第199話
「廃鉱…山…だと?」
叶は目を見開いていて驚いていた。
まあ無理もない、何故なら事前に手に入れた情報をまとめて考えた結果、俺達は中層の環境は砂漠地帯だと考えていたからだ。
「本当、このダンジョンの情報を売ったり無料公開しているサイトとかを色々見て考えたけど…予想を遥かに上回ってくれたよ…勿論悪い意味で」
俺はそう言って腰のポーチからスマホを取り出す。
「荒野、草原、沼地に雪原…様々な情報があった。その中で1番多かったのが砂漠地帯の情報だった、だからこそその想定で動いていたのにな…この様子なら深層の情報も信用できなくなる、攻略できる日数が大体二週間くらいだったけど…もっと伸びる可能性があるな…」
俺はそう言ってスマホに入れていた今日までにネットなどで集めた情報を見ながらそう言う。
恐らくこのダンジョンの中層は誰も入った事がない、もしくは入ったとしても死んで帰ってこなかったから情報が無かったのだろう。
だから何かの手違いとかで間違った情報が一つでも流れてしまうとそれが真実だと考えられてその情報が拡散されたり、またそこから派生してまた違う情報が生まれたりしてしまう。
俺達は恐らくその類の情報をつかまされてしまたのだろう…本当、嫌になるよ…
「…あれ、そう言えば何で渉は大丈夫だったんだ?同じ空気を吸ってるはずだろ??」
俺と会話して息を吐いているからか、叶は先程よりかは話せる様になった。そんな状態だからから叶が不意にそんな事を聞いてくる。俺はそんな叶を見つつ顔に装備している口面を外して手に持った。
「…さっき俺の拠点は解析する力があるって言ったけど、それは俺が能力で拠点に送った物に限る力なんだ。だから装備した状態で拠点に入ってから外して管理していたこの口面は解析していなかった。
だから知らなかったんだが、コイツは俺の意思で口を自動で開閉できる機能だけじゃなく口が閉じている場合は防塵マスクと同じ効果があるみたいなんだ。だから俺はこの霧が効かなかった、本当に運が良かったんだよ…コイツを付けていなかったら確実に全滅していたからな…!」
俺はそう言うと口面を持つ腕を震えさせながら苦悶の顔を浮かべる。
俺は初めてダンジョンに入った時死にかけた、だからそれ以降慢心しない様に生きていた…はずだった。
しかし、今回はこの可能性に気がつがずにパーティを危険に晒してしまった。それに偶々俺がこの口面を手に入れて装備していなかったら…間違いなく全滅していた。
(慢心はしない…そう覚悟していたんだけどな…)
今回はたまたま運が良かっただけだ、もし次に同じ事が起きようもんなら間違いなく全滅する。今一度しっかりと慢心しないように気を引き締めるよう心がけないと次は死ぬだろう。
「…取り敢えず、今日と明日のダンジョン探索は一旦お休みにして皆の体調を整えよう。俺はその間に全員分のフィルター交換式の防塵マスクと防塵フィルターを作る事にするよ…でも、一応俺だけ外にでて周囲の確認だけをするから何か新しい情報が手に入り次第共有する。それで納得してくれるか、叶?」
俺がそう言うと、叶は無言だがゆっくりと頷いてくれた。
俺はそれを見てから笑顔になってから叶のいるベッドから離れて建物の中に入る。
そしてアイランドキッチンに立ち、寸胴鍋を出した。
「さて、皆が無事に起きた事だし夕食を作ろう。…簡単に素麺にするか、後は農場から分けてもらった新鮮なプチトマトとかを冷やして…あ、ついでに冷しゃぶも作るか。なら早速お肉を準備して…」
そう言って俺は夕食の準備を始める。確かに今から俺の持つ狩ゲーの本の中から防塵マスクを製作する事もできる、しかし先ずは皆のお腹を満たすのが先だ。キチンと栄養をとってもらい早く体調を直してもらいたいからだ。
〜〜 22時 〜〜
「…はい、んじゃアタシがこう言うのもなんだけど…取り敢えずこれよりミリアに対する尋問を開始します」
「あら、まだ足の痺れがある状態の私に対して尋問をするなんて。夏美、貴方そんなしゅ…
「被告人は黙ってて、アタシの言葉にきちんと答えるだけにして」
あら、怖い顔して。スマイルスマイル♪」
何とか皆は夕食を食べ終わり、ミリアさんは両足と叶は左手が未だ痺れている状態だが他全員は何とか回復した。
その為取り敢えず今日と明日は探索はお休みにして色々と準備する件を皆に話した、そうしたらミリアさんの件は今日の内に片付けたいという感じになり、こうなった。
因みに現在もち丸達は神社に帰っていき、俺達は建物内でソファーにミリアさんを座らしてからそれを全員で囲むようにしてミリアさんを見ている。更にはミリアさん以外のドローンは配信していて、ミリアさんのドローンには俺のスマホがセットされていて渡辺さんと中継が繋がっている状態だ。
「んじゃ、下手に伸ばすのは嫌いだし単刀直入に聞くけど…ミリア、何でErrorスキルを持っていた事を黙ってたの?」
〈すみません、それは私は全然知らない事なんですが!?〉
「あ、すみません渡辺さん。俺が代わりに説明します」
そんな状態の中、夏美が話を切り出すと渡辺さんがめちゃくちゃ驚いていて全てのドローンのコメントも滝のように流れている。
俺はそんな渡辺さんに簡単にだが説明をしていく。
〈…つまり、今日ミリアさんが物を収納できるErrorスキルを持っていた事が判明したからこの場で洗いざらい聞き出そうとしている訳ですか?〉
「はい、その通りです」
〈そう言う事はもっと早く言って下さいよ…〉
俺の言葉に渡辺さんが画面内で頭を抱えている。…まあ、俺達も全くの予想外の事が起きたから報告が遅れてしまったのが原因だから罪悪感が半端ない。
だが、今はミリアさんの事の方が重要だから渡辺さんには今は我慢してもらおうと思う。
「んじゃ、早速だけど…
「あ、夏美。ちょい待ち」
…どうしたの渉?」
そんな事をしていると夏美が話を進めようとしたので俺が夏美の言葉を遮る。
「すまん、実は今回の件で特別ゲストに連絡しているからその人を登場させていい?」
「特別ゲスト?」
俺がそう言うと夏美が頭を傾げてそう言った。
だから俺はハッキリとこう言う。
「うん
その人は俺にErrorスキルを教えてくれた人で人類で三人目のErrorスキルの所持者だよ」
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