第122話
『…では、ゲストの紹介が終わりましたので早速我々の取材陣が手に入れた情報を纏めた特別映像がありますのでまずはそちらからどうぞ』
そう司会者が言うと画面が切り替わり、映像が流れ始めた。
『
《その男、若くして死した弟の思いを背負い仲間達と共に進む侍なり》
若くして弟を失ったその男は一時期自暴自棄になった。
しかしその弟が残した願いを知った瞬間、男は配信者になる事を目指し出したら、
誰かに笑顔を届けたい、誰かを楽しませたい、その言葉を胸に放つ一太刀で常にモンスターに切りかかる。
ジョブ
『侍』
スキル
『常時全力攻撃』
『置楯』
その男は今日も誰かの笑顔を作る為に戦う。
《骨武者》
如月 叶 』
「…いやいや、叶のジョブとスキルを全国に教えているんだが!?」
俺はテレビに流れていた内容にめちゃくちゃ驚いた。
まだ叶の配信の切り抜きを繋いだりして一つの映像にしたり変なナレーションとかならまだ分かる。
だが何故個人情報であるジョブとスキルをナレーションで発表した?流石にヤバくないか??
「…《骨武者》って…まあ渉から渡された刀と弓が骨だから何となく分かるが…それにジョブとスキルも配信で公開していたからまだいい、だけど弟の件はどうやって調べ……あ、知っているのは渉と家族だけだからお袋辺りがゲロったかな?」
俺が混乱していると、隣にいた叶がそう呟いていた。
どうやらジョブとスキルに関しては問題ないらしい。
「…叶、死んだ弟の願いって…」ガシッ
「…叶、説明。今、私は冷静さを失おうとしている…」ガシッ
しかし、俺は叶から聞いていたので知っていたが桜と一二三は初耳だったからか叶の背中側から片手ずつで2人で両肩を掴んでそう言っていた。
しかし、叶の顔をみたが別に焦っている様子はない。
「…すまん、お袋辺りがゲロったなら説明は多分番組で詳しくしてくれるはずだ。だからもし違う所があった場合はそこを訂正する形で説明するよ。
だから今はテレビを見よう…な?」
叶が振り向かずに背中側にいる2人にそう話す。すると2人は無言ではあるが肩から手を離した。
そんな一幕があったが番組の映像は次のメンバーを映し出す。
『
《その子は生まれながらにして強者であり捕食者だった》
彼女は生まれながらにして恵まれていた。
両親にに愛され、スキルに恵まれ、ジョブにも恵まれた。
そして彼女は成長し、ダンジョンに降り立った。
圧倒的な龍人の力、規格外の身体能力、そしてモンスターをその場で食べる暴食とも取れる捕食、その全てが人々を魅了した。
そして彼女は今、仲間達と共に虎視眈々と禁層のモンスターを捕食せんと狙うのだった。
ジョブ
『格闘家』
スキル
『暴食』
『龍人化』
『食いだめ』
彼女の食欲は誰にも止められない。
《暴食龍姫》
城ケ崎 一二三 』
「…何だろう、間違っている所もあるのにかっこいいのが余計に腹がたつ」
今度の映像で発表されたのは一二三だった。
こちらも叶と同じ感じの映像が流れている、しかし一二三はこの映像に不満がある様だ。
「私は確かに恵まれいるけど、これだと私が何も苦労しないでダンジョン配信を始めたように見える。間違いだらけの本当に残念な人物紹介だった、絶対に抗議する」
そう話す一二三の声は少し怒りが混じっていた様に聞こえた。そんな一二三を「まあまあ」と桜が宥めている声も同時に聞こえてきた。
しかし、そんな事はテレビに映る番組にはわからないのでそのまま次のメンバーを映し出した。
『
《彼女は誓う、亡き次兄の夢を叶える事を》
彼女は裕福な家庭に生まれた。
そして彼女の次兄がダンジョンで死に、その後に運命に導かれたかの様に彼女は次兄の夢を知った。
『次兄の夢を叶える』、そんな思いを胸に彼女は一生無縁であっだであろう危険なダンジョンにその身を投じ、己を鍛えた。
そして今、彼女は仲間達と共にその夢に大手をかける。
ジョブ
『軽戦士』
スキル
『分身』
『武器習熟』
『筋トレ』
今は亡き次兄の大願成就の為に。
《
月神 桜 』
「…
「わ…
「
桜もまた2人と同様に映像が流れた…のだが何故か
そして俺はゆっくりと桜の方に振り向き、叶は勢いよく振り向いて桜を見て、一二三は目を輝かせて桜を見ていた。
そして当の本人はと言うと…
「…」プシュー
本人は恥ずかしいのか顔を赤くして頭から湯気を出していた。
そしてテレビはまた次の人の映像を映し出し始めた。
『
《この男の前では全ての常識は無いに等しい》
その男は生まれてすぐに母親を亡くした。
そして父親が1人で育てることになった。
その後はキチンと成長し、その男は普通の男性と同じみたいに成長する…はずだった。
その男には世界を覆すほどのアイディアを生み出す事ができた。
その男にはそのアイディアを再現できるほどの腕と探究心があった。
そしてその男はその腕を完全に使える常識を超えたスキルを持っていた。
その男は成長し、やがてダンジョンに入った。
そして経験を積み、旧歌舞伎座の特殊ダンジョンに挑んだ。
そこでダンジョンの常識を破り、我々の常識を覆し、最後には誰も到達できなかった高みに到達した。
そして今、その男は仲間を連れ更に先に挑もうとしている。
ジョブ
『不明』
『不明』
スキル
『地図』
『不明』
『不明』
『不明』
Errorスキル
『湖岸の古びた狩人の拠点』
その男に常識は通用しない。
《
佐藤 渉 』
いや、何で俺の家庭のトップシークレットを知ってるんだよ?
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