第201話
「「「「ギァアアアアァアア!?!?」」」」
この場にいる全員が思いっきり悲鳴をあげた。
〈もう、お兄ちゃん。いきなり悲鳴をあげるとか非常識ですよ?〉
「いや、生首を膝の上にのせている時点でお前さんに常識について言われたくないわ!」
そんな姿を画面越しに不機嫌になりながら常識がないとか言ってくる優香さんに俺は思いっきりツッコミを入れて反論した。
だってどう見ても膝の上にある頭部は画面越しからでも分かる位に作り物ではないのは明白だ、だから俺は流石に今の優香さんの状態で常識云々を語る資格はないと思ったからだ。
「イヤイヤイヤ、流石に渉の知り合いでも膝に生く…
〈あ、僕はちゃんと生きてます。ただ優ちゃんに膝枕してもらっているだけですからお気になさらず…〉
キエェェェアァァア!?シャべッタアァァアァァ!?!?」
そして、叶が今の優香さんの1番不自然な所に何か言おうとした。
しかしその言葉はまさかの膝の上にある頭部だけになっている存在がいきなり喋り出して否定した為に叶は更に発狂した。
更に言えばこの光景に今発言している俺と叶以外は絶句しており各種ドローンのコメントもピッタリと止まっていた。
そんな状態の中、俺だけがある事を思い出す。
「…あの、もしかしてその頭だけの人…優香さんの婚約者の『藤本
〈あ、はい。僕が幽鬼です、かの有名な〈狩友〉の皆さんに会えてとても嬉しいです…って、今は頭だけだから分かりずらいですよね!すみません!!〉
俺が以前歌舞伎座で大吾さんから聞いていた婚約者の名前を言って本人か確認した所、どうやら本人らしく子供のような笑顔で答えてくれた。
「…渉、説明してくれ。この人達は誰だ?」
そんなやり取りをしていると何とか動けている叶が俺にそう言ってきた。
俺はそれを聞くと画面越しに優香さんとアイコンタクトを試みる、それがうまくいったのか優香さんが一息咳き込むと真剣な顔になり俺達に向き直る。
〈すみません、私とした事が皆様に自己紹介をし忘れていました。ですので今更ですが自己紹介をさせて下さい。
私の名前は大神 優香、お兄ちゃん…渉お兄ちゃんにErrorスキルを事を教えた張本人にして私自身もErrorスキルを持っています。因みに中学3年生です、今後もよろしくお願いします〉
〈んじゃ、僕も…初めまして、僕の名前は藤本 幽鬼です。体と頭が分離しますがそれは僕のジョブが『デュラハン』だから生まれつき首の根本から取り外し可能なだけですのでどうかお気になさらず〉
「いや、色々とありすぎて気になりすぎるわ!」
そしてキチンと2人は挨拶をするがその場で叶が叫ぶようにツッコミを入れた為に2人は真顔になり固まってしまう。
「…取り敢えず今から疑問を一つ一つ片付ける。いいよね、2人と…
〈はい、分かりましたお兄ちゃん!〉
食い気味にくるのはやめてくれ…あと俺は優香さんとは絶対に兄弟では無いからな」
取り敢えずこのままじゃ話ができないので俺は無理やりだが叶達の間に入って話を進めようとしたが、俺に話しかけられた事が嬉しかったのかめちゃくちゃいい笑顔で反応してくれたが俺は自分が兄である事実を否定しつつ2人に詳しい事情を話すように促した。
まず、幽鬼くんが自分の説明を始める。
彼のジョブである『デュラハン』、コレはかなり稀に『
さっきも言ったが『デュラハン』の変異元である『
だが、『デュラハン』はそれに加えて剣を二刀流にして戦闘したり、ハンマーやメイスなどの打撃武器も上手く扱える補正がかかるジョブであり攻防一体型の珍しいジョブであるのだが、一つ最大の特徴にして最大の弱点がある。
それは生まれた時から首の根本に首を一周する黒い線があり、そこから首が分離してしまう事であり、しかもコレは本人の意思で外せてしまうし何なら本人の意思関係なく他人が勝手に外してしまう事もできてしまう。
しかし一応首が外れても胴体は本人の意思で動くらしい…のだが、頭が外れてしまうと視界がズレてしまう為に体が上手く動かせないし首が外れてから視界内に体がない場合は体は例え本人が動かそうとしても何故か動かないらしい。
更に言えば仮に戦闘中などで首が外れてしまった場合、まず弱点である頭部が外れた時点で防御不可能だから間違いなく首を攻撃されるし何なら首が取れた時点で体が上手く動かせないから敵に確実に負けてしまう。
しかしいい所もあり頭部が外れた場合は頭部がやられた場合は確実に死ぬが、体はどれだけ攻撃を受けても本人に痛みを感じないしどれだけ傷ついたり腕や足を失っても絶対に死なない。そして頭部をまた体にくっつけるとどれだけダメージを受けていようがくっつけた瞬間に回復する、例え腕が吹き飛んでようが体に無数の穴が開いてようが下半身が分断されていよう関係なく完全に回復する。
…余談だが、分離した首と体の断面は何故か真っ黒になるから一応グロくはないらしい。
〈だから優ちゃんによく他の女の子と会話した罰として僕が寝ている間に体から首を外して自宅に拉致するんですよ、とても嫉妬深くて可愛いですよね?〉
「いや、それ洒落にならな…
〈僕ハ優チャンヲ愛シテマスカラ別二何モ問題ハナインデスヨ?〉
…なるほど、大吾さんの言う通りだ。これ以上優香さんに合う男性はいないわ」
俺が幽鬼くんの言葉にツッコミを入れようとしたら目のハイライトが消えた状態で反論されてしまった。
俺はそれを見て大吾さんがなぜ彼を優香さんの婚約者にしたのかを身をもって理解した。この2人は似たもの同士だ、だから相性抜群でお互い理解し合っているんだと。
「…取り敢えず、一旦幽鬼くんの自己紹介はコレでお仕舞いにして…次は優香さん、お願いします」
〈分かりましたお兄ちゃん♪〉
俺は取り敢えず一旦幽鬼くんの事はコレでおしまいにして、次に優香さんの自己紹介をする様に伝える。
まあ…優香さんの自己紹介…普通には終わらないだろう…マジで心配になってきた。
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