第82話
~~ 8月 3日 AM10時 東京スカイツリー 展望デッキ side 月神 桜 ~~
「やあ、皆おはよう。昨日の復帰配信ぶりだね、オレの配信を始めるよ!」
~~~~~~~
:キターーーーーー!
:月神!待ってたぞ!!
:朝早くて草w
:お姉さま、おはようございます!!
~~~~~~~
イベント終わりだったためか、今日はかなりの人がいる。
そんな東京スカイツリーの展望デッキでオレがドローンを起動して配信を開始した。コメントの反応は嬉しい事にみんな楽しみにしていたようだ。
そして今のオレは今までの装備とは違い渉に作ってもらった装備を着用している為皆装備について結構好印象な反応をしてくれている。
確かこの装備は『暁の執事の戦闘服』と言う執事服に近いデザインの服で非常に動きやすいのにかなり堅い。
何せ元々持っていた剣で切ってみたら剣が折れてしまった、あの剣は中層のモンスターの素材で作られている剣だったので防御力は深層でも通じると思う。そしてその装備を着て腰に彼と同じデザインでポーチが複数付いているベルトを装備して2本の短槍を背中にマウントしている。
この2本の短槍も彼に作って貰った武器で2本とも笹穂槍で作られているが、持った感じは全く長さも気にならなかった。確かこの槍の名前が『影の双牙』と言う名前らしい。
(全く、これを最初に使った時にまさかあんな感じになるなんて彼の頭はどうなっているんだか…)
オレがリスナー達とコメント越しに話しながらそう考える、彼からコレを受け取り最初に使った時はまさかこんな武器になるとは思わなかった。本当に彼の頭の中はどうなっているのだろうか、興味が尽きない。
しかし、今はコラボ相手を紹介しなければならない。ならこの事はまた今度考えればいいと思う。
「…では、今朝SNSで告知したサプライズのコラボ相手を紹介するよ。この人だ」
「どうも、如月chの如月 叶です。よろしくねー」
~~~~~~~
:コラボ相手のご登場だ!
:如月ch…あ、見つけた。登録者数750人の新人さんか!
:なんか親しみやすくて草はえるw
:そんな…お姉さまが女性以外とコラボを!?
~~~~~~~
コメントも反応がまちまちだ。オレも調べたが如月叶は現在登録者750人の新人ダンジョン配信者だ。
しかしジョブが『侍』でビックボアを一刀両断して倒す戦い方が渋いと徐々に人気が集まり、更にトークスキルもある為キッカケさえあれば確実に人気が出るタイプだと思う。
そんな彼は兜のない甲冑を着ていて刀を一本と背中に2つに折りたたまれた薙刀を背負っている。そして彼の背後のも私と同じドローンが浮きながら撮影している。
「…あれ、そう言えば彼は?」
オレはそう言うと叶さんが顔を曇らして首を横に振った。
「ああ、なんかゲートでギルド職員さんと何か話してたよ。なんか装備がどうとか言ってた気がする」
叶さんがそう言うとコメントでも『まさかの2人目のサプライズ相手が止められていて遅刻w』とか色々と流れてしまっている。恐らく渉の事だから持ってきた装備は大丈夫のハズ…という事は別件だろうと推測したその時、
「あー、月神chの月神さんだ!」
そんな声にオレと叶さんが振り向くと、オレ達に全身フルプレートの人を2人連れてドローンで撮影しながら近づいてくるゴスロリ風の装備にモーニングスターを装備したツインテールの女性がいた。
「君は…」
「どうも、撲殺系美少女配信者の『山野 ツバキ』です。配信者でツバキchをやっているんですよ!」
~~~~~~~
:げ!?『フレンドリーファイヤー』さんだ!
:まじかよ…ツバキchは変態達の巣窟で有名だぞ
:ヤバい奴らの人気が高いせいで登録者数が780万人のもいる本人もヤバい危険人物じゃん!
:ヤバい奴らに目を付けられてて草生えない
~~~~~~~
流れているコメントを見る限りこのツバキさんとやらはかなりヤバい人みたいだ。
「おいおい、よく視聴者参加型ダンジョン配信をして問答無用で参加した人ごとモンスターにモーニングスターをぶつける通称「フレンドリーファイヤー」さんかよ。冗談きついぜ…」
「貴様!姫の悪口はや…
「はい、黙っててね♪」
ありがとうございます!」
叶さんが彼女の説明を軽くしながら頭を抱えると、その行為に片方の全身フルプレートの人が何かを言おうとした。
しかし、その声はツバキさんの右脇下の関節部分で守られていない所に全力の手刀を叩きこまれて中断され、何故かお礼を言っていた。
なるほど、つまり両脇のフルプレートの人達は彼女のリスナーで今回の配信にきたヤバい人達なのだという事だ。
「…それで、君はオレ達に何か用事があるのかな?」
私はそう言うと彼女は手刀した手をもう片方の人が用意したのであろうウエットティッシュで念入りにふいていたが、それを止めてこちらを振り向いた。
「ああ、忘れてました。聞きたい事があったんですよ」
そう言うと彼女は私の前に歩いてくる。そして私の前に止まり…
「あなたは何で何も告知も無く半年くらい休んでいたんですか?彼氏でもできたんですか?」
ドストレートで毒を吐いてきた。
~~~~~~~
:彼氏…だと!?
:おいおい、かなり毒はいてるなこの配信者
:ヤバいヤバい!復帰配信後の最初の配信でこんな発言はマジで洒落にならんて!?
:お姉さま…やはり野郎の毒牙に…!
~~~~~~~
コメントもかなり荒れ始めている。
(なるほど、この子はオレを潰しに来たんだね)
配信者にとってリスナーが荒れるのはかなり不味い。下手したら配信生命を絶たれかねない事態だ、それを彼女も知っているはずだ。なのに彼女は意図的にそれを引き起こした。つまりこれは私を潰しに来ているという事に他ならない。
「ねえ、どうなんです?どんなダメ男にひっかかったんですか?」
彼女の顔は黒い笑顔が張り付いている、おそらくここでオレを完全に潰そうとたたみかけているのだろう。
「おい、いいかげ…
「叶さん、ストップ」
…わかった」
叶さんが仲裁に入ろうとするがオレがそれを止める、すると叶さんは一歩引いてくれた。
オレはそれを見てから彼女に向き直る。
「…そうだね、男には引っかかったね」
「アハ♪やっぱり!」
~~~~~~~
:うっそ、認めた!?
:まじかよ、昨日の配信では何も言わなかったじゃん!?
:そんな…私のお姉さまが…
~~~~~~~
片目で確認したが、リスナーもかなりビックリしている。それはそうだ、だってこんな事昨日の復帰配信でも言っていない、しかもこんな発言は今の現状に燃料を投下する事になる、現に彼女はかなりいい笑顔になっている。もちろん黒い方だが。
「アハハ!これはもう…
「ただし」
…?」
彼女の勝ち誇った顔で言おうとしたセリフをオレは遮る。
「男は男でも最高の相棒の方だけどね」
オレがそう言うと背後の人だかりがざわめき出した。
「…え…ええ!?」
~~~~~~~
:……はあ!?
:ありえない!?なんで!?!?
:マジかよ、なんであの人がここにいるんだ!?銀座と日本橋のダンジョンしか目撃情報が無いのに!
:さすがの状況に混乱しすぎて草生えない
~~~~~~~
彼女は勝ち誇った顔から驚愕した顔になり、コメントもかなり驚いている。コレだけでも彼が来たのは明白だ。
そしてオレはゆっくりと振り向いた。
「遅かったね、そんなに職員さんに何か言われたのかい?」
「いや、別に。ただの書類の確認だ」
そこにはオレンジ色の作業着みたいな服装でオレと同じ腰装備、白色をベースにオレンジ色のラインが入ったミリタリーブーツにおでこにゴーグルを着け、スコップを片手に持ちながら此方に向かって歩いてくる黒髪でツーブロックの半目の男性がこちらに歩いてくる。
「さあ、オレのドローンと叶さんのドローンに挨拶をして。せっかくサプライズで隠していたんだからね」
「マジかよ…こういうの苦手なんだけどな…」
そう言いながら彼は頭をかきながらそのままのスピードでドローンの前に出る。
「…あー、どうも。今回の配信のサプライズゲストの二人目の佐藤 渉だ。よろし…
「いっ『
いや、うるさ!」
そして彼が挨拶をしようと話していると、ツバキさんが悲鳴のような叫び声をあげてそれを遮った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます