第168話
〜〜 数日後 秋葉原 秋葉原駅前 10時 side 如月 叶 〜
「…お、おっす一二三達。早かったな」
「おはよう、叶。私服姿は久しぶりだね」
「おっす」モグモグ
日曜日の今日、渉を除く俺達〈狩友〉のメンバーは配信をおやすみして秋葉原の駅前に集合していた。
目的は渉が一人暮らしをしている新居に行く為だ、勿論夏美の義足の件もあるが他にも渉は用があるらしく数日前から準備していた。
「…あら、私達が最後ね。早めに来たのに全員集合しているのは流石〈狩友〉と言った所かしら?」
「お、一二三。そりゃ新作の『ハワイアンパイナポーバーガー』か?ネットでは甘さと酸味がミスマッチして不評とか書かれまくってるのに3つも食べるという事は情報は誤報かな?」
「いや、正しい情報だよ。
パティとパイナップルとハンバーグがミスマッチ過ぎて私は二度とコレを食べないと誓えるレベル、何でソースをタルタルソースにしたのかも不明だね」
俺の到着後、直ぐにミリアさんと夏美も合流した。
2人ともTシャツにジーパン姿だった。そしてミリアさんのTシャツに『自宅警備員希望』と達筆な字で書かれているのは気になる、しかし夏美の『ガチタンこそ正義』と書かれたTシャツも気になる。
…というか一二三、今食べ終わったハンバーガーはそんな意味不明な奴だったんかい。しかも包み紙的に3つも食べてるし。
「…取り敢えず目的地に行こう。周りの目が気になる」
「「「…あ」」」
取り敢えず俺はこの場から離れる様に皆に提案する。
何故なら先ほどから周りの視線を集めているし写真とか動画もちらほら撮られている。おそらく俺達〈狩友〉が有名になってきた為にこういった事が起きているのは仕方がないのは理解できるが渉が自宅の場所を隠したいと思っている以上目立つのは得策ではない。
「取り敢えず、到着時間をずらして渉の家に行こう。ボクも気をつけるけど後ろに変な奴を連れてこないでね?」
「「「了解」」」
すると桜はすぐさま解決案を出して皆に伝えてくれた。
俺達はそれに納得するとそれぞれバラバラに移動し始める。因みに俺は後ろから2人ほど付いてきたのでメイド喫茶やらアニメ関連のショップやらを使い何とか振り切ったのだった。
〜〜 しばらくして 〜〜
「…て、アイツの住む住居って『タワマン』かよ!?」
「あ、見つけた。このタワマンはギルドが管理している物件で分譲のタワマン、価格は2LDKでコミコミ約9000万…ヤバ」パクパク
俺はここに来る途中でおでん缶を食べていた一二三を回収して渉の住む場所に向かった。
しかし到着してみればそこは何と40階はあるタワマンだった。そして未だおでん缶を食べていた一二三が片手でスマホを操作してこのマンションを調べて報告してくれる…てか、約9000万とか渉の奴一人暮らしをする為に思い切った買い物をしたもんだ。
「…叶、今誰も私達を見ていないしついて来ている人もいない。今がチャンス」
「お、おう。ありがとう一二三」
俺がタワマンを見上げていると不意に一二三が服を軽く引っ張りながらそう言う。
確かに今なら誰にも気にされずに入れるチャンスだ。
俺達2人は急いでマンションの入り口に入る。入り口にはセキュリティがあったが渉の部屋の番号を押してしばらくたつとガラスの扉が開いた。
「あ、2人が最後だね。無事に合流できて良かった」
「あ、スマン。俺達が最後か…」
中に入るとかなり豪華なエントランスホールがあり、その片隅に残りのメンバーがいたのを見つけた。
どうやら無事に合流できたらしい。
「…因みに俺は2人に付けられていた。多分アレは配信者だと思う」
「私は五人、カメラで撮影もしてたから同じく配信者かな?」
「ボクは三人、内2人はナンパ野郎で絡んできたから無視した。もう1人は女性でいきなり
『お姉様!お会いしたかったです!』
とか言って抱きついて来たからそのままコブラツイストをかまして交番に渡したよ」
「アンタらも大変だね。その点アタシ達は大丈夫だったから一番乗りだったな」
「ええ、夏美の言う通りスムーズに来れたわ」
俺達は全員で何があったか報告する。どうやら1番ハズレを引いたのは桜みたいだ。
「んじゃ、皆が無事に集まったからさっさと渉の家にいこ…あ、手土産買うの忘れた…」
「別にいいんじゃね?また外に出るのはリスクがあるし次の機会にすればいいじゃん」
「…そうだね。そうしようか…」
しばらく話した後にいざ桜が渉の家に行こうとしたが、お土産の事をいきなり気にしだした。
別に渉の性格ならお土産なんていらないと思うが桜の気持ちでもあるので後日に渡す型でいいと助言した。
桜も助言を聞き、納得してくれる。
俺達はそのままエレベーターに乗って27階に行き、皆でとある扉の前に着く。
「あれ?…渉の匂いと違う…『獣の匂い』に近い…でも違う…何これ?」
すると部屋の前で一二三が何か変な事を言い出した。
しかしこれ以上渉を待たす訳にはいかないので俺はチャイムを鳴らした。
ピンポーン
『はーい、少しお待ち下さいですよー♪』
「「「…は?」」」
しかしチャイム越しに聞こえて来たのは渉とは違う聞いた事の無い声が聞こえて来て玄関の扉がガチャガチャと音がなり始める。
そしてそのまま扉が開き…
「ダンナから話はお聞きしております、お待たせして御免なさいですよ」
「は?…二足歩行の『狐』…?」
そこに居たのは二足歩行で歩く50㎝位の大きさで白い体毛だが足は茶色の体毛の狐だった。
「はい、僕の名前は『もち丸』。種族は友狐でダンナの盟友ですよ。よろしくですよ!」
そう言うと、謎の狐はキチンとお辞儀をした。
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