第106話

ズチャッブチッグチャッ…


「お?…やばいな、このカエルみたいなモンスター。皮がゴムみたいに伸縮するだけじゃなく保温性と通気性が両立してるとか神かよ」


俺は今、(解体場 分解 資材管理)の部屋で一二三が狩ってきたモンスターを解体していた。

一二三が狩ってきたモンスターは今解体している子牛くらいのサイズで体色が黒一色のカエルみたいなモンスター以外にも頭が2つある羊みたいなモンスター、腕が4本ある熊みたいなモンスター、青いツナギを着ているみたいな模様が特徴のゴリラっぽいモンスターなど様々だ。ぶっちゃけ食えるのかも怪しい物もちらほら混じっている、特にゴリラっぽいモンスターの事だが。

そして解体している理由は食料調達もあるが、今回は一二三の防具の材料を手に入れる為でもあるのだ。


「さて、一二三の要望は『動きやすい服』『尻尾などを出しても大丈夫な服』だな…」 


そして俺はそう呟きながら今から作る装備について考え始めた。

『動きやすい服』はつまり服に無駄な装飾品がついておらず、なおかつ動くのに邪魔になるぶぶんがないほうがいいと言う事、『尻尾などを出しても大丈夫な服』は一二三のスキルである『龍人化』を使っても破れない位の耐久度で尻尾や角をだしても様になる服という事になる。


「いや、注文がめちゃくちゃだよ。一体どうすれば…」


俺はそう呟きながら次々とモンスターを解体していく、ぶっちゃけ要件の二つを両立して尚且つ耐久度があり一二三の戦闘スタイルに合う装備が思いつかない。


「どうしようか…な…」


そして俺がカエルみたいなモンスターを解体し終わり、モンスターの素材であるゴムみたいな皮に触った時だった、


『そうだよ、依頼のお手伝いは一回する事にドーナツ一つだよ!…あ、そうだ。ニーナね、ドーナツはチョコの奴がいいな。一緒に半分こして食べようよ♪きっと美味しいよ!』


「!?」


『とあるゲームのキャラクター』を思い浮かべたのは。


「『ニーナ・シュバリエル』…確かあのキャラも近接戦闘重視でめちゃくちゃ動きまくってたよな…」


ニーナ・シュバリエルは俺の持っている三冊のゲーム本の内の『テラフォーマー』に出てくるキャラクターだ、そして全世界統計で人気キャラランキングで常に3位にランクインしているキャラクターでもある。

そしてそのキャラクターの戦闘スタイルは近接戦闘重視だ、その為装備も運動性を考えた物なのもかなり一二三の要望に近い…と言うかズバリそのものだ。


「はは…マジかよ…、まさか『メインキャラクター固有デザインの装備一式』を最初に着るのが一二三になるとはな…」


正直、かなり羨ましい。俺だってゲームの中のモブキャラも着ている装備じゃなく、メインキャラが着ていた固有デザインの装備一式を着たかった。


「…予定変更だ、一二三の装備を作った後に俺も禁層に到着するまでに『お気に入りのあのキャラクターの装備一式』を作ろう。武器も含めて全部だ」


俺はそう言うと更に勢いをましてモンスターの死体の山からカエルみたいなモンスターを引っ張り出して解体していく。

別に一二三が羨ましいから自分もとか思ってないよ、ホントダヨ…




〜〜 お昼頃 〜〜 



「…んで叶さんや、コレはどうゆう状況?」


「いやな、食料調達していた最中にな、一二三がいきなり『お鍋にすると美味しいの発見!』とか言って大量にいたそのモンスターを狩ってな。取り敢えず拠点の中庭に山の様に積んどいた」


「いや、このモンスターはそんな扱いしちゃまずい奴だろ…『俺でも知ってる超高級食材』だぞ…」


お昼の時間になったので俺は帰ってくるであろう叶達に昼飯を食べさせるべく中庭に出てきた。しかし帰ってきていた叶達と泥だらけの一二三、そして中庭に乱雑に置かれて山みたいになっている大量のスッポンの様なモンスターとその他の食材を見て頭を抱えていた。

このスッポンみたいなモンスターは「超スッポン」と言って大きさは大体ゴールデンレトリバー位のサイズで目が4つあるのが特徴のまんまスッポンを大きくしましたみたいなモンスターだ。

しかし、このモンスターは普段泥沼の底にいるし、本体も滅多に動かないから中々見つけられない。だがそのモンスターの肉や血にはスッポンに含まれる様々な旨みが凝縮されているらしくかなりの人気がある。その為超高級食材として位置付けられていて滅多に市場にも出回る事はなく、出回ったとしても最低1匹4500万くらいの価値がある。

そのモンスターが目視できる数だけでもゆうに30匹くらいはいる、そんな光景を見て頭を抱えてしまうのは無理はないと思う。


「…だから、一二三は泥だらけだったんかい」


「まあな、結構張り切ってたぜ」


俺の呟きに叶が反応する。

今、この場には俺と叶しかいない、一二三と桜は風呂に入っているからだ。

理由はこのモンスターを狩る為に一二三が泥沼にダイブして、案の定泥だらけになって帰ってきたからだ。

そんな状態では昼飯は出せないと判断した俺は作りたての一二三の装備を桜に渡して一緒に風呂に入ってくる様に言ったのだ。


「…取り敢えず、今は悩んでいても始まらない。今優先する事は中庭を片付けて、二人が風呂から上がってくるまでに昼飯を作る事だな。叶、ちょい手伝ってくれ」


「すまん、3人分のドローンに充電コードを刺してからでもいい?」


「問題ない、それが終わってからでお願いするよ」


俺は叶とそう話してお互い別々の行動を始めた。


〜〜 しばらくして 〜〜



「ねえ、渉はああゆうのが趣味なの?オレもあんな装備をつければ渉は嬉しい?…ねえ、聞いてる?」


「 」


昼飯の準備をしていた俺に風呂から上がってきて目に光がない桜が開口一番そう言いながら詰め寄ってきて、叶は一緒に風呂から上がってきた一二三を見て口を開けながらその場でフリーズしていた。

まあ、無理もないか…










「うん、この装備はいい。渉、ありがとう」


一二三が今着ている装備は体のラインがハッキリと分かる上下一体の黒色のライダースーツに上着として膝まで丈があり様々な所にチャックがついた猫耳パーカーだけ着て軍用靴を履いた姿だからだ。

そしてその装備こそ『テラフォーマー』にでてくるキャラであり主人公の3人のヒロインの内の一人でもある『ニーナ・シュバリエル(10歳)』の専用装備なのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜 



どうも、作者です。しばらく更新がおくれてしまい申し訳ありませんでした。

一二三の装備案がなかなか決まらなくて、気づいたら数日が経過してました。本当に申し訳ありませんでした。

これからも頑張って書いていきますのでどうかよろしくお願いします

因みに一二三の新しい装備のデザインのイメージは某ゲームに出てくる私の推しウマです。でも、こんな装備の方がいいと言っていただければまた考えさせてもらいます。

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