第128話
〜〜 東京スカイツリー展望デッキ内ダンジョン 深層 13時30分 side 月神 桜 〜〜
「…ケプッ、これ以上食べたら禁層に行くまでに食べた物を消化できない。故にごちそうさまでした」
「ほんと、用意されたお昼ご飯を殆ど1人で食べ切ったね。用意した渉も凄いけどそれを食べれる一二三も凄いよ」
「✌︎(˙-˙)✌︎」
拠点の中庭で約85人前を食べたにも関わらず無表情でダブルピースをしてくるライダースーツを着た一二三を見てオレは笑顔になる。
渉が一緒に寝てくれたので昨日の不安は一切なく、更に超スッポンのお陰か体の調子も凄くいい。
まさに完璧な状態で禁層に挑める状態だと言えるだろう。
そしてオレ達はさっきまで渉が作ってくれたゲン担ぎの意味を込めたお昼ご飯のラビット・ソーのカツ丼と里芋のお味噌汁(一二三はそれ➕高カロリーご飯多数)を食べ終わって渉と叶以外は強化してもらった装備に着替えて禁層に挑む為の最終調整をしていた。
「…やっぱり渉は凄いな、禁層用に強化された短槍はオレの戦闘時の癖に合わせて調整されたから更に使いやすくなってるし、防具もまるで着ていないみたいに軽い」
「私もそう思う、渉の装備を使ったら他の装備なんて重くて使えない」
一二三はオレの言葉にそう返すと膝に毛布の様に置いてあった猫耳パーカーを座っていた席から立ち上がり羽織る、しかしそのパーカーは渉が渡した時とは少し違い、一二三の意見を取り入れて強化の時に背中に大きくオレ達『狩友』のシンボルが赤い糸と白い糸で完全に再現されていた。
かくゆう私も同じく赤い糸と白い糸でシンボルが再現されている腕章を作ってもらって右腕に付けている。
そして渉曰く渉達の新しい装備にもシンボルを入れたと言っていたので早く2人の新装備を見たいと思っていた。
そんな事を考えていると建物に入る扉から誰かが出てきた。
「いやー、やっぱり渉はスゲェな。まさかこれだけの装備を来ているのに感じる重さが今まで着ていた装備よりも遥かに軽いとかどんなトンデモ技術を使ったんだ?」
「やあ、叶…へぇ、結構似合ってるね。いいじゃん」
「( ゚д゚)ポカーン」
出てきたのは叶だったが、装備が今までのとは全然違った。
叶の装備は一言で言えば和装寄りの装備、明るい紫色で金糸などで細部まで細かく装飾されている背中に俺達のシンボルがある武士の様な和装の上に剣道で使う胴を装備して足は厚底のブーツ、頭には額当てを装備して腰には渉お手製の4つのアイテムポーチ付きベルトと刀が装備されていた。
「いやー、最初渉から渡された時は余りの軽さと布面積の多さに防御力が心配だったけど着てみたら一瞬でそんな事吹き飛んだよ。
この装備の方が今まで着たどの防具よりもしっくりきていて、間違いなく防御力も今までよりも上だと思う、しかも装備自体が軽いから瞬時に動けるし、アイテムポーチが付いたベルトは武器のマウントとか俺が必要だと思った所を完璧に再現している物だし最高だな」
そう言うと叶はその場で着ている装備の最終確認をしていた。
確かに今の叶はめちゃくちゃ様になっている。冗談抜きでかっこいいと言っても間違いないだろう。
「…うし。回復薬とか煙玉とかの入れ忘れも無し…って、一二三?俺をじっと見てどしたの??」
「( ゚д゚)ポカーン」
その場でアイテムポーチの中身を確認し終わった叶が、先ほどから口を開けて叶を凝視している一二三に気がついた。
しかし一二三は未だ口を開けっぱなしで叶を凝視している。
「( ゚д゚)……∑(゚Д゚)ハッ」
そのまま少しの間、叶を凝視していた一二三はいきなりびっくりした表情になったかと思うとその場で頭を何度も横に振った。
「…叶、似合ってる。凄くいい、しっくりきすぎて今までのどんな装備を着ていたか忘れたよ」
「いや、固まっていた時に何があった!?どんな衝撃を受けたら一部記憶が飛ぶんだ!?」
数秒頭を降るのを止めた一二三が開口一番にそう言うと、叶が全力で一二三にツッコミを入れた。
…と言うか一二三はどうしたんだろう?先ほどから叶は一二三の安否を気にしていてアタフタしているのにそんな叶目線を一切合わせようとしない。しかし叶は気づいてはいないようだが一二三はめちゃくちゃ素早くチラ見している、何故なら一瞬だが何回も一二三の顔がブレるからだ。
正直思い当たる節はあるがまだ確定では無いから下手な事は言えないし決めつけるのも良くない。
どうしようかと悩んでいたら…
「…ん?どうした叶??」
建物の中から渉の声が聞こえてきた。
「あ、渉。丁度良か…」
その声に振り向きながら助けを求めようとした…のだが、オレはそのまま固まってしまった。
「んぉ?何だこの状況??」
渉は俺達の様子を見て首を傾げるがオレは内心めちゃくちゃ焦っていた。
今の渉の姿は黒のズボンを履いて腰には4つのアイテムポーチ付いている革製のベルトを着けて黒の革靴をはいている。そして白色のワイシャツと灰色でプレイド柄のベストを来ていて赤いネクタイと俺と同じデザインの腕章と黒色で光沢があり手にピッタリと張り付くデザインの手袋を装備している。
髪もワックスでオールバックにしていて顔には縁無し伊達メガネをかけているしベストにはチェーンの装飾品が一つ着いていてオシャレ感が凄い。そして装備自体の作りが凄くて全体的に大人の雰囲気が凄く出ている。
(…やばい、反則だ。渉がカッコ良すぎだよ…)
そんな姿を見てオレはオレの中にある『私』が騒ぎ出したのだった。
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