第90話
『ラン・マッド・チキン』はこのダンジョンで数少ない、人を見ても襲わないモンスターでもありこのダンジョンの浅層における生態系の頂点に君臨するダチョウと鶏を合体したようなイカれた姿をしたモンスターだ。
このモンスターは基本自分からは他の生き物を襲わない、しかしある2つの例外を起こした物に対しては本気で殺しにくるモンスターだ。
一つ目は自分に危害を加えた奴、コレは自己防衛のため納得できる。しかし、2つ目はかなり理不尽だ。それは…
ギュラギュラギュラギュラ…
ビュッ
『コケ!?』
グサッ
「くそ、何羽も頭に矢を撃ち込んで倒しているに全然戦意喪失しない!?」
『コ!』
「仕方ないよ、コイツらは『一瞬でも早く動いた物は捕食対象にする習性』があるんだから!」
ザクッ
「ゴゲ!?」
荷台にて何匹もモンスターの頭に矢を撃ち込んでいた叶の悲鳴にも似た叫びに桜は隣接してきた個体が攻撃してきた為、槍で応戦しながらこたえていた。
そう、二つ目の例外は『素早く動く物を捕食対象にする』だ。
このモンスターは何故か素早く動く物を何でも捕食対象としてとらえ、全力で捕食しにくる習性がある。
そしてこのモンスターは一度例外を起こした対象がいればその体躯から想像できない速度で追ってくる。
もちろんその速度はかなり早く、しかもスタミナもかなりある。事実、後ろにいるモンスター達は30分くらい追いかけてきているし、むしろ俺達に隣接して攻撃できるくらいの力も残してる。
そして、こいつらは一度走り出したら目的を果たすかポータルの効果範囲に入るかしないと止まらない。岩があろうが断崖絶壁であろうが構わず突っ込んで自滅するイカレモンスターだ
何より一番ヤバいのは…
『コケーーー!…ガッ!?』
「チィ!」
俺はいきなり後ろから俺達を追い抜いてきたモンスターの個体が、追い抜かれた直前に口から血を吐いてこちらに倒れてきたので急いで回避して避けた。
そう、こいつらが一番ヤバいのが自分の出す速度に本当の意味で心臓を犠牲にしている所だ。
こいつらは見た目こそ鶏っぽいが脳みそはダチョウと変わらない、故にマジで自分の限界が理解できないから本気以上で加速できる。
しかしそれをすると心臓が耐えられなくなり文字道り心臓が潰れてしまうのだ。
しかし、それでも彼らは速く走るのをやめない、その理由は簡単だっだ。
俺がノートを見せてもらった際に、走行中に注意するべきモンスターを事前に調べたんだが、どうやら海外の学者がこのモンスターを研究した結果、このモンスターは走ることに強烈な快感を感じているらしい。
そしてそれは速く走れば走るほど強く、長く走れば走るほど継続的に感じて更にその快感を求めるらしい。
つまりこいつらは捕食と快感を得るためにマジで命がけで俺達を追ってくるスピード狂だ、本当に厄介な事この上ない。
(しかも、こいつらが付いてくるという事は他にこのダンジョンに入っている人にトレイン行為をしてしまう可能性がある。
『鷹の目』で人がいないか注意しながらモンスターを避けるのはかなりきついんだよな…)
俺はそう思いながら運転する。
今のところは『鷹の目』で周囲を見て人が居ない道を選んで進み、『地図』のスキルで覚えた地形に照らし合わせて目的地であるポータルに向かって走っている。
故に今一番気にする事はトレイン行為、つまり今追ってくるモンスターが他の人を襲わないように注意しながら走らなければならない事だ。
これはかなり神経を使うが、俺達に接敵してきて攻撃してくる個体や俺達より早く走ってその場で死ぬ個体に対処しながら周りを見ながら走るのはかなり神経を使う。
だが、俺達が起こしたこの状況で人が死ぬ事になる事だけは起こしはいけない、故に俺は頑張ってい…いや、
ビュッ
『コ!?』
グサッ
「うし、これで追ってきている奴はあと5羽!」
「こっちもこいつで最後だ!」
ザクッ
「ゲ!?」
俺だけではない、叶も桜も頑張っている。バックミラー越しで確認したが追ってきているモンスターがかなり減っている、恐らく叶が弓で数を減らしたのだろう。
そして乗り物のダメージが少ないのも桜が俺の後ろで頑張って守ってくれたからだ。
俺だけではない、俺達全員がこの状況に必死になって頑張っている。
ならば俺がするべきことは一つだけだ。
「叶、桜。後75km位で目的地だ、耐えられるか?」
「おうよ、矢もまだまだあるから耐えて見せるぜ!」
「うん、オレも頑張って戦うから渉も頑張って!」
俺が運転しながらそう言うと、後ろにいる桜や荷台にいる叶からかなり頼りになる返答が返ってきた。
そして、俺はそれを聞くと更に集中しながら運転する。
絶対に桜達と生きて帰る、コレを深く心に刻みながら。
~~~~~~~~~~~~
どうも、作者です。
この場をお借りして皆さんに報告があります、現在俺は季節の寒暖差が原因で風邪をひいてしまいました。
それゆえに治るまで更新とコメントの返答が少し遅れてしまいます。
ご迷惑をかけて誠に申し訳ありませんが体調を直し次第頑張って更新していきますので少し待っていてください。
そして数多くの応援やコメント、★やレビューをいただき誠にありがとうございます。これからも頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます