第二章 夢を失いかけた者×集いし者達=黒曜石の悪魔
第69話
~~5月 25日 日本橋 某ダンジョン 中層~~
俺は今、探索者装備に腰に筒と謎の膨らみ、シミターとシールドを装備して大木の上にいた。
そして俺の場所から約180メートル弱の位置に7メートル級の狼が1匹いるのを『目視』で確認していた。
(風速は微弱、向かい風で匂いは問題ない。視線を遮る物も大木や葉っぱ以外なし。…ほんと、『鷹の目』は便利だな…)
俺はそう言いながら片手剣を納刀して左手に装備していた『厚めな謎の線が複数ある片手サイズのカイトシールド』の持ち手を弄る。すると、
ガチャンッ
カイトシールドが割れ、そこからコンパウンドボウのような物が展開された。俺はそれを確認すると右手で腰に付いていた筒から矢を一本取りだして弦に当てて引き、構える。
(まずは一撃…)
そして、俺は矢手を放す。
バシュンッ
ドスッ
『ギャン!?』
俺の放った矢は風を切り、見事そのモンスターの首に刺さる。
そして普通ならそれで終わりだがそこはモンスター、
『ガウ!』
そのまま矢が刺さったまま矢が来た方角、つまり俺の方に向かって蛇行しながら素早く近づけてきた。
「すごいな野生の勘は、もう遠距離攻撃の対策を思いついたのか」
俺は二本目の矢を構えていたが蛇行しているために大木の影や葉っぱに体が隠れては出てを繰り返しているため狙いずらい。
「なら、この高さを利用するしかないな」
俺はそう言うとカイトシールドをコンパウンドボウからシールドに戻して構え直す、そしてモンスターが俺の登っている大木に来るのを待った。
「…よし、来た」
そして数十秒後、狼は俺の真下に到着、するとまるで熊のように器用に抱き着くような姿で大木を登り始めた。
「…ここだな」
俺はモンスターが地面からある程度登ってきたのを確認すると、そのモンスターの頭の位置を再度確認した。そして今度は足にカイトシールドをまるでスキー板のように装備する。そして、
「落下攻撃は基本だよな!」
そのまま確認した位置に落ちていった。
「オラッ!」
ドゴンッ
『ギャ!?』
俺がまさか落ちてくるとは思っていなかったらしくそのまま顔面で落下攻撃を受けてしまったモンスター、その攻撃に耐えられるわけもなくそのまま俺の落下に合わせて頭から落ちていく。
「フンッ!」
グシャ
『ォ!』
俺はそのままモンスターの頭を緩衝材にしてそのまま地面に着地、モンスターの頭からはグシャッと嫌な音が聞こえて声も低い声を出していた。
「慢心はしない!」
ザシュ
『!?!?』
ブシャーッ
しかし、俺はまだ倒していないと思い、モンスターの柔らかそうなお腹にシミターを抜いて突き刺す。そしてどうやらそこには心臓があったらしく大量の血を吹き出し、そのまま息を引き取った。
「…うし、倒した」
俺はしばらくそのままシミターを構えながらモンスターを観察していた。そしてモンスターが死んだと確認するとカイトシールドから足を地面に移し、シールドを背中に装備してシミターは腰に納刀した。
そしてモンスターに触り、拠点に入れた。
「さて次…
『……だ、ま……!!』
『ま…よ!!』
…誰か来たな。…あ、ヤバいかも!?」
戦闘後の装備などの確認を俺にある方向から声が聞こえてきたに。俺は声のした方を見た、すると『鷹の目』が発動。どんどん奥の光景が映し出され、大体45メートルの位置に二人の男性が配信用ドローンで撮影をしながらこちらに向かって走ってくる光景が映し出された。
「マジかよ、もう見つかったのか!?」
俺は急いで回りを見渡す。そして少し離れていた場所に崖を見つけた。
「うし、あそこだ!」
俺は崖に向かって走る、そして三分くらい走ってようやく崖に到着した。
そして俺はそのまま…
「南無三!」
そのまま飛び降りた。
俺はこのまま重力に従い落ちていく…のが普通だ。だが俺は空中で腰の膨らみに手を入れ、それを掴み両腕で構える。
それは『変わったサプレッサーを付けている見た目はモーゼルC96みたいな銃』、そして俺は崖の近くにあった大木に向かって照準を合わせ、引き金を引く。
バシュッ
ヒュルルルルルルル…
ピチャッ
しかし、弾は出ることはない。代わりにサプレッサーが大木にむかって飛び、大木にくっ付く。そしてそのサプレッサーにはワイヤーが付いていてそのまま俺は振り子のように空中で揺れ、そのまま俺の体は崖の岩肌に向かっていく。
「フンッ」
ドンッ
しかし、俺は両足で岩肌にぶつかるのを止めた。
「…」
そしてそのまましばらく両腕で吊られながらその場で黙っていた。
そしてその大勢でしばらく待っていると、俺を追っていたであろう二人の声が聞こえてきた。
「おい、見つけたか!?」
「いや、いない!」
まるでテンプレみたいなセリフが崖の上で聞こえてきた。
「どうするんだよ!今日はあの人にリア凸をかまして正体を暴く企画なんだぞ!?」
「俺が聞きたいよ!何でこの崖で痕跡が消えてるんだよ!?」
やはりと言うか、彼ら二人はダンジョン配信者みたいだと分かった。
(どうやら、片方が俺を追跡できるスキル持ちのようだな…迷惑系配信者か?)
俺はそう思いながら聞き耳を立てるのをやめなかった。
「取り敢えず探すぞ!コメントを確認したらリスナー達が呆れて見るのをやめるって言ってるぞ!」
「くそ!?マジで見つけてやる!!」
そう言う言葉と共に走り去っていく音が聞こえた。
「…行ったか?」
俺はまたしばらくその体制で時間が経つのを待った。
そして彼らが去ったと考えて両手で持っていた銃のトリガーを2回引く。
シュルルルルルルルッ
すると、大木と俺を繋いでいたワイヤーがどんどん銃に巻き取られていき俺が崖の上に移動しだす。
「うし、到着っと」
ガシュッ
シュルルルルルルルッ
ガチャン
俺が崖を登り、地面に足が付きもう落ちることはない距離までワイヤーを巻き取ると大木に付いていた部分が外れてた。
そしてそのまま巻き取られていき、最終的には元の形に戻った。
「たく、さっき拠点で休憩した時にコレを持ってきたのは正解かよ…」
俺はそう言うと銃をそのまま握り続けた、すると銃は『霞の如く消えてしまった』。
「まじで、『拠点の能力強化』と『テラフォーマー』に感謝だな」
俺はそう言いながら頭の中の地図で今の位置を確認する。
「…あ、この崖を道なりに下れば帰還用ポータルがあるわ」
そして帰還用ポータルの位置を確認した。
「今日はもう帰るか」
そして俺はモンスターと彼らに気を付けながらそのポータルを目指して移動を開始した。
「まったく、どうしてこうなったんだか…」
移動しながら、俺はそうぼやいてしまった。
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