第98話

〜〜 (寝室) 渉の部屋 〜〜


「…ふう、やっと1人になった」


俺は(寝室)の部屋にある俺の部屋に入り、後ろを見ずにドアを閉めた。

(寝室)の扉はドアノブの上にダイアルがあり、それぞれ1〜9の数字が彫られている、そしてそのダイアルを回すと各部屋に繋がるわけだが、この部屋には四つのルールがある。

まず一つめは1人一部屋しか割り振られない。これは俺が俺の部屋として割り振られている1の部屋以外にダイアルを合わせてもドアノブが回らなかったので間違いない。

二つ目は原則、他人の部屋には無断では入れない。これはさっき叶が2の部屋に入って俺がドアノブを回そうとしても回らなかったが、ドアを叩いたら内側から叶がドアを開けたから発覚した事だ。

三つ目はこの部屋に備え付けられている備品や設備は持ち出し不可、これは俺が試してみたら部屋を出た時点で消えて、部屋に戻ったら持ち出した物が元の場所に戻っていた。

最後に四つ目、部屋の内装は部屋を割り振られてた人が一番落ち着ける空間になると言う事、

俺の場合は自宅の自室で、叶はビジホみたいな内装になっていた。しかもこの空間なら何故か家電やパソコンなどが使える、つまりこの空間には電気を無尽蔵に生み出す力があり無論スマホなども充電できる。

この四つのルールがある。

なお、各自の部屋割りは


1の部屋 俺 内装『自宅の自室』


2の部屋 叶 内装『ビジネスホテル風』


3の部屋 一二三 内装『ぬいぐるみがたくさんありダブルサイズのベッドがある空間』


4の部屋 桜 内装『???』


となっている。因みに桜の部屋の内装がわからないのは単純に見ていないからだ。桜の前に俺が部屋に入ったから確認できていないだけである。


「…うし、ならば…」


俺はそう言いながら寝衣のズボンのポケットからスマホを取り出し、画面を付ける。すると画面には…




『着信 99+件 大神優香』


『留守電 99+件 大神優香』


『メッセージ 99+件 大神優香』



「いや、怖!一種のホラーだろこれは!?」


俺はそう言いながら画面をスクショする。

そう、俺が1人になりたかった理由はこれだ。


「ハァ…マジで優香さん、怒ってんな」


俺と同じErrorスキルを持っている優香さんが今回俺がしたErrorスキルの公開事件を感ずいてはいると思っていた。

Errorスキルはめちゃくちゃレアなスキルだ、ぶっちゃけ公開するだけで俺がどうなるか想像つかないレベルの騒動が起こると思う。

そして少なからず同じスキルを持っている優香さんにも迷惑をかけるとは考えてはいた。

だが、この画面を見るにコレはかなり怒っていると思う、恐らくだが予想を超える迷惑をかけてしまいかなり怒っているのだろう。

でなければこんなに怖い画面ができる訳がない。


「ハハハ、これはどうしよう…


「なら、オレと一緒にその子と話せばいいんじゃない?」


…へ?」


俺がそう言いながらどうするか考えようとしたその時、絶対にありえない声が俺の背後から聞こえた。そしてその声が聞こえて俺が一瞬止まった瞬間…


「えい」


ドンッ


「ファ!?」


ボブゥッ


俺はいきなり背中を押されてベッドにうつ伏せのような体勢で倒れる、そして倒れた俺の背中に…


「っんしょ」


ムニッ


「ニャ!?」


暖かい何かが乗り、俺の肩部分に柔らかい何かが当たっている。

つまり…


「さ…桜!?」


「ふふふ。オレ、あの時言ったよね?『また後でやるから』ってさ」ボソッ


俺の背中に重なるようにして乗っている桜が俺の耳元で囁くようにそう言う。

俺は耳から今まで感じだ事のない感覚と少しだが彼女から香ってくる甘い匂いに頭がどうにかなりそうだったが、俺は何とか食い縛る。


「さ…桜、一体どうやって俺の部屋に!?」


「ああ、君が入って扉が閉まる前にオレも入っただけだよ。不注意だったね?」


俺が何とか桜に質問すると、まさかの答えが返ってきた。

しかし、今に思うと桜は一二三の部屋に一二三を届けた。つまり同時に扉に入る、もしくは入った後に扉が閉まる前に部屋に入れば無事に入れると今になって気がついた。

そして俺がまさかの裏技に驚いていると、桜が手を伸ばして俺が押し倒された際に手から離れた俺のスマホを手に取る。


「…『大神優香』…誰、この子?」


そして、声だけで分かるくらい冷たい態度で俺に優香さんの事を聞いてきた。

俺も優香さんの相手をしていたから分かるが、これはキチンと言わないとヤバい奴だ。



「…いや、その人はま…


『〜♪』


…は?」


そして俺が優香さんの説明をしようとした瞬間、俺の頭の上から聞き慣れた音楽が聞こえてきた。


(確か、風呂に入ったときにマナーモードを切ってたんだよな…まさか!?)


そして俺はスマホのマナーモードを風呂に入った時に切っていたのを思い出した。そして俺は最悪の状況が頭に浮かんだ。


「…丁度いいや」


そう桜が言うとそのまま自分の頭を俺の頭の上にのせて鏡餅みたいな状態になった。そして下の段になっている俺にスマホの画面を見せてくる。


「直接聞く事にするよ。一緒に聞けば手前も省けるし」


そう桜が言うが俺は内心焦りまくっていた。だってスマホの画面には…


『着信 大神優香』


想像していた最悪の状況が現実になった事を表していた。

そして桜はそのままテレビ電話に切り替えて電話に出る。

そしてそのまま桜はスピーカーをオンにして少したつと…


















〈…ドウイウ状況デスカ、オ兄チャン?〉


『ギュイイイィィイイ…』



目にハイライトが無い、無表情の優香さんが電動インパクトレンチを片手に持ち、回しながらこちらを見ている画面が映し出された。

…ヒェ!?









〜〜〜〜〜〜〜〜


どうも、作者です。ここまで読んでいただきありがとうございます。

そして最近更新が遅れてしまいすみません。

実はこれからの話をまとめていたスマホが事故で水没してデータが飛びまして、かなり復旧作業が遅れてしまいました。

ですので、本日は今までのお詫びをかねて後2話くらい投稿予定ですので許してください。

そしてたくさんの応援や★、コメントやブックマークありがとうございます。

そして誤字や脱字がある場合は、報告してもらえました助かります。その場合はすぐに修正させてもらいます。

これからも頑張っていきますので楽しみに待っていてください。

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