第32話
〜12月1日〜
「家でっか!?ここ東京の隣りの千葉県とはいえこんな日本家屋はテレビでしか見た事ないぞ!?」
あの依頼を受けた翌日、すぐに依頼人から電話で連絡があった。
依頼人である大吾さんは電話越しだとバリトンボイスで、今は用事があるから12月1日に自宅に来るようにとに話をしてきたのだ。
そして千葉県の某所にある大神家にはるばる来たのである。
しかし来てみれば敷地がめちゃくちゃ広い日本家屋、京都にしか無いような建物が目の前にあったのである。
「隣の車庫には高級車が何台も…やべ、こんな格好で来たが大丈夫か?」
マジで外観だけでも住んでる世界が違うと思う。そしてそこにジーパンと白のTシャツにジャンパーの俺、完全に浮いてる
「とっ取り敢えずチャイムをならそう。依頼を聞かないと」
俺はそういいながら門のところにあるチャイムを鳴らす。
するとすぐに門の隣にあった小さい扉が開き、そこから和装の男性が出てきた。
「佐藤 渉様ですね。私はこの家の使用人で如月と申します。本日はこちらの都合で正門が開けられませんのですみませんがこちらの扉から中に入って下さい」
男性はそう言う時頭をキチンと下げてから俺に入るように促してきた。
(使用人って本当にいるんだな…)
俺はそう思いながら言う通りに扉から中に入った。
〜大神家〜
「いや、中もすげぇ。日本庭園みたいなのが庭にあるとか初めてみた」
俺はそういいながら如月さんの案内のもと家の廊下を進んでいく、家の中も完全に和をイメージした内装だし窓から見えた庭はもはや日本庭園と呼べるくらいの立派な庭である。
正直言ってマジで緊張感が半端ない、こんなテレビでしか見た事ない家とかマジで緊張する。下手に扉でも傷つけようもんなら一体いくらかかるのか分からない。
(やべ、下手に行動を起こさないようにしよう。トイレとか)
そう思っていたら如月さんがある和室の前で立ち止まる。
「旦那様、依頼を受けてくださった方をお連れしました」
『おう、入ってもらえ』
如月さんが部屋にいるであろう人に確認を取っている、つまりこの部屋が目的地だと言う事だ。
(さて、初依頼だ。頑張ろうか!)
俺は如月さんが和室の扉を開けて中に入るように促してきた。
「失礼します」
俺はあいた和室の扉の前で頭を下げて挨拶をする。挨拶は基本だ、これで印象はだいぶ違ってくるからだ。
「本日はよろし…」
俺はそういいながら頭を上げて前の光景を確認した…が、その光景にフリーズした。
そこにいたのは男女の2人、1人は男性で和服に白髪混じりの黒い髪を短髪にして威厳たっぷりのオーラが半端ない。
女性の方は見た目俺と同い年か年下っぽい見た目に黒髪ストレート、縦セーターにレディースのジーパンを履いている。
そして2人は床に座布団をしいて正座してこちらを見ていた。
しかし俺が固まる理由はそこではない、そこではないのだ…
「いや、何で2人とも鼻メガネつけてるの!?」
百均でよく見るおもちゃの鼻メガネ、それを2人とも装備しているのだ。
しかも男性の方は鼻メガネにパーティーハットもプラスで装備している。
なんか色々と台無しだ。
「…」
「…」
「…あ、やべ」
俺が気づいた時にはもう遅く、2人から無言の圧力を放たれている。もしかしたらこの家系では客人に鼻メガネをかけて応対するのが慣わしなのかもしれない。
(コレは失敗したか?)
依頼の詳細には依頼を受けさせるかは依頼人が決めるむねが書かれていた。
もしかしたら受けさせてもらえないかもしれない。
「…おい」
そう思っていたら電話越しに聞いたバリトンボイスで男が話しかけきた。
「お前」
俺が返事を返そうとする前に相手の言葉がでる。
そしてゆっくりと鼻メガネに手をかけ…
「合格だ」
まるで漫画の眼鏡キャラがメガネを手で顔から少し離して斜めから見るみたいなポーズかつキメ顔で言われた。
いや、顔は渋いイケおじだからカッコいいんだけどさ、鼻メガネでそれをやるの?しかもそれを抜いてもまだ頭にパーティハットを装備してるんだよ?色々台無しだよ!
「まま、そこに突っ立ってないで中に入りな」
彼はそういいながら手招きをしてくる。
言いたい事はまだまだあるが話が遅くなりそうなので此処は我慢してその手招きに従った。
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