第256話
〜〜 9月1日 某会場 夜 〜〜
俺達は無事にダンジョンを制覇した、だが世間それ以上の盛り上がりを見せた。
まず獣人の件、レイちゃん達はあの日以降、国の命令で皇居に一時的に住まわせてもらっている。何せ獣の遺伝子を持つ人類種なんて他国も興味津々だ、だから下手な所に匿うとちょっかいをかけるバカが必ず出てくる。だから取り敢えず天皇陛下の提案で皇居に身を置き、安全を確保次第俺の住むタワマンの階層を改造してそこに移り住むらしい。あと、先日天皇陛下から直々に日本国籍を全員に渡され、見返りに自分達の医学書を何冊か国に渡したとニュースで言っていた。
次に無事に夏美が帰ってきた事によってデータが十分に集まり、無事にダンジョンでも使える高性能の義手と義足の量産が始まり、今は夏美の両親の会社は日本どころか世界中の国や身体障害者団体から支援を受けてフル稼働で需要に答えているそうだ。更に並行して軍用モデルの開発も始まり、石川県は新しい産業が生まれて世界から注目されている。
次にMB〈O〉だが、正式に量産が決定して自衛隊に80機、ギルドのスタンピードの対策部隊や探索部隊用に30機配備される事になった。更には他の国でもMB〈O〉の導入計画が提示されているらしいが…その点は詳しくは教えてくれなかった。
そして何故がバカ弟子である狂子や鳥伝さん達整備班ら国が正式に作ったMB〈O〉専用の重整備工場に配属されて日夜整備に明け暮れたり狂子の暴走に巻き込まれたりしているらしい。
んで、最後に残ったのは俺が作った爆発物の件とErrorスキルの子供への遺伝について。
まず、俺が作った爆発物に関しては俺も参加した緊急会議にて国は量産を決めた…のだが、取り敢えずその為に現在東京タワーのダンジョンは国が直接管理する事になってしまった。
まず、ダンジョンで使える黒色火薬とニトログリセリンには俺が中層で手に入れた魔石化白金と魔血混入白金を使いアンモニア酸化法をもちいてつくる混魔硝酸が必要であり、それが取れるのは世界中で東京タワーのダンジョンの中層しか確認されていない上にかなりの低確率でしか手に入らない貴重すぎる金属、その為国は貴重なレアアースを含む鉱石資源の確保と管理を名目に東京タワー自体に自衛隊などを配備、常にダンジョン内でモンスターを狩り、安全面を確保している。
更に言えば火薬はできたが、まだ雷管などは作れていない。と言うか俺の花散の技術を使っても弾丸が薬莢から出てこなかったし、何なら火縄銃でも火薬は爆発したが玉は出てこなかった。
その為ダンジョンで使えるクロスボウの完成型である『ロビン・一四型』と専用で爆発する用に改造した矢、花散とダイナマイトを量産する事になった。後、俺が火薬や爆発物を作った事に関してはお咎めはなく、コレからも研究してくれと国からお墨付きを貰い特別に俺と夏美にクロスボウの所持許可証まで貰った。本当に嬉しかった。
だが、1番の問題はErrorスキル…つまりErrorスキルが子孫に確実に遺伝する事が発覚した事だ。
だから国内外から毎日のようにお見合いやらなんやらがきて国はてんてこ舞いだし父さんは暴走するしでかなり疲弊した…あ、スキルで思い出した。
「そう言えば、俺って今回ジョブとスキルが『再編成』したんだよな…やっぱあの赤い三角錐が原因なのかな?」
俺は現在、件の勲章授与が終わり、その時のタキシードを着たままギルドが主催したパーティがあるホテルにいて、そのパーティから抜け出して中庭の避難していたが、不意に歩くのをやめて夜空を見上げながらそう呟いた。
現在、俺のジョブは『匠』『狩人』、スキルは『努力』『地図』『採取&採掘名人』『解体の極み』『観察眼』『モテ体質(動物)』となっている。
まずジョブの『匠』は生産系の最高峰のジョブで料理を含む生産する全ての物がそれを作るのに特化したジョブ並に製作できるようになるジョブ。
次に『狩人』は自分が作った狩猟道具の扱いが上手くなるジョブで、この狩猟道具は俺が再現した狩りゲーの武器や防具、道具に至るまで全てがジョブの対象内だった為にメチャクチャ動きやすくなりかなり嬉しいジョブだ。
次にスキルだが、まず『解体の極み』は『解体名人』よりもスムーズに、かつ解体する際に出てしまうモンスターの素材の無駄になる部分をより少なくするスキル。
最後に『観察眼』、コレは完全に『鷹の目』のデメリットがない完全上位互換でありより使いやすくなった。
そしてスキルやジョブが増えるどころか変更された、そのせいでギルドに多大な迷惑をかけてしまった…あの時の目にクマどころか顔面が青くなりながらもふらふらと歩きながら俺のスキルやジョブの件に対して対処してくれた渡辺さんに申し訳ないと感じてしまった。
まあ、その後に俺が市販のエナジードリンクに魔石の粉と超スッポンの血を入れた特性エナジードリンクを渡したせいで渡辺さんは元気になったどころか一週間の間寝ずに働けるようになり、父さんにパロスペシャルをお見舞いされてしまったが…別に大丈夫だろう、うん。
「ともかく、コイツをどうするかね?正直もらっても何か変わるんかな?」
「それが、かなり変わるんだよ渉?」
俺はそう呟くと胸のあたりに天皇陛下から頂いた勲章である『双翼日輪章』と呼ばれている日本の国旗を白い羽が包み込んだようなデザインの勲章を触っていると、不意に背中側から誰かに抱きつかれた。
俺は急いで確認する為に振り向くと、抱きついてきたのはワインカラーのドレスを着た桜でその後ろには白いドレスを着て量産型の義足を装備した夏美がいた。
「お、お前らいつの間に…」
「主役の1人がいなくなったから探しにきたんだよ、ねえ桜?」
「うん、それに渉の疑問なら私達がすぐに答えられるから一石二鳥だね」
俺の質問に、桜と夏美は意味が理解できない回答をすると今度は夏美が俺の前まで歩くとこちらを向いた。
「渉、その勲章…ネットでは何て呼ばれているか知ってる?」
そして、そう夏美が聞いてきたので俺はゆっくりと首を横に振った。
「うん、だろうね…渉、よく聞いてね。その勲章…
別名、『重婚許可証』って呼ばれてるんだ」
俺はこの日、この世界で見落としていた最大の違いについてようやく気づく事になった。
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