第125話

「…」


「…」ボフッ


俺が桜の余りにも理解できない行動に固まっていると、桜はそのままベッドに横になった。

父さんとの電話の後、三人が無事に配信を終わらしたのを確認してから俺達は明日に備えてそれぞれの部屋で寝る事にした…までは良かった。

桜がまたやらかした。俺も同じ手を使われないと先に桜が自分の部屋な入ったのを確認してから自分の部屋に入った。しかし俺が扉を開けて中に入ってすぐに俺の横を桜が通り過ぎてベッドを占領、俺は驚いてスグに扉を閉めて桜が何をしているのか確認したらこうなっていた。


「…いや、お前自分の部屋に入ったはずじゃ…」


「…分身して、代わりに部屋に入ってもらった」


「いや、俺でも確認できない方法で部屋のルールの穴をつくのは流石に止めろ。防犯の為の検証と対策が俺1人ではできないじゃん」


まさかの俺が確認できない方法でまたルール破ってきた事に俺は頭を抱えたくなる。


「…ダメ、もう限界」


「取り敢えず人のべっ


『ドン』


ファ!?」


俺が本当に頭を抱えようとしていると、桜は何故かそう言いながら震え出した。

そして俺は自分のベッドで横になっている桜を起こそうとした…のだが、会話の途中で後ろから誰かに押されてそのままベッドに押し倒される。

その際に横になっていた桜にぶつかってしまったが、横になっていた桜はぶつかった瞬間桜自体が何故かブレて消えた。


「ぶ…分身!?」


「最大三人まで出せる『分身』のスキルはこういう簡単な誘導と奇襲にも使えるんだよ?」


背中から桜の声が聞こえてくる。

すると更にもう1人の桜がベッドの脇に出現、そのまま後ろで抱きついている桜ごと俺に上布団をかけてからブレて消えた。


「いや…いやいやいや、何してるの桜!?明日はお前にとっての1番大切な日だろ?こんな事をして、何を考えている!?」


俺はこの一連に流石に少し怒り気味で叫んだ、しかし桜からの返答に…


「だからだよ。オレが明日の為の1番の行動がこれなんだ、こうしないと…緊張とトラウマで押しつぶされそうだから」


俺は言葉を失った。


「と…トラウマ?」


俺は背中で未だ抱きついて震えている桜にそう聞く。桜にトラウマがある事は全然知らなかったからだ。


「…うん、説明するね」


そう言うと桜はそのまま話し始めた。

自身が結婚させられそうになった男に軽いトラウマを植え付けられた事。

そのトラウマは時間がたてば治ると診断された事。

そしてこの前一緒に寝た時もトラウマで震えてきたから迷惑だと分かりつつも一緒に寝て落ち着こうとした事。

その全てを話した。

そして、明日が1番大切な戦いがあると思ったらまたそのトラウマが湧き上がってきてどうにか落ち着かせる為にまたあの時の様に一緒に寝て欲しいと思ってしまったと桜は言った。


「ごめんね、一二三でも駄目なんだ。渉じゃ無いと落ち着かない、安心して眠れないとわかってしまったから…」


「…」


俺は桜の言葉を聞いて嫌とは言いづらくなった、寧ろ了承しないとダメな気がしてならない。


「…わかった、明日は一二三の為の料理を作るから早めに起きる。もしその時に起こしてしまっても文句言うなよ」


「…ありがとう、やっぱり渉は優しいね」


桜はそう言うと背中側で動き出し、そのまま俺の胸辺りに手を回して抱き枕の様に俺を抱きしめる。


「…スゥ…スゥ…」


その体勢になって数十秒後、桜の寝息が聞こえてきた。

その声を聞いて俺も明日は早いから寝ようと…したのだが…


「しまった、この可能性があったか」


桜が背中側とはいえ俺の胸辺りに手を回した、そして桜は俺より身長が高い。つまり何がいいたいのかと言うと…


「すごいな、人はラッキースケベに直面すると逆に冷静になるのか」


俺の首に胸が当たってる、しかも桜の可愛らしい寝息が聞こえるおまけ付き。

こんなラッキーな事は一生で一度あるか無いかだろう、もはや天文学的な数値の出来事が今現実に起こってしまった。

その為本来女性に対して免疫が薄すぎる俺でも余りの衝撃で逆に冷静になってしまった、そして最悪の事に気がついた。


「いや、桜が寝れても俺が寝れないよ」


こんな事が起きてしまったら流石に俺でも眠れない。

しかし俺自身が許可を出してしまったから今更どうすることもできないのも事実。

その為俺は取り敢えず桜の可愛らしい寝息と首辺りから感じる柔らかい感覚に変な気分にならないよう一生懸命頭の中で般若心経を唱えてそこから約1時間後に無事就寝できたのだった。

こうして、慌しかった1日が終わった。

しかし、忘れてはいけない。

各国の要人がなぜ自分から日本にきたのか?

何故テレビ局をハッキングした犯人達は俺達にコンタクトをとろうとしたのか?

色々な思惑や理想などが全て日本に集まり、その時を待っている。そんな様々な事が水面下で動く中、いよいよ、俺達『狩友』が禁層に挑む日がきたのだった。





















因みに次の日は特に寝不足はなく、メチャクチャ調子が良かった。やっぱ超スッポンを食べてよかったと思ったよ。





―――――――――――――――――――



どうも、作者です。ここまで読んでいだだき、誠にありがとうございます。

ようやくこの章も佳境に入りました…いや、本当に長くなってしまいまして申し訳ありません。

主人公達の目的や周りの思惑、次回の章の伏線とかを何とか削れる所は削って書いていたのですが、やはりと言うか前章よりも長くなってしまいました。

ですが、こうやって何とかここまでこれたことはとても嬉しく思います。

そして様々な人からの誤字や脱字などの報告や応援コメントをいただき大変感謝しております。

もしよろしければ今後も誤字や脱字などがありましたら是非教えて下さると本当に助かります。

その場合は確認次第、スグに直していきますのでよろしくお願いします。

では、こんな作品ではありますが今後ともよろしくお願いします。

…後、誰か掲示板回の書き方を伝授してください、やりたいから色々勉強しているのに上手くできません…本当にすみません…

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