第91話

どうも、作者です。

お待たせしました。無事に風邪が治りました。

本当に迷惑をかけてすみません、これからも頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。

それでは、本編をどうぞ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








〜〜 スカイツリー展望デッキ内ダンジョン 浅層 16時40分 〜〜




ドドドド…


「…何とかついたな…」


「おう、もう矢の在庫がなくなりかけてたからマジで助かったよ…」


「はは、でもキチンとついて良かったじゃん」


俺たちは目的地である次の階層に行く為のポータルの前でアイドリングしながら会話していた。

あの後、何とかモンスターの大群を倒しながら爆走し続けること数時間、ようやく目的地に到着した。


「…すまん、拠点を展開してエイセンの燃料と叶の矢の補充をしたいから少しの間だけ時間をもらっても良いか?」


「ああ、オレは良いけど…叶さんは大丈夫です?」


「おう、ぶっちゃけ弓を使いすぎで腕が疲れてたんだ。配信のコメントを返しながら休憩するよ」


俺の提案に2人とも了承してくれた為、俺は急いでエイセンのエンジンを切ってから降りて、その場で足踏みする。

すると目の前に霧が出現し、徐々に俺の拠点が姿を表した。


「…やっぱ、そのスキルはチートだよな」


「そうだね、衣食住だけではなく装備や乗り物の製作や物資や素材を無限に収納できて、しかもどこでも拠点を出せるとか凄すぎるよね…」


俺が拠点を展開すると、叶達がエイセンからおりてそんな話をしていた。


「二人とも聞こえてるから言うが、拠点にも色々制限があるからな。例えばダンジョン内だとポータルか帰還用ポータルでしか拠点を展開できないとかあるぞ?

2人が言うほどチートか?」


「いや、チートだろ。プラスマイナスゼロ所かプラスすぎんのよ」


「『兵站』『衣食住』『道具製作』ができる時点でもはや言い訳できないよ」


俺の言葉に叶が反論して、桜が頭に手を置きながら理由を言う。

…確かに今の狩りゲーは拠点で装備や消耗品を補充できるが、昔の狩りゲーは拠点に帰っても支給品を受け取ったりやクエストに要求された物を納品したり寝て体力を回復したりする事しかできなかった。

そう考えると確かにこのスキルはチートと言えるかもしれない。


「…確かに、言われてみればそうもな…」


「お前は普段かそのスキルを使ってるっぽいから気が付かなかったんだよ」


俺が頷きなから考えていると、叶がそう言いながら自分のドローンに指を挿す。

そのドローンにセットされているスマホには叶達のセリフを肯定するコメントがかなり流れている。


(…薄々思ってたけど、もしかして俺の感覚が少しずれてるのかな…)


俺はそう思いながらエイセンの運転席に戻り、エイセンを拠点に向かって進み始めた。

そしてバックミラーを確認すると叶と桜はその場に座り、ドローンに向かって何か話しているのを俺は見届けると更に加速して拠点の中庭に向かって走っていったのだった。



~~ しばらくして ~~



ギュラギュラギュラ…


キッ


「すまん、待たせた」


「おう、40分位か?」


「そうだね、大体その位だと思うよ」


俺が拠点から戻ってくると、叶達が俺の言葉に返答しながらそれぞれの位置に座っていく。


「…てか、自動で拠点は消えるんだな…」


「ああ、便利だろ?」


「もう、反応するのに疲れたわ。マジで」


そして荷台に座った叶がそう言ったので反応すると、叶がそう言った後に荷台から俺の方に向き直った。そして桜も俺の後ろの座席に座るのを確認すると、俺はエイセンをポータルの方に向かって前進させた。


「…次は中層だが、覚悟はいいな?」


俺が前進させながらそう言うと、


「おう、問題ないぞ!」


「うん、さっきの休憩中にオレの目標は視聴者に伝えたから引き返すなんて選択肢は無いよ」


2人の顔は見えないが、はっきりと気合が入っている声が聞こえた。俺はその声が聞こえると口角を上げてそのままポータルに入る。

そして俺達をいつもの浮遊感が襲った。




~~ スカイツリー展望デッキ内ダンジョン 中層 ~~




ザザーンッ



波の音が聞こえる。俺は急いで目を開けると最初に入ったのは樹海みたいな木やツタが密集している陸地に砂浜、そして…


「…アツ!気が付いたら海に砂浜かよ!?」


「…情報通り、中層は『ジャングル』なんだね」


後ろには海だ。

そう、この階層の特徴はジャングル。島の内陸部は大きい川と森林が大半で、そして島の周囲は大半が砂浜でできている階層だ。

そしてモンスターも魚型や狼型など幅広く、かなりモンスターの種類がいるのが特徴だ。


「とりあえず。予定通りこのま…


「おいまて」


…どうし…!?」


俺がエイセンを動かそうとしたら、何故か叶がそれを止めた。

そして俺がその言葉に返答しようとしたが…


…ズンッ…ズンッ…


目の前の木が密集している場所からこちらに向かってくる謎の足音に気が付いた。

そして俺達は急いでエイセンから降りて武器を構える。


ズンッズンッズンッズンッ…


そしてどんどん近づいてくる音に、俺は急いでポーチから燃料が入ったシールドケースを取り出して、スコップの持ち手を反時計回りに捻りながら引き、燃料を穴に入れて準備をする。


「…来るよ!」


そして燃料が全部入り、シールドケースを外してポーチに戻したその時に武器を構えた桜がそう叫んだ。

そして現れたのは…


『ガアアアア!?』


おでこに一角のような角が生えたティラノサウルスの頭だった。

…しかし、様子がおかしかった。


「…おい、なんか焦ってない?」


「…だな」


叶の言葉に俺が答える。

そう、何か焦っているように見えたのだ。まるで『圧倒的な捕食者から逃げている』ような、そんな感じに見えて仕方がない。そしてモンスターがその全身を俺達に見せたその時、


「…うそーん」


「マジか!?」


「えぇ…」


俺は目の前の光景に文句を言い、叶は目を輝かせながら驚き、桜は絶句していた。何故なら…














『ガアアアァァアァアアアア!?』


「…だべずばい(食べずらい)」モグモグ


白髪で青い目のチャイナドレスを着た女性がそのモンスターの尻尾にしがみつきながら尻尾からモンスターを踊り食いをしていたのだから。








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