第100話
今までErrorスキルの存在は一部の人しか知らない都市伝説レベルの存在だった。
ネットの掲示板にもごく稀にこの事について話し合うスレが立つが知名度が無さすぎてすぐに過疎ってしまう。
元々Errorスキルの存在を最初に発見したのは中国で、次に発見報告が上がったのはアフリカだ。しかし双方の発見したスキルの情報は限りなくすくない、初めて発見された中国のErrorスキルは『相手に触れたら男女関係ないどころか種族も関係なく好意を持たれるスキル』以外わかっておらず、それ以外の情報は完全に無い。
アフリカにいたってはどういうスキルなのかもわからない状態だ。
故に、ネットでもErrorスキルの存在は完全にウソであるとひどい扱いで一部の研究者以外誰も存在を知らないスキルだった。
しかし、今回俺がそのErrorスキルをまさかの生配信で存在を確定させた。
それは世界にかなりの衝撃を与えてしまった。
〈お兄ちゃんのErrorスキルは戦闘以外何でもできる拠点を自由に出すスキル、そんなスキルを見せられてその手の人達が黙っている訳は無かったんです〉
「やっぱり、リスクはデカかったな…後、お兄ちゃんはやめてくださいお願いします」
優香さんの話に俺はツッコミながら答える。
スキルの研究者達にとってErrorスキルは喉から手が出るほど欲しい研究対象だ。
Errorスキル自体存在があやふやだったのに、生配信でぽっと生きたErrorスキルの所有者が出てきたのだ。そりゃあお祭り騒ぎにもなるだろう。
しかもErrorスキルの内容が『どれだけ荷物があっても収納できて、衣食住だけではなく装備や消耗品の作れ、ダンジョンでも動く殺傷能力がある機械をも作れるし管理できる施設がある拠点を空間ごと出す』というものであれば研究者以外も反応する。
ダンジョンできつい点は主に三つだ。
一つ目は『荷物が限定される事』。
たとえどれだけ強い人がいてもその人にだって持てる荷物は限られる。故に複数体狩った同じモンスターやね中から吟味して一体だけ解体して残りは捨てていくのもザラだ。
2つ目は『武器や防具が不意に壊れてしまう事』。
モンスターだって生きる為に反撃してくる、そうすれば少なからず装備の消耗らや消耗品を使い、どんどん疲弊してしまうだろう。しかし補充などは一回ダンジョンからでなければできない、そうなるとまたダンジョンから入って来た場所から移動しなければならないからどうしても二度手間になってしまう。
最後に三つ目は『衣食住の管理が難しい』。
モンスターを狩るにあたってダンジョンに連泊する事になる場合もある。
しかし、その際はテントや替えの装備や消耗品、食べ物や飲み水などを用意しなければならないからどうしても荷物が重くなってしまい自分の行動にかなりの制限をかけてしまう。しかも荷物の重量を考えると食料も軽くしないといけないから主に携帯食料や塩辛いジャーキーやら干し肉になってしまう、無論風呂なんてないしキャンプの道具によっては眠りにくいなんてよくある話だ。故に次の日のやる気も指揮も上がりにくいとはよく聞く。
この三つが主な問題だ。
しかし、今回俺のErrorスキルはその全てを解決してしまうほどの強さを持ったスキルだった。
倒したモンスターは触るだけで収納できるから重量や状態を気にせずに何体でも狩れる、装備だって拠点に入れば交換できるし消耗品も補充できる。
連泊予定なら事前に食料などの生活必需品は事前に拠点に入れれ場合OKだし、拠点には銭湯やキッチン、寝室もある。暖かい食事や暖かい寝床、更には風呂まで入れるのでやる気や指揮指揮なんで下がるどころか上げ放題だ。
まさに夢のようなスキルだ、そしてそんなスキルの存在を他の国や研究者達が放っておくはずはなかった。
〈今は日本政府が国連に連絡して対処をしてもらったり、自分達で何とか対応したりとかして騒動を収めてはいるようですが、しばらくこの騒動は収まることはないってニュースで言っていました。
だから今急いで私の家の庭にあった離れをお兄ちゃん用に改造していたんです。今はお兄ちゃんを守る為に鉄格子付きの窓や鍵が複数個ついた対爆性の高い鉄扉を付けている最中でした。
家族であるお兄ちゃんを騒動が収まるまで私の手で守る為に〉
「いや、ありがたいが怖すぎるから。冷や汗が止まらないんだが!?」
〈大丈夫デス、一生オ世話シマスカラ…〉
「また目から光が消えた、怖すぎる!」
「大丈夫、そうなったらオレが渉を守るよ…絶対に…ね…」ボソッ
「こっちは覚悟が重い!?」
俺は画面に映る目に光が消えた優香さんと耳元で囁くようにそう言ってくる桜に対してそう俺は言った。
正直この2人は普通の女性とはかけ離れた存在なのかもしれない…他に付き合った女性とかいないから比較対象が無いのでハッキリとは言えないが。
「あ、因みにキミのお父さんは今日から三週間くらい本社に泊まりで研究する予定のはずだったからそこは安心してもいいよ」
「…マジ?そんな話を俺は聞いていないんだが?」
「今日家から出る前に兄さんと父さんが話していたから間違いないよ」
そして、桜が不意にそんな話を俺にしてきた。マジで知らない話だったから面食らったが、正直会社の事は桜の方が詳しいのでそうなんだとしか反応できなかった。
〈…まあ、私が話したかった事は全部話したのでまた何か動きがあれば電話しますね。では私は離れの要塞化をしなければならないのでこれで、おやすみなさいお兄ちゃん〉
『ギュイィイイ…』
「いや、それはおか…
『…プツ…プップップッ…』
電話を切るの早!?」
そして優香さんが話したい事を話し終えたのか、電動インパクトレンチを動かしながらかなり物騒な事を言って電話を切ってしまった。
(…やばい、今後優香さんに会う時は拉致されないように気を付けなければ…!?)
そして俺は優香さんが今やっているであろう作業に怯えながら優香さんに拉致監禁されないように気をつけるのと、今後の身の回りの警戒を怠らないようにしようと心に誓ったのだった。
さもないと何処かの国に拉致監禁されかねないしね。
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