第120話
「…と言う事で、俺達は3日後の14時に禁層の攻略をする事が決定しました!」
「うん、その為次の配信は2日後の夜8時になるよ」
「…皆の者、刮目して待つべし」
渡辺さんとの会話が無事に終わり、桜達は皆一緒に配信をし出した、無論俺も参加している。内容的には3日後に禁層の攻略をする事の報告と少しの雑談の予定だ。因みに3日後になった理由はかなりぼかして『全員分の装備の最終チェックと3日で身辺整理をしつつ体調を整える為』と言う事にした。コメントも『禁層の攻略の確定日キター!!』などさまざまなコメントが流れている。
「…それでね、今日の最後にする雑談なんだけれど、実は私からある事を話し合いたいと思っていたの。だからそれを話し合ってもいい?」
「ファ!?一二三が雑談のネタを持ってくるとか初じゃね!?!?」
「珍しい…一体何を話したいの一二三?」
一二三がまさかの雑談のネタを持ってきた事に叶はオーバーリアクションで驚いた。桜も驚いてはいるが叶よりは驚いてはいなく、一二三にその話をするようにすすめた。
「うん、私このパーティを気に入っているの。だからこのパーティだけの『名前』みたいなものがあったらもっと親近感が沸くと思うんだ」
「!…なるほど、確かにそれはアリだな…」
そして一二三が話した事に俺は頷きながら肯定した。
「…確かに、専用の名前があるパーティとか考えただけでも面白いな」
「うん、『αチーム』とか『新撰組』とか名前があった方が一体感が出て良いかもね」
更に叶や桜も一二三の話を肯定した。
確かにこの世界の狩りで臨時パーティとかを組む事はあるが、固有のパーティ名を名乗って狩りをしているパーティは見た事はない。
一二三の話は中々面白い所をついてきたと感心してしまった。
「…なら、どんな名前にするの?一二三とか決めてる?」
桜は一二三にそう言うと一二三は桜の方を向く。
「………………『食の探究隊』?」
「…絶対今考えたよね、しかも微妙に自分の欲が混じってるし…」
振り向いた後しらばく無言になってから一二三は自分が考えたパーティ名を言う。
そして桜は一二三が言ったパーティ名を聞いてスグにツッコミを入れた。
「ハイハイ、俺は『ライジング・サン』とかかっこいいから良いと思うんだがどうだろう?」
次に叶が自分が考えたパーティ名を言う…が、
「いや、厨二病感半端ないって。恥ずかしいわ」
「…一応、女性もいるからその名前はちょっと恥ずかしいかな…」
「…却下、流石に無理」
「まさかの全員完全否定!?」
俺達三人は流石にその名前はヤバいと思ったのか全員で叶のパーティ名を却下した。
そして次に自分の考えた事を話したのは桜だった。
「…オレはシンプルに『迷宮組』とか考えたんだけどどうだろうか?」
「…無難だな」
「無難すぎてしっくりこないな」
「…無難」
桜が考えたのは良くも悪くもない、かなり無難な所を攻めた名前だった。
そして俺達が三人揃ってそう反応すると、桜は少し頬を膨らまして俺を見てきた。
「…なら、渉はどんな名前を考えたの?」
そして桜はそのままの表情でそう言ってくる。
確かに三人が各々自分が考えたパーティ名を発表したのに俺だけ未だ発表しないのはダメだと思った。
そして俺は頭の中を回転させて考え始める。
(『迷宮攻略団』…だめだ、イタい…『ダンジョンブレイカーズ』…一体どこの漫画のタイトルだよ…『
そして俺は頭の中で自問自答を繰り返し続けた…そして、
「…『狩友』?」
何故か『Monster Hand Live』におけるマルチプレイで遊んだ人の事を指す単語を言ってしまった。
「…『狩友』…いいね、無難かつシンプルだ」
「くっ、二文字なのに何故か安心感がある言葉で否定しづらい…」
「シンプルイズベスト、私は気に入った」
そして俺の出したパーティ名に三人はおのおの高評価な言葉を出していて、周りのドローンも俺の出したパーティ名に対してかなりの好意的なコメントが流れていた。
「なら、満場一致で渉の出した『狩友』でいいかな?」
「おう、俺は負けた感半端ないがそれでしっくりきたからいいよ」
「うん、覚えやすいし忘れにくい。最高」
俺がコメントを見ていたらそのまま俺が言った『狩友』で全員納得してしまったらしく、正式に俺達のパーティ名が『狩友』で決定してしまった。
「…なら、アレもあった方が良いよね!」
俺がパーティ名が『狩友』に決まった事に未だ頭が処理できないでいると、桜は何かを思いついたようで配信中にも関わらず(寝室)の部屋の前まで行き自分に割り振られた部屋に入っていった。
そして部屋に入ってから数十秒後、小脇に何かを抱えて部屋から出てきた。
「お待たせ、実はせっかくパーティの名前が決まったんだから何かシンボルみたいなものが欲しいって思ってさ」
そう言いながら桜はこちらに歩いてくる。そしてある程度歩いたら今度は自分達だけではなく配信しているドローンにも映るように自分が持ってきた物を広げて見せてきた。
「…それって確か桜が開けた宝箱に入っていた
…」
「うん、そうだよ。オレの宝箱からでた謎の国旗さ。…それでさ、もしよかったらコレを俺達のシンボルに使えないかな?」
俺がなんとか頭の中を一回まっさらにして桜が持ってきた物をみてそう答えた。
そこには布の端は金色の糸で綺麗な額縁のような感じの装飾がしてあるが布全体は真っ白、そして旗の真ん中に大きく赤い六角形が書かれていてその六角形の中をくり抜いたみたいな感じで羽ばたこうと羽を広げている鳥が白色で表現された国旗サイズの旗だった。
俺がそれを見て反応すると、桜は少し笑顔になりながらこれを俺達のシンボルにしたらどうかと言ってきた。
…確かにデザイン的には簡単でシンボルにもしやすそうに見える。
「へー…いいじゃん、なんか太陽を背に鳥が羽ばたこうとしているのが結構好きなデザインだわ」
「うん、シンプルでわかりやすい。私の趣味的にも是非採用したい」
俺が旗をマジマジと見ていたら叶と一二三の声が俺の後ろから聞こえてきた。
振り向くと叶と一二三もしっかりと桜の旗を見ていた。
そして2人ともかなりの高評価を出している、ならば採用しない理由はないと俺は考えた。
「…俺も賛成だ。防具にシンボルをつける場合でもシンプルだからつけやすいし何よりシンプルながらも結構俺の趣味に合う。是非採用したいな」
俺がそう言うと、桜は更に笑顔になる。
「それじゃ、私達『狩友』のシンボルはこれに決定って事で大丈夫だね?」
「「「意義なし」」」
桜の問いに俺達三人は声を揃えて答えた。そしてその様子を撮影していたドローンも『『狩友』結成おめでとう!』などを祝福コメントで溢れ返っていたのだった。
後日談にはなるのだが、今から数年後には追加で4人のメンバーが『狩友』のメンバーとなる。
更にその数年後には『狩友』は世界初の国際ダンジョン攻略パーティとして全世界に認知される事になる。
そしてこの時の三人の配信は後に《『狩友』結成記念配信》として伝説になるのだがそれはまた別のお話で語る事にする。
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