第173話
〜〜 数日後 迷宮学園 グラウンド〜〜
「フン!」
「ゴハ!?」
「…」
こちらは武器は無いのに刃を潰して切れないようにしている片手剣で横薙ぎをされたので、ジャンプして避けた後にそのまま一回転でしながら相手の頭に踵落としをお見舞いする。
それをくらった男性はそのまま気絶し、その近くには同じく刃が潰された槍を握りながら気絶している男性がいた。
ザワザワ…
「嘘だろ…槍の奴ならともかく〈風紀委員〉の竹山が一撃でやられたぞ!?」
「しかも2人がかりで〈
「これがダンジョンを制覇できる人間の実力なのか…!?」
周りにいた人達も何故か戦慄していた。
現在俺は何をやっているのかと言うと学校の授業にて対人訓練をしていた。
しかし、その授業で先生の提案により俺達〈狩友〉の4人は何故か2対1で不利な状況なうえ武器無しで戦う事になってしまったのだ。
その為俺はさっきまで槍の男性と竹山と言われていた男性を素手で無力化したのだ。
「『ワンインチパンチ』と『テコンドー』…動画を見ただけの完全な我流だが練習しておいて良かった…」
俺は審判をしている人が2人の安否確認をしている最中にそう呟いた。
『努力』のスキルに複合されているスキルの一つである『修練』、コレは武術の習得と研磨に限界を無くすスキルだ。
だから俺は自衛の為に9月からワンインチパンチとテコンドーの動きを動画を見て、自分なりの解釈を入れた我流だが体に染み込ませるレベルで覚えておいたのだ。勿論かなりのハードメニューだったし精神的にも肉体的にも殆ど死にかけたがその日々が無駄にならなくて良かったと思う。
「双方気絶、勝者 渉!」
(うし勝った…まあ、負けられない事もされたしね…あの竹山って人は運が悪かったと思ってもらうしかないか…)
歓声を浴びながら俺はコートから離れる。実は試合開始直前に
「俺は絶対にお前に勝つ!道具だけに頼る臆病者には負けられねえ!」
と槍を持った男性がニヤニヤと笑顔を浮かべて周りに聞こえるように叫んだのだ。
つまりあの人は俺の強さは道具によるものであり、俺自身は弱いとだんげんしていたのだ…そんな事、許されるはずがない。
俺の作る物が強いのは認める、だがそれを扱うにはその道具を扱う為の筋肉と相当の練習が必要なのだ。つまりあの男はその扱う為の努力を完全に否定したと同意の行動をとったのだ。許せるはずがない。
だから戦闘開始直後にその男に肉薄してボクシングのようにワザと顎下を掠らせる形のワンインチパンチを放ち、脳を揺らして気絶させた。後はさっきの流れで竹山くんを気絶させて試合は終了したのだ。
「おつかれ、渉。はい」
「おっと…サンキュー桜」
俺がコートを離れると桜がタオルと水を渡してくれる。
「桜は俺より早かったのか、確かほぼ同時に試合開始したと思うんだが?」
「分身を使って一気に制圧したから簡単だったよ。
それに渉だって早かったよ、流石は鍛えてるだけはあるね」
桜はそう言うと俺の右隣に移動した。
「フンス!」
「ロープ!ロープ!」
すると近くのコートからそう言う声が聞こえて来たのでみてみると、一二三が笑顔で恐竜モチーフのマスクをつけた男性にサソリ固めをかけていた。
近くには海老反りの状態で気絶している人もいる為かなり暴れているのであろう。
「確か…多田野くんだったか?海老反りになって気絶とはエグいな」
「多分一二三はプロレス技縛りで戦いをしているんだと思う…あ、審判が止めた」
俺達がそう会話をしていると審判が一二三にストップをかけた、そしてそのまま一二三の勝利を宣言する。
「…ただいま、飲み物プリーズ」
「おつかれ、一二三」
「おつかれさま一二三、はいコレ」
一二三は取り敢えず無表情になりながらこちらに向かって走ってきてからそう言う。
俺は取り敢えず一二三をねぎらい、桜もまた一二三をねぎらいつつドリンクとタオルを渡した。
「…あれ?ミ、
「一二三?」
おっと、お口にドリンク」
タオルとドリンクを受け取った一二三はミリアさんの名前を言いかけるが、桜の言葉に急いで口にドリンクを含んで黙る。
実はまだ夏美とミリアさんが正式に仲間入りをしたのを俺達は世間に発表していない。何故なら7月辺りで攻略する事にしたダンジョンと新メンバーを発表した方が盛り上がると皆で話し合って決めたからだ。
だから夏美は情報科の為会う事自体は避けられるが、ミリアさんは今の所学園内だけ知人の知人として過ごす事にしている。
前の食堂の騒ぎで俺と夏美が幼馴染だと言うことがバレている為、夏美の友達であるミリアさんも一応顔馴染み程度の付き合いをしないと色々と勘付かれる恐れがあるからとミリアさんの提案でこうしているのだ。
多分あの人は面白いからこうしているのだろうと思う、だってその話をしてなの表情なんていたずらっ子の顔そのものだったし。
「…あ、次は叶だ」
「え、マジ?どこどこ??」
俺がそう考えていると、不意に一二三がそう言う。
俺がその言葉に反応すると、とあるコートに指を指した。
「…ふぅ」
「…」
「あわわわ!?」
そこには息を整えてリラックスしている叶、そんな叶を睨むような視線で見ながら模造刀に手をおく黒髪ポニーテールが特徴の可愛い系の顔をした胸が大きい女性、そんな2人を見てアワアワと取り乱している棍棒を持った男子生徒がいた。
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