第46話

〜〜12月 22日 拠点内 5時30分〜〜



〜〜♩


「…朝か」


拠点のソファーに準備していた毛布を体にかけて俺は寝ていた、しかし机の上に置いてある目覚まし時計のアラームで俺は目を覚ました。

あれから5日、俺は未だこの中層に留まっている。


「…準備しよう、時間が惜しい」


そう言いながら俺は時間を確認してから起き上がり、部屋の端にあるミネラルウォーターの箱まで歩き500mlのペットボトルを取り出し、飲み始める。


(歯を磨いて、朝飯食べて、トイレや装備の確認と装着をすると約20分くらい。準備運動をしても余裕だな)


水を飲み終わった俺はそう思いながら新しい水のペットボトルと歯ブラシセットを持って建物の外に出る、そして歯を磨き始める。


(この階層のルールは大体理解できた。だがあえて言わせてもらうと…)


俺はそう思いながら歯を磨き終わり、口に水を含み、吐き出す。

そして…


「この中層、俺じゃなきゃ攻略不可能だろ」


苦虫を噛み潰したような顔で愚痴をこぼした。



〜AM 5時59分〜



「…うし、準備運動終わりっと」


俺はあの後にキチンと用事をを済まし、そして今は拠点の外に出て準備運動をした。そして今俺がいるのは最初とは別の島、ここも最初の島と同じ景色なので見間違えそうになるがキチンと別の島だ。

この中層はヤシの木とかが生えてなく、船やイカダが作れない、故に最初は俺も泳がないといけないのかと勘違いしていた。

しかし、移動手段はキチンとあった。しかもそれは確実に朝の6時にしか現れない。

故に今まで安全なポータルのある島で休憩が出来たのだ。


「さて、そろそろかな…」


俺はそう言いながら海を眺めて時を待つ。そして数秒後、海に変化が現れる。




ズバババババババッ




海が、割れ初めたのだ。


「毎回コレを見て思うが、俺はいつモーセになったんだろうか…」


そう、コレが島を渡る移動手段なのだ。この海割りは約10メートル幅で全ての島に現れる。そして島は5つあり、全ての道が一旦中心に道を伸ばして重なったどでかい点のような場所で他の島にいけるという感じの移動手段なのだ。マジできつい、大体この島から別の島に行こうとするなら朝から全力疾走で約30kmを走らなきゃいけないのだ。道があるとはいえ海底だから舗装されているわけでも無いので道はかなり悪い、今の体じゃなかったら確実にお陀仏である。


「…行くか。早く行かないと入り口が閉まる」


因みに入り口に3分以内に入らないと自動的に割れた海が元に戻る。三日目に休みを兼ねて調べたら次に海が割れるのが次の朝の6時だった。つまり絶対に遅れてはいけない。

俺はその為急いで海に出来た道を走っていった。


〜〜〜〜〜



「…やっぱりおかしいよな…」


俺は全力では無いが一定の速度で悪路を走っている、しかし顔は渋いままだ。何故なら…


ドドドドドドドド


「何で、通ってからスグに海が戻るんだよ!?」


実はこの道、通り過ぎてから体感1分40秒くらいが経過するとその道が海に戻るのだ。だから余り速度を出すとバテて最終的には戻る速度に追いつかれる。つまり一定の速度で走るのがベスト…そう、ベストなのだが実際はそうはいかない。


「やべ、もう気づきやがった!?」



走りながら海水の壁の中に出来た影を見つけて叫んでしまった。

その影は一気に俺へと加速しながら向かってくる。


「チィ!」


俺は急いで前のめりになり、なるべく頭を低くする。

そして、さっきまであった頭の位置に突然、


ザバババババババッ



海水の壁を貫通して白銀の刃のようなものがその位置を複数体が通過し続けている。俺は知っている。何が通過したのかを、それは…


「『リュウグウノツカイ』サイズの太刀魚とかアホか!?」


そう、大きく長い太刀魚みたいなモンスターが複数体、俺を攻撃してきたのだ。

そして俺は殺気を感じたので太刀魚達の攻撃がやんだ瞬間急いで加速した。


ズドドドド


「銃弾かよ!?」


そして加速する前にいた場所に銃弾レベルまで加速して地面に突き刺さる太刀魚サイズの鰯みたいなモンスターの群れ。


ゴロゴロゴロゴロ


「お前らは道幅が狭くなるから嫌いなんだよ!」


そしてボーリング玉サイズのウニのようなモンスターや同サイズのヒトデみたいなモンスターが前から大量に転がって来る。

そう、この道はただの道では無い。

実はここは海に生息するモンスターの狩り場でもあるのだ。











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