確認の為に食事や飲料水、又は常備薬に地下で作られた麻薬を混ぜて服用させていたのだ。
そのせいであの老人ホームの人達は家族が退去しようと持ちかけても薬のせいでまともに会話すら成り立たず、会話できても絶対に退去をしないと意地になる始末、つまり薬物中毒にして操り人形にしていたのだ。
だから今捕まっている翔太は内乱罪だけではなく意図的にスタンピードを発生させたり、老人ホームでの非人道的行為など様々な罪が浮き彫りになってきている。おそらくもう外の空気は吸えないであろうと渡辺さんは言っていた。
最後に翔太の父親だが…現在医療刑務所の一室に隔離されている。翔太とは違い意識が無い植物状態だから罪を問おうにも何も答えられない状況で、仕方がなく今はこうするしかないらしい。
まあ、取り敢えず父さんの因縁はコレで終わったので明るい話をしよう。
まず佐々木家によって隔離されていた佐々木についてだが、無事に国から特例で新しい戸籍を貰い正式に「佐々木 正太郎」と名乗る事になり、東京の築地に現在作られている月神製薬の新しい製薬工場の警備員として就職が決まった。
この就職は父さんが桜の両親に事情を説明した後に直談判したら、
「そんな悲しい過去がある奴がウチで新しい人生の為に働こうとしているんだ…それを断る理由なんて皆無だぜぇ!」
と言って上半身の服を筋肉で吹き飛ばして奥さんが三人に分裂して頭に踵落としをおみまいする事になったそうだ。
その後はキチンと佐々木が会長と桜の兄である社長と三人で話し合い、現在は元佐々木家の屋敷の全ての資産を売って手に入れたお金で一人暮らしをしつつ他の製薬工場で警備員の心得を学んでいるそうだ。
次に父さんと渡辺さんの新しいスキルについてだが、まず父さんはジョブに『格闘家』、スキルに『暗記』が追加された。
次に渡辺さんはジョブは『メイド』、スキルに『地図』が追加された。
全て前に説明した物ばかりたがら説明は省く…後、俺の現在のステータスはどうなっているのかは後で説明する。
そして渡辺さんの宝箱から出てきたニホンカワウソは無事に保護、現在は前に保護した二匹と一緒に繁殖させるべく日夜お世話されているらしい。更に赤色のポーションも買い手がつき9桁の金額で買い手の手に渡った。
最後に父さんの宝箱の絵だが…叶の見立て通りとんでもない物だ。
まずあの絵の金属プレートに彫られていたギュスターヴ・クールベと言う名前、それは1819年に生まれた画家でかなりの有名人だった。そして俺の絵の時同様に絵の専門家達が鑑定した結果…あの絵は本物の『石割り人夫』である事が判明した。
石割り人夫はギュスターヴ・クールベが1849年に描いたとされる絵であり特徴として道端で黙々と石を砕く人夫たちの姿が徹底した写実主義を表現している作品なのだが第二次世界大戦中である1945年に爆撃で他の作品と一緒に燃えたと言われている。
つまり俺の持っている芦屋のひまわりと同じ爆撃で消失した作品と言う事だ。
だからだろう、俺と全く同じ事が起きた。お陰でまたギルドに迷惑をかけてしまった、お陰で父さんは俺と同じ特殊なアタッシュケースに絵を保管してギルドが管理している貸し倉庫に預ける事になった。
まあ、父さん達についてはこの位だろう…でも最近渡辺さんが父さんのいる実家に頻繁に出入りしていると聞いたのだが…その辺は本人達に聞くしかない。
最後に俺、そして今回いきなり生まれた俺の姉さんについてだが…現在、俺達2人は同じビジネスホテルの部屋で過ごしていた。勿論これには意味がある。実は…
「渉、余所見厳禁」
「くっ!?」
俺が今日までの事を思い出していると姉さんに腹を蹴られて『砂利』の上に頭から突っ込み、そのまま止まる。もちろん今いる場所はビジネスホテルの一室であっている。だが今いる場所は『川が流れる山の中のほとり』にいる。
そして姉さんはタンクトップ姿にホットパンツ姿で俺を蹴った後にまた構えた。
「だいぶこの体での戦い方が分かってきた。でも相変わらず渉のその体…いや、そのスキルはずるい。私の今の全力の蹴りに耐えて吹き飛ぶだけとか頑丈すぎでしょ?」
「…いつつ、マジで容赦ないな俺の姉さんは…頑丈なのは認めるがもうちょい手加減してよ」
俺はそう言って立ち上がり、俺は姉さんに対峙するように構えた。
実は姉さんは俺の遺伝子と血を元に生まれたので俺と同じ心を拠点として展開するErrorスキル『
「んじゃ、また…行くぞ!」
俺はそう言って掛け出す。そう、つまり姉さんの人の姿での戦闘になれる為に今もこの拠点で戦闘訓練をしていたのだ。
「えい!」
「フン!」
「…今度は腹筋だけで耐えた。本当に頑丈だね、羨ましよ
渉の二つ目のErrorスキルは」
ついでに俺の持っていた『モテ体質(動物)』が変化して『(自分の理想の狩人)』というErrorスキルに変化したので能力のチェックをしているのもある。
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